【5分でわかる】GTM(Googleタグマネージャー)の設定方法
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2024.11.28
更新日:2024.12.03
公開日:2024.07.03
SEOの基本を習得し、ある程度の業務経験を積んできた方は、「エンティティ」という言葉・概念に一度は触れたことがあるでしょう。
「キーワード」や「コンテンツ」、「検索順位」などと違い、目に見えない抽象的な概念でありとっつきづらいかもしれません。しかしコンテンツ制作にエンティティの概念を取り入れることができれば、検索順位の向上およびユーザーへの有意義な情報提供が可能になります。
是非この機会に、エンティティという概念の理解を深めて頂ければと思います。
エンティティ(entity)とは、英語の字義通りには、「実体、存在、実体」などの意味を持つ単語で、他とは明確に区別されたユニーク(一意)な対象物、というニュアンスです。
SEO文脈でも同様で、固有の意味・対象物を指し示す単語・フレーズのことを言います。
例えば「大谷翔平」という単語からは、誰もが世界で大活躍する偉大な野球選手を連想しますよね。検索エンジンも同様で、「大谷翔平」という漢字4文字が検索クエリとして打ち込まれた時、単なる文字列としてでなく具体的な一個人として解釈しています。
つまり検索エンジンはエンティティを理解することで、「より人間らしく」クエリを捉えるようになっているということです。
なお、エンティティは、人名にとどまらず、人名・地名・団体名・製品名など固有名詞全般について考えることができます。逆に「パソコン」「駅」といったような一般名詞(ある特定の実体・存在にひもづかない)に関しては、エンティティは定義されません。
エンティティという概念が初めて提唱されたのはおそらく、2012年5月のGoogle公式ブログ:「Introducing the Knowledge Graph: things, not strings」
ではないかと思われます。
things, not strings(文字列ではなく事物) という表題の通り、検索クエリ(キーワード)を単なる文字列ではなく、一つの実体として捉えるというGoogleの方針がこの当時から既に明言されていました。
また、ブログ内では、「understands the world a bit more like people do. 」という記述があります。
This is a critical first step towards building the next generation of search, which taps into the collective intelligence of the web and understands the world a bit more like people do.
これを直訳すると「世界をもう少し人間のように理解する」という意味です。つまり検索エンジンがより「人間的な」解釈をできるようになっていくであろうことが示されています。(実際、この記事から10年以上経過し、そのような社会になりつつあります。)
また、この記事の主題がナレッジグラフの紹介であることから、エンティティという概念はナレッジグラフのベースになっていることが分かります。
💡ナレッジグラフとは?
Googleにて検索を行った際、キーワードに関連する情報が画面右側にまとめて表示されることがあると思います。「ナレッジグラフ」と呼ばれる仕組みです。例えば下図は、「恵比寿駅」というキーワードで検索を行った際のナレッジグラフです。
Googleは、この検索キーワードが東京都にある駅の名称であることを理解し、様々な「付随情報」(所在地や開業日、一日の乗車人数、時間帯別の混雑具合など)もまとめて網羅的に表示しています。
まさに、Googleが恵比寿駅をひとつの「エンティティ」として捉えていることが読み取れます。
ここで、SEOに携わった経験のある人であれば、「『キーワード』とどう違うのだろう?」という印象を抱く場合が少なくないと思います。キーワードとエンティティは、たしかに類似の概念ですが、異なる意味・ニュアンスを含みます。
「キーワード」は文字通り、ユーザーが検索時に入力する文字列そのものです。SEO文脈では、「検索クエリ」とも表現されます。検索エンジンにとっては、単なる文字列です。
これに対して「エンティティ」とは、具体的でユニーク(一意)な実体・対象物とひもづく概念です。実体があれば、そこには様々な付随情報がひもづきます。
例えば「東京スカイツリー」という検索キーワードは、それ自体は漢字2文字とカタカナ6文字からなる文字列ですが、検索エンジンはその背後に、「東京都墨田区にあるランドマーク」を実体としてひもづけています。また、所在地や地上高、開業日など付随情報もまとめて保持しています。これが検索エンジンの「エンティティ」という概念です。
キーワードとエンティティを明確に区別できるようになれば、エンティティという概念への理解も深まりますので、この機会に理解しておきましょう。
エンティティという概念の存在は、Googleトレンドにも垣間見ることができます。下図は、「大谷翔平」という検索キーワードをGoogleトレンドに打ち込んだ際の画面です。顔写真とともに、「野球選手」として表記されているのがご覧頂けます。
ここから、Googleは「大谷翔平」という検索キーワードを単なる文字列としてではなく、日本を代表する野球選手(固有名詞)として解釈していることが見て取れます。
ここまで、エンティティという概念について、具体例を交えて解説してきました。では実際、SEO施策にエンティティをどのように活かしていけばいいのでしょうか。
結論を述べてしまうと、エンティティを簡単に認識してもらえるような具体的かつ再現性のある方法論はあまり存在しません。
エンティティをGoogleに認識してもらうには、信頼性の高い他サイトから言及をしてもらうなど、自分だけではコントロールできない要素が非常に多いためです。例えば大手情報メディア、Wikipediaなどで自社サービスやWebサイト、その人物についての言及が多くあれば、いずれエンティティを認識するようになりますが、それには多くの時間がかかりますし、言及内容をこちらで指定することも難しいです。(ここでいう言及には、リンクを伴いません)
特にこれから、人物についてのエンティティに留意しておくべきでしょう。例えば、同じようなトピックを扱うコンテンツでも、専門家やそのトピックに精通した人が作成したコンテンツは、よりユーザーに役立つものであると予想できます。つまり人物に対するエンティティを理解できるようになれば、より検索の精度があがるのです。
誰でも簡単にコンテンツを作成できるようになった今、Googleはこれからもエンティティ(特に人物)の精度を上げようとするでしょう。
SEOに携わる方であれば耳にすることの多い「E-E-A-T」も、エンティティと関連性のある概念ですので、改めてご紹介いたします。「E-E-A-T」とは、Experience(経験), Expertise(専門性), Authoritativeness(権威性), Trustworthiness(信頼性)の4つの単語の頭文字であり、これらの要素がGoogleの検索結果上での順位に影響を与えるといわれています。
一方のエンティティは、検索キーワードを一つの実体として捉え、関連する様々な情報を集積する概念です(それが可視化されているのが、前述のナレッジグラフです)。
E-E-A-Tとはすなわち、特定のトピックについて、経験や専門性、権威性を基に正確な内容を発信しているWebサイトやコンテンツを評価するということですから、そもそもエンティティが定義されていない物事については、E-E-A-Tの観点で評価することは難しいともいえます。つまりエンティティとE-E-A-Tは、どちらが欠けても意味がないものになってしまうのです。
言い換えれば、主題をエンティティとして捉え、付随情報をどこまで紐付けられるかが重要です。何か特定の対象物(エンティティ)を題材に記事執筆・ページ作成を行う場合、エンティティの概念を意識して執筆を行うことができれば、それはすなわちE-E-A-Tに配慮した情報発信を行えているといえます。
検索エンジンを知る上で重要な概念である「エンティティ」について見てきましたが、いかがだったでしょうか。「抽象的でピンと来ないな」という感覚を抱かれた方も少なくないと思います。
まさにその通りで、再現性のある方法論が述べられている情報源はなかなかなく、現状ではまだ概念のみが普及している状況です。それゆえに、エンティティという概念自体は理解できても、それを踏まえて具体的にどのような施策を講じるかまで落とし込むのは難易度が高くなっています。そのためナレッジグラフなど可視化されているものから、背景にあるエンティティの概念を類推・解釈することが、現状ある限られた手段の一つとなっています。
エンティティは、SEOで重要な「ナレッジグラフ」や「E-E-A-T」とも関連する概念であり、理解を深めればSEO戦略立案にも活用することができます。
検索キーワードと混同されやすい概念であり、流通している情報も限定的である中で、なかなか理解しづらい方もいらっしゃるかと思いますが、記事内で紹介したGoogle公式ブログの通り、検索エンジンは「より人間らしい」進化をしていくことは今後おそらく不可逆的な変化です。今からエンティティの意識をサイト設計に取り入れていくことで、中長期的に見てSEOに強いサイトを構築していきましょう。