SEOにおけるカニバリゼーションとは|チェック方法や対策について解説

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SEOの効果を高める上でページ数は重要な指標です。しかしその過程で、似たようなキーワードや内容でページを重ねていくと、それぞれのページの順位が安定せず、上位の席を取り合うような動きを見せることがあります。これはカニバリゼーション、通称「カニバリ」と呼ばれる現象によるものです。

本記事ではこの「カニバリ」の正体や問題点について解説します。発生してしまった場合の適切な対処法についても解説しますので、ページ数が増え始めてきた方はぜひ参考にしてみてください。

SEOにおけるキーワードのカニバリとは

「cannibalization(カニバリゼーション/カニバライゼーション)」は「共食い」を意味する言葉で、マーケティングの分野では「自社の製品やサービス、店舗同士で売り上げや顧客を奪い合う状態」のことを指します。※参考:大塚商会IT用語辞典

カニバリゼーション(以下、カニバリ)という言葉は、マーケティング業界だけでなく、SEO業界においてもよく使用されています。SEOでは類似のページが、同一キーワードや意味の近いキーワードで競合することを意味し、「キーワードカニバリゼーション」とも表現されています。例えるなら「ページ同士が共食いをおこしている状態」と言えるでしょう。

テーマやジャンルを絞ってSEOに取り組んでいると、どうしても似たようなキーワードに対策したページを作成するケースが増えてきます。トピッククラスターを構築する過程では、ビッグキーワードを下支えするミドルキーワード、ロングテールキーワードを対策した記事を多数作成するため、カニバリのリスクは高まります。

SEOのカニバリによって引き起こされる問題

カニバリが発生すると、SEOにおいて悪影響を与えてしまう場合もあります。以下で、カニバリによって引き起こされるSEO上の問題について解説していきます。

<1>SEO評価が分散し順位に悪影響を及ぼす

SEOとは、いわばユーザーの検索意図とWebページのマッチング作業のようなものです。「検索意図に適切に解答できているページである」とGoogleから認識されればSEO的な評価は高まり、より上位に表示される仕組みとなっています。しかし、同一のサイト内で似たような内容のページが複数公開されていると、Googleからの評価が分散し、それぞれのページが本来表示されるべきだった検索順位に表示されなくなってしまう可能性があります。

重複コンテンツとは異なり、カニバリはペナルティの対象とはなりませんが、部分的に大きく成果が下落してしまう可能性もあるため、「結果的にはペナルティと似たような状態に陥っている」と捉えることもできるでしょう。

また、似通った内容のページが公開されていることにより、SEO対策として重要な内部リンクや外部サイトからの被リンクも分散しやすくなります。リンクを基にしたページランクを戦略的に高められるように、意図しないカニバリの発生には十分に気をつける必要があるでしょう。

<2>意図しないページが上位に表示されてしまう

キーワードのカニバリが発生しているということは、「狙った通りにページの順位や獲得キーワードをコントロールできていない」ということでもあります。そのため、特定のキーワードで意図しないページが上位に上がり、本来上位に上げたかった重要なページが埋もれてしまうこともあるのです。

当メディア『PINTO!』の事例を紹介します。もともと「SEO対策」というキーワードで上位を獲得していた重要なページが、「SEO対策」の検索結果に表示されなくなり、代わりに「SEO対策」のカテゴリページが表示される事態が発生したことがありました。Googleは検索キーワードに対して「より関連性の高いページ」を検索結果に表示させるアルゴリズムを備えていますが、必ずしも運営側の意図通りとなるわけではありません。カニバリが発生し重要なページが検索結果に表示されづらい状態になれば、流入やCVの機会損失へとつながってしまうのです。

<3>ユーザーの混乱を招く

カニバリは、対Google目線の悪影響だけではなく、ユーザーにとっても悪影響を及ぼします。サイトを回遊しているユーザーが、ページ一覧に似たようなページが複数存在する状態を目にしたら、どの記事を読めばよいか混乱することでしょう。もし、それらのページ同士で内容が食い違いがあれば、サイトに対するユーザーからの信頼を失うことにもつながりかねません。

SEOのカニバリが起きていないかチェックする方法

SEOのカニバリは一目で判断できるものではなく、色々な観点からの検討を必要とする作業です。しかし前述の通り、カニバリには大きなリスクが存在するため、時間をかけてでも対応する価値があります。本稿では具体的な手順を一つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

STEP 01:サーチコンソールから「ページ×クエリ」のデータをスプレッドシートに出力する

まずはカニバリの有無を判断するための情報をスプレッドシートにまとめる作業です。「カニバリが起きている=異なる複数のページで同じキーワードの流入を奪い合っている」ということなので、サーチコンソールで「ページ(URL)」と「クエリ(それぞれのURLが流入を獲得している検索キーワード)」のデータを取得し、「複数のページで順位が付いているキーワードの有無」を確認しましょう。Googleアカウントにアドオン「Search Analytics for Sheets」をインストールし、以下の設定でサーチコンソールのデータをスプレッドシート内に出力します。

  • Verified Site:データを参照したいドメインを選択
  • Date Range:任意の期間を選択 ※選択期間内で大きく順位の変動があるとデータにブレが出るため、直近の順位が安定している期間を選ぶようにしましょう
  • Group By:「Page」「Query」を選択

「Request Data」をクリックすれば、サーチコンソールのURLとキーワードのデータがスプレッドシートに吐き出されます。

STEP 02:各クエリの重複回数を可視化する

次に「複数のページで順位が付いているキーワードの有無」を確認していきましょう。以下のようにUNIQUE関数とCOUNTIF関数を組み合わせることで、クエリの重複回数を可視化することが可能です。

「重複回数」が2以上のクエリは、「複数のページで順位がついているキーワード」となりますが、すなわち「カニバリが起きている」という訳ではありません。一定以上の検索ボリュームがあるキーワードには様々な検索インテントが内包されているため、複数の似たトピックのページで順位がつきやすいものです。「キーワードが重複している=カニバリの修正対象」ではなく、その中でも「対策キーワードでカニバリ度合いが大きいもの」を修正対象とするとよいでしょう。

STEP 03:重複が発生しているページ同士のカニバリ度合いをサーチコンソールで確かめる

重複が発生している記事のカニバリ度合いをチェックする際は、「それぞれのページの対策キーワードの成果」をサーチコンソールで確認する必要があります。簡単ではありますが、以下に「カニバリ度合いの大小」の具体例を示します。

<カニバリ度合いが低い重複の例>

 クリック数表示回数掲載順位
ページAの「SEO対策」の成果35065,0004位
ページBの「SEO対策」の成果410060位

→カニバリ対応が不要

カニバリ度合いが高い重複の例>

 クリック数表示回数掲載順位
ページAの「SEO対策」の成果5025,00011位
ページBの「SEO対策」の成果2711,00023位

→カニバリ対応が必要

カニバリ度合いは「どれだけ互いの記事が足を引っ張りあっているか」と言い換えてもよいでしょう。重複する記事が存在することによって、本来の成果が獲得できていないと判断される場合は、カニバリの対応が必要となるわけです。

カニバリが起きていた場合の対処法

適切なカニバリの対処法を判断するには、カニバリを起こしている記事同士の実情を詳しく確認し、様々な軸から検討を行なう必要があります。本稿では一例として以下の2つの判断軸を紹介します。

  • カニバリを起こしている各記事の「流入を多く獲得しているキーワード群の重複度」

→サーチコンソールで「流入を獲得しているキーワード群がどれだけ被っているか」を確認する

 

  • カニバリを起こしている各記事の「対策キーワードの検索上位ページの重複度」

ruri-coで「対策キーワードの検索意図がどれだけ被っているか」を確認する

上記の2軸を確認することで、以下の4パターンの対処法が導き出されます。以下でそれぞれのパターンについて解説を進めます(流入キーワード群も対策キーワードの検索上位も重複していないケースは、そもそもカニばってない可能性が高いため割愛します)。

<1>ページを統合する場合

カニバリを起こしている記事同士で「流入を獲得しているキーワード群も重複している」かつ「対策キーワードの検索上位も重複している」場合はページを統合します。検索ボリュームが大きい対策キーワードの検索意図を改めて精査し、カニバリを起こしている記事同士から必要なコンテンツをまとめます。

また、ページを統合した後は、非公開とするページから残すページへリダイレクトを設定しましょう。リダイレクトを設定することで、被リンクなどのSEO上の評価を、リダイレクト元からリダイレクト先へ引き継ぐことができます。

また、リダイレクトはユーザー目線でも重要な設定です。ユーザーがリダイレクト元のページにアクセスした際にリダイレクトが設定されていれば、リダイレクト先の「残すページ」が自動的に表示され、ユーザーは欲しかった情報にアクセスすることができます。しかし、リダイレクトを設定せずにページを削除/非公開にアクセスすると、「404 Not Found」というエラーページが表示され、ユーザーは閲覧したかった情報に辿り着くことができません。

リダイレクトは、Google目線でもユーザー目線にとっても重要な設定となるため、コンテンツの統合を行った際は必ず忘れずに設定しておくようにしましょう。実際の設定方法については以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

<2>対策キーワードの変更を検討する場合

カニバリを起こしている記事同士で「流入を獲得しているキーワード群は重複していない」が「対策キーワードの検索上位が重複している」場合、対策キーワードの検索ボリュームが小さい方のページの対策キーワードの変更を検討しましょう。

本来なら対策キーワードを揃えて1つのページで対応すべきケースですが、現在獲得している流入数によっては、ページを統合せずに対策キーワードを変更した方がよい場合もあります。流入を獲得しているキーワード群の中から新たに対策キーワードを設定し、リライトを行いましょう。

<3>対策キーワードでのみ評価されるようにリライト

カニバリを起こしている記事同士で「流入を獲得しているキーワード群は重複している」が「対策キーワードの検索上位は重複していない」場合は、それぞれの記事の対策キーワードでより高い評価を得られるようにリライトを行いましょう。

改めて対策キーワードの検索意図を調査し、コンテンツを修正することで、徐々にカニバリは解消されていくでしょう。

まとめ

SEOのカニバリは、同一キーワードで複数の記事を作成した場合などに発生します。意図せず訴求内容やテーマが似通ってしまうような場合にも、発生してしまうこともあるため、定期的なチェックが大切です。カニバリが発生してしまった場合は、記事の内容確認と修正で早めに対処を行えば問題はありません。新規記事作成の際は、狙っているキーワードがカニバリにつながらないか、事前に確認するようにしましょう。

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