クエリファンアウトとは?Googleの検索仕組み・SEOへの影響と対策

クエリファンアウトとは?Googleの検索仕組み・SEOへの影響と対策

「Webサイトのアクセスが伸び悩んでいたり、コンテンツを出してもなかなか成果につながらない…」そんな悩みを持つWeb担当者の方も多いのではないでしょうか。

実はGoogleの検索エンジンでは、入力された1つのクエリに対して、ユーザーの本当の意図を多角的に読み取り、最適な答えを導き出す「クエリファンアウト」という高度な仕組みが働いています。

この記事では、この「クエリファンアウト」がどんな仕組みなのか、そしてSEOにどんな影響を与えているのかをわかりやすく解説します。また、私たちコンテンツ制作者がどんな対策をすべきかも、専門的な視点から詳しくお伝えします。

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クエリファンアウトとは?Google検索の裏側で起きていること

クエリファンアウトとは、Webサイト運営者が使うSEO戦略のことではありません。これは、Googleがユーザーの検索意図をより深く理解するために、裏側で1つの検索クエリを複数の意味に広げて解釈する「検索エンジン側の仕組み」です。

この仕組みを正しく知ることは、今のSEO対策を成功させるための第一歩となります。

クエリファンアウトの動作プロセス

クエリファンアウトのプロセスは、ユーザーが検索ボタンを押した瞬間に、Googleの内部で自動的に実行されます。以下は、検索結果が生成されるまでの具体的な流れです。

クエリファンアウトの仕組み

  1. ユーザーがクエリを入力:例えばユーザーが検索窓に「SEO対策」と入力します。
  2. Googleがクエリを解釈し、展開(ファンアウト): Googleは「SEO対策」という言葉の裏にある、様々な意図を推測し、内部で複数のクエリに展開します。以下はその例です。
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  3. 展開されたクエリごとに検索を実行:展開されたそれぞれのクエリに最適なコンテンツを、Googleのインデックスから検索・評価します。
  4. 結果を統合し、順位を決定:複数の検索意図に対応できるように、それぞれの検索結果をまとめ、バランス良くランク付けした上で、ユーザーに1つの検索結果ページ(SERP)として表示します。

このように、私たちが目にする検索結果は、一つのキーワードに対する答えではなく、Googleが解釈した「複数の問い」に対する答えの集合体なのです。

なぜGoogleはクエリファンアウトを必要とするのか?

Googleがこの複雑な仕組みを導入している背景には、企業のミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」があります。

実際、ユーザーはいつも正確な言葉で検索しているとは限りません。たとえば、「富士山」とだけ検索した場合でも、その裏には「登山情報が知りたい」「周辺の観光スポットを探している」「今日の天気が知りたい」といったさまざまな意図が隠されています。

クエリファンアウトは、こうした曖昧で多様な検索意図を読み取り、1つの検索結果ページの中で複数のニーズに応えることで、ユーザーが求める情報に辿り着きやすくするための仕組みです。

Googleの公式ブログでも、検索意図をより深く理解するための技術について繰り返し紹介されており、この方向性は今後もさらに強化されていくと考えられます。

トピッククラスター戦略との違い(仕組み vs 戦略)

ここで、多くのマーケターが混同しがちな「トピッククラスター戦略」との違いを明確にしておきましょう。この2つは密接に関連しますが、その役割と主体が全く異なります。端的に言えば、クエリファンアウトは「Google側の仕組み」、トピッククラスターは「サイト運営者側の戦略」です。

項目クエリファンアウトトピッククラスター戦略
主体Google(検索エンジン)Webサイト運営者
役割クエリ解釈・展開の仕組みコンテンツ構成の戦略
目的ユーザーの多様な意図を理解し、最適な検索結果を生成する特定のトピックに関する専門性と権威性(E-E-A-T)をGoogleに示す
関係性「問いを立てる側」「その多様な問いに効果的に答える側」

つまり、トピッククラスター戦略とは、Googleのクエリファンアウトという仕組みに対応するための、効果的なコンテンツ戦略の一つと言えます。Googleがユーザーの検索意図を多方面に展開してくることを前提に、サイト側があらかじめ「どんな問いが来ても答えられるように、情報を整理しておく」こと、これがトピッククラスター戦略の本質です。

関連記事:トピッククラスターとは? 実施方法やメリットを紹介

クエリファンアウトがSEOとコンテンツ評価に与える影響

このクエリファンアウトの仕組みを踏まえると、Webサイト運営者は、運営の根本的な見直しをする必要があります。特に「流入はあるのに、コンバージョンに繋がらない」といった課題を抱えるWebサイト運営者にとっては、クエリファンアウトの理解は重要です。クエリファンアウトを知ることで、なぜ成果につながらないのかという原因が見えてきて、次に取るべき打ち手も明確になります。

「1キーワード1記事」戦略の終焉

まず明確にいえるのは、従来の「1キーワード1記事」という考え方では、もはや通用しないということです。

特定のキーワード(例:「SEOコンサルティング 費用」)のみを狙ったコンテンツは、そのキーワードでは上位表示されるかもしれません。しかし、費用を調べているユーザーが次に抱くであろう「費用の内訳は?」「費用対効果は?」「安いSEO会社と高いSEO会社の違いは?」といった派生的な疑問(ファンアウトされたクエリ)に答えていなければ、ユーザーは満足せず、すぐに離脱してしまいます。

これが「流入はあってもCVしない」状況を生む一因です。Googleはこうしたユーザー行動を評価し、より包括的な情報を提供するページを上位に表示するようになっています。

「網羅性」と「専門性」の重要度がさらに高まる

クエリファンアウトの仕組みのもとで高く評価されるのは、ユーザーの検索ジャーニー全体を見通し、一つのコンテンツ内で複数の疑問を解決できる「網羅性」と、信頼できる深い情報を提供する「専門性」を兼ね備えたコンテンツです。

たとえば、あるサービスの導入を検討しているユーザーが知りたいのは、単に「機能」や「価格」だけではありません。導入事例、サポート体制、他社との比較、セキュリティに関する懸念など、様々な情報を求めています。こうした情報が、1つの記事に整理されているか、または関連する複数の記事がしっかり連携して構成されているかによって、ユーザーの理解度や信頼度は大きく変わります。

その結果、ユーザーは自然とサイト内を回遊しながら情報を深め、最終的にコンバージョンへと至る可能性が大きく高まるのです。

ここで重要なのは、ユーザーの意思決定プロセスに寄り添った「質の高い網羅性」です。単なる情報量の多さではなく、ユーザーが抱えるあらゆる疑問や不安に、的確に応えられる情報設計が求められます。

AI Overviewsとの関係

AI Overviewsによる要約は、Googleがクエリファンアウトによって導き出した「この検索の裏には、こんな疑問も含まれているはず」と推測した複数の問いに対して、信頼できるWeb情報をつなぎ合わせて導き出されています。つまりAI Overviewsに引用されるには、断片的な情報ではなく、情報どうしが文脈でつながっており、テーマを立体的に理解できる「知識の集合体」としてコンテンツを作成することが重要です。

また、AIに「このテーマなら、この記事を参照すれば大丈夫」と判断されるためには、上記で述べたような情報のつながりはもちろん、内容の信頼性や構成のわかりやすさも求められます。

ユーザーの多様な疑問に一貫した流れで答えられる設計ができているか、自社のコンテンツを見直すべきタイミングかもしれません。

Googleの仕組みに対応するこれからのコンテンツ作成術

では、私たちはこのGoogleの仕組みを理解した上で、具体的に何をすべきなのでしょうか。キーワードリストを眺めるだけでは見えてこない、本質的なコンテンツ作成のアプローチを解説します。

ステップ1.思考の転換:キーワードから「トピック」へ

まず、SEOの出発点を「キーワードリスト」から「事業戦略」へと転換させる必要があります。「どのキーワードで上位表示させるか」ではなく、「我々のビジネスにとって最も重要な顧客は、どのような課題(トピック)に関心を持っているのか?」から思考を始めるのです。

そして、そのトピックに関連する「エンティティ(人、企業、製品、場所、概念など、固有名詞で表せるもの)」を意識します。例えば、「SEOコンサルティング」というトピックであれば、「PLAN-B」「SEARCH WRITE」「トピッククラスター」「AI Overviews」といったエンティティの関係性をコンテンツ内で明確に記述することで、Googleはあなたのサイトの専門性をより深く、正確に理解するようになります。

ステップ2.コンテンツの設計

続いて、コンテンツの設計を行います。クエリファンアウトに最適化されたコンテンツの設計方法は、次の通りです。

①中心トピックの決定

まず、事業目標と顧客の課題が重なる、最も重要な「トピック」を見つけましょう。ここで注意したいのは、単に「月間検索ボリュームが多いから」という理由で決めるのではなく、LTV(顧客生涯価値)の高いユーザーが関心を持つテーマかどうかを軸に判断することです。

②潜在クエリの網羅的調査

次に、そのトピックについてユーザーが抱きうる、あらゆる疑問を洗い出します。ここではキーワードプランナーのようなツールだけでなく、サジェスト、関連検索、Q&Aサイト(Yahoo!知恵袋など)、さらには実際に営業やカスタマーサポートが受けた質問(FAQ)まで、あらゆる情報源を活用しましょう。

「どこまで深掘りすればよいのか?」という問いに明確な答えはありませんが、少なくとも競合上位10サイトが扱っているクエリは、最低限カバーすべき必須項目として捉えるべきです。

③意図のグルーピングと構造化

調査で集めた大量のクエリは、そのままでは使えません。類似の検索意図(「情報を知りたい」「比較したい」「方法を知りたい」「購入したい」など)に基づいて分類し、論理的な階層構造に整理しましょう。

この構造化されたマップが、そのまま質の高い記事の骨子(見出し構成)やトピックラスターとなります。

④包括的な回答の執筆

設計した見出し構造に沿って、「各セクションで1つの質問に答える」のではなく、「関連する複数の問いの塊」に答えるように1コンテンツもしくは複数のコンテンツ群として執筆します。

例えば「料金」という見出しであれば、料金プランだけでなく、初期費用、追加料金の有無、競合との比較、費用対効果の考え方までを包括的に解説することで、ユーザーの満足度は格段に向上します。

高度な仕組みへの対応は、専門家との連携が近道

ここまでお読みいただき、クエリファンアウトがGoogle検索の仕組みの中で重要な役割を果たしていることがわかってきたかと思います。同時に、従来型のSEO戦略では成果を出しにくくなってきていることにも、気づかれたのではないでしょうか。

これからのSEOにおいては、「検索されるキーワード」を起点にした戦略から、「ユーザーが抱えるトピックや関心」そのものを起点とした戦略へと転換することが求められています。

たとえば、

  • 事業上の顧客が抱える課題や興味のあるトピックどう特定するか

  • それをどのようにキーワード戦略へ落とし込むか

といった視点が、これまで以上に重要です。

私たちPLAN-Bでは、戦略から実行まで一気通貫で支援するSEOコンサルティングサービスを提供しています。Googleの進化に適応し、成果につながる本質的なSEOを実現するために、以下のような形でお力添えが可能です。

  • 戦略判断の課題に対しては、20年以上にわたる膨大なデータと成功事例をもとに、貴社にとって本当に優先すべき「勝てるトピック」を、客観的に特定します。

     

  • ノウハウ不足の課題に対しては、経験豊富な専任コンサルタントがチームの一員のように伴走し、戦略立案からコンテンツ制作、効果測定まで一貫してサポートします。

Googleの進化は、もはや”感覚”や”努力”だけで乗り越えられるものではありません。だからこそ、データと専門知識に基づいた正しいSEO戦略が不可欠です。事業成長につながる本質的なSEOをお考えでしたら、どうぞお気軽に、私たちPLAN-Bにご相談ください。

まとめ

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • クエリファンアウトはSEO戦略ではなく、Googleがユーザーの検索意図を広く深く捉えるための、検索システム側の仕組みです。
  • この仕組みにより、一つのトピックに関する多様な疑問に包括的に答えられる、専門性の高いコンテンツがより高く評価される時代になりました。
  • これからのSEOでは、個別のキーワードを追うのではなく、ユーザーが抱えるであろう潜在的な問いの集合体(トピック)に、先回りして答えるという視点が不可欠です。

Googleの進化に正しく対応し、本質的なコンテンツ作りを始めましょう。この記事が、あなたのWebサイトを次のステージへ引き上げる一助となれば幸いです。

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