データベース型サイト(ECサイト/ポータルサイト)のSEOベストプラクティス

SEO動向レポート|2024年8月度
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データベース型サイト(ECサイトやポータルサイト)におけるSEO対策は、従来の方法では効果が得られにくいことが多いです。これらのサイトでは、カテゴリーページ(リストページ)の最適化が重要な役割を果たします。

この記事では、データベース型サイトにおけるSEOベストプラクティスについて解説します。

データベース型サイトとは?

サイト型の分類方法のチャート図

データベース型サイトとは、データベースを活用して情報を提供するWebサイトです。当社ではWebサイトをビジネスの構造上の違いから6つのサイト型に分けていますが、そのうちECサイト・ポータルサイトがデータベース型サイトに当てはまります。(サイト型の分類方法について詳しく知りたい方はこちら

データベース型サイトは基本的に、TOPページの下にカテゴリーページがあり、その下に詳細ページがあるピラミッド構造が多いです。また、多用な条件の組み合わせで自動的にページが生成されるという特徴があります。

データベース型サイトのSEOベストプラクティス

データベース型のSEO対策のポイントは、「サイト全体で対策をすること」です。よくやりがちなコンテンツ追加やリライト、ページスピード対策、対策キーワードの盛り込み等の施策だけではなかなか成果につながらないので、ぜひ紹介する内容を参考に施策を進めてみてください。

前提:正しくクロール・インデックスさせること

データベース型サイトは、多用な条件の掛け合わせで動的なページが膨大に作られ、かつ日々新しい商品が登録されるため、重複や低品質と判断されるページが生成されやすいです。(例えば似たような条件の一覧ページが生成される、テンプレの共通部分が多くオリジナルコンテンツが少ないページが生成されるなど)

このような背景もありインデックスから除外されやすいため、まずはすべてのページを正しくクロール・インデックスさせるという考え方がSEOを進める上での大前提となります。施策例は以下の表をご覧ください。

戦術施策例
クローラーに発見してもらうサイトマップ送信
内部リンク構造の改善
インデックスさせるコンテンツ品質の強化
内部リンク構造の改善
リダイレクトの最適化
各種タグの最適化

カテゴリーページ(リストページ)の評価を上げる

データベース型サイトのカテゴリーページ例

記事メディアサイトや自社サービスサイトでは、「どのキーワードを選ぶか・そのキーワードをどのページで対策するか」に差がでやすいですが、データベース型サイトではここに差が出にくいです。

CVが目的となるデータベース型サイトにおいては、メインで上位表示させたいのは、ほとんどのケースでカテゴリーページ(リストページ)であり、これらのカテゴリーページを特定のキーワード群で上位表示するために何をするのかが重要になります。

カテゴリーページとは、例えばECサイトのLOHACOの場合は商品が一覧になっているページ(画像左側)、ポータルサイトのSUUMOであれば物件の一覧ページ(画像右側)のことです。

なぜカテゴリーページが重要?

Googleはディレクトリ自体を評価している

 Googleは検索結果に表示されるページコンテンツだけではなく、そのページが属するディレクトリ自体も評価しています。例えば、「ノースフェイスパープルレーベル バック」というクエリでは、画像左側のようにECサイトのカテゴリーページが多く上位表示されています。

このクエリは、Buyクエリとして認識されていますが、ユーザーが買いたいアイテムや商品名などが検索クエリからはわかりません。このわからないユーザーニーズを網羅できるのがカテゴリーページであり、それが評価されているということになります。

一般的にビッグワードであるほどクエリの抽象度は上がり、ニーズが分散します。

つまり「ノースフェイス パープルレーベル バッグ」などのビッグワードで評価されるためには、「Medium Day Pack」「CORDURA Nylon Shoulder Bag」などのスモールワード、ミドルワードを対策し、サイト全体の評価を高めることが大切なのです。

記事施策の多くは「認知施策」である

マーケティングファネルと施策の相関図

カテゴリーページが重要であるもうひとつの理由は、顕在層へ効果的にアプローチができることです。前項目の検索結果の例を見てもわかるように、ECサイトやポータルサイトの顕在層が検索しているクエリでは、主にカテゴリーページが評価されて上位表示されています。

SEO対策と聞くと記事制作などの施策を進めてしまいがちですが、記事制作の多くは「認知施策」です。記事コンテンツは潜在層~準顕在層へのアプローチには効果的ですが、ECサイトやポータルサイトといったコンバージョンを目的とするサイトの場合は、なかなか成果に繋がりません。

このような背景からも、カテゴリーページの重要性がおわかりいただけるかと思います。(ただし、カテゴリーページでの上位表示難易度が高い場合は記事施策も一つの手段となり得ます。「上位表示可能性」も加味して「CVへの期待値」を見極めることが重要です。)

カテゴリーページ(リストページ)の評価を上げる方法

DB型サイトのSEO対策

では、具体的にどのようにカテゴリーページの評価を上げていくのでしょうか。SEO対策でよくある「1キーワード=1ページの対策」の考え方だと、カテゴリーぺージへのコンテンツ追加やリライト、ページスピート改善といった施策に走りがちですが、データベース型サイトのSEOは「サイト全体で対策する」ことがとても大切です。

カテゴリーページに評価を集めるためには、まずはページ配下の商品詳細ページの品質を高め、適切にインデックスさせていく必要があります。その上で、評価を集めたいカテゴリーページに内部リンクを集めていきます。それぞれ解説します。

①ページの品質を高め適切にインデックスさせる

まずはカテゴリーページの下層に位置づく商品詳細ページの品質を高め、存在する商品詳細ページをしっかりとインデックスさせます。 (色違いの商品詳細ページや、絞り込みの掛け合わせ条件が多いページなどは、必ずしもクロール・インデックスさせない場合もあります。)

  • 商品詳細ページのコンテンツの品質、独自性を高める:データベースに登録されている情報だけでなくユーザーにとって価値のある情報を入れていく(競合サイトとの差分も埋める)
  • クローラビリティを高めるrobots.txtによるクロール制御、URL構造の見直し、パンくずリストの設定など
  • 同階層同士の内部リンクを適切に設置する

商品詳細ページが評価されるためには、まずはコンテンツの中身を改善していく必要があります。情報が薄かったり足りなかったりすると評価を受けづらいため、心当たりがあれば改善しましょう。また、自社商品でない場合、卸のメーカーが提示しているテキストをそのまま使うと低品質扱いになる可能性もあるため、これも心当たりがあれば改善が必要です。

これ以外にやるべき施策は例えば、

  • 内部リンクを張り巡らす(クローラーがよく来るページを活用する、静的リンクで内部リンクを設置する)
  • タイトル、ディスクリプション、見出しをユニークにする
  • noindex、canonicalの適切な使用

などもあります。

②その上で、各商品詳細ページからカテゴリーページに内部リンクを集める

商品詳細ページからカテゴリーページへ内部リンクを集めることで、ページ間の関係性をGoogleに伝えるとともに、商品詳細ページの評価をカテゴリーページへと渡していきます

また、カテゴリーページ自体もただリンクを載せるだけではなく、ユーザーに役立つコンテンツを入れていくことが大切です。

Googleのジョンミューラー氏も以前、この件について言及されていました。(ジョンミューラー氏はGoogleのウェブマスター・トレンド・アナリストで、SEOに関連する情報を多く発言されている方です)

ミューラー氏によれば、ECサイトのカテゴリーページにリンク以外のコンテンツが何もないと、上位表示するのは難しくなるとのことです。カテゴリーページであっても、ユーザーに役立つテキストコンテンツを追加して、単独のページとしての価値を持たせることをミューラー氏は推奨しています。

「単独のページとしての価値を持たせる」とは、例えば次のようなものです。ただ商品リンクを並べるだけでなく、ユーザーが商品を探しやすいような工夫がされています。

最後の決め手は「商品数」

カテゴリーページのSEOで最後の決め手となるのは「商品数(≒商品詳細ページ数)」です。 検索ニーズがあれば基本的にそのカテゴリーページは作成したいですが、そもそも商品数を確保できない場合はそのカテゴリーは作成しません。(つまり注力商材ではないカテゴリーはSEOの技術だけで上位表示するのが難しい可能性が高いです)

商品数を確保できない場合は、モール型ECの方が相性がいい可能性もあります。また、データベース型サイトの運用目的によってはSEOではなく広告でコンバージョン獲得を目指した方がよいケースもあるため、状況に応じて最適な施策を講じていきましょう。

ベストプラクティスに則ってSEO施策を進めた事例

「ノベルティ」系のECサイトに今回紹介したベストプラクティスを基に施策を講じた結果、セッション数やコンバージョン数が上図のように成長しました。施策開始当初は月に数万セッション、200件ほどだったサイトが施策開始からセッション数176%、コンバージョンが177%、収益ベースでは施策開始時点から200%にアップしています。

いかにカテゴリーページをランディングページとすることが大切なのかがわかる事例です。

ECサイトがオウンドメディアにも取り組む理由

ECサイトにオウンドメディアの要素を持たせているケースがありますが、弊社でもそれを勧めることがあります。その理由は、主に以下の2つです。

掲載コンテンツは必ずしもコントロールできない

先ほど「決め手は商品数」とお伝えしましたが、とはいえ商品数を簡単に増やすことはできません。例えば、人材ポータルであれば求人情報が閉じることもありますよね。

そこで代替手段となりうるのが記事コンテンツになります。

前述の通り、カテゴリーページはページ単体で評価されるわけではなく、ページの集合体として評価されます。記事コンテンツでロングテールワードを対策し、本命のカテゴリーページにリンクを集めれば、集合体としての評価向上を図ることが可能です。

検索インテントには常にグラデーションがある

商品数で負けているからといって、SEOそのものを諦める必要はありません。検索インテントはきっぱりと分類されているわけではなく、グラデーションがあります。

業界業種にも依存しますが、 「準顕在層の中でもより顕在層に近いユーザーが検索しているクエリ」を発見できれば、記事コンテンツそのものが売上に貢献するケースもあります。

まとめ

データベース型サイトのSEO対策では、カテゴリーページの評価を上げることが鍵となります。商品詳細ページの品質を向上させ適切にインデックスさせること、さらにカテゴリーページに評価を集中させることが重要です。

また、商品数の確保がSEOの最終的な決め手となるため、注力すべきカテゴリーを絞り、適切な施策を講じることが求められます。

データべース型サイトのSEO対策の疑問は、ぜひPLAN-Bにご相談ください。

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