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SEO対策
最終更新日:2025.06.03
SEOにおける費用対効果とは、検索結果でコンテンツを上位表示するために投入した費用に対して得られる利益を測る指標のことです。
SEOでは、施策を講じてから成果を感じるまでに時間がかかるため、中長期的な運用が求められます。その状況において重要なのが「費用対効果」を算出することです。
本稿では、なぜSEOにおいて「費用対効果の算出」が重要なのか、そして具体的な計算方法や、算出に必要なツールを紹介します。SEOにこれから挑戦する方や、既に実施されている方も押さえておきたい情報を紹介していますので、ぜひご覧ください。
※編集部注:この記事は、2022年11月に公開された記事を加筆・修正したものです。
SEOは中長期に継続することで初めて成果が出る施策です。成長曲線も独特で、かけた時間やコストに応じて素直に伸びないことも往々にしてあります。さらにSEOの費用対効果における「効果」は直接的な流入だけでなく、間接的なもの(ブランディングや求人)も発生するため、「費用対効果の算出は難しい」のが現実です。
しかし、企業が費用を出して取り組む施策である以上、できるのであれば費用対効果は算出して把握しておきたい数字です。SEOを実施することで直接的にせよ間接的にせよリターンが生まれることを説明できなければ、上長から許可がおりず取り組むことすらできません。また、費用対効果の算出は「SEOの取り組みが順調に進行しているのか」を判断するためのひとつの判断軸にもなるからです。
SEOの費用対効果の計算式は、下記のように考えることができます。
費用対効果(%)=リターン ÷ 費用 × 100%
各指標は下記の通りです。
上記の数字から、SEOの費用対効果を算出することができます。
一例として、下記の場合の費用対効果を算出します。
SEOで得られるリターン:100万円
SEOにかかる月間の費用:30万円
この数字を上記の計算式に当てはめて費用対効果を算出します。
費用対効果=100万円 ÷ 30万 × 100=333%
上記の過程で費用対効果を算出でき、計算で出た数字が大きいほど収益性が高いことになります。一方で100%を切っている場合は施策が赤字になっているということです。
SEOの費用対効果の計算方法を紹介しましたが、サイトのタイプによってはリターン(事前に設定したCVを金額換算した数字)の計算方法で悩むのではないでしょうか。
CVが「商品購入」など金額に変換しやすい指標であれば問題ありませんが、本メディアPINTO!のように「ホワイトペーパー(以下、WP)ダウンロード」や「お問合せ」等の単価が存在しないCVがゴールの場合、費用対効果算出のために単価を設定する必要があります。
PLAN-BのオウンドメディアであるPINTO!を例にリターンの計算をしてみましょう。リターンの計算式は以下の通りです。
チャネルごとのリード単価 × チャネルごとのリード数 = リターン
ここではPINTO! で発生するCVのうち、サービスの受注への温度感が違うCVである「WPダウンロード」と「お問合せ」で考えてみます。
このように性質が異なる2つのCVですが、リターンを算出する過程は同じです。まずは商材・サービスのLTVとチャネルごとの受注率から、許容できるCPAを算出します。ここでは各チャネルの許容CPAが以下の金額で算出されたとします。それを単価として考えてみましょう。
WPダウンロードの許容CPA:3,000円
お問合せの許容CPA:20,000円
PINTO! での各チャネルごとの獲得リード数が、
・WPダウンロード→100件/月
・お問合せ→10件/月
上記のような数字だった場合、以下のようにリターンを算出できます。
ただし、ここで算出した数字はあくまでも数字に出しやすい範囲のリターンです。
本稿の冒頭で述べた通り、SEOはブランディングや求人数など「間接的なリターン」も発生します。こういった「間接的なリターン」を金額化することは非常に難しいのが現状です。
費用対効果を計算するためには、SEOにかかっている費用も洗い出す必要があります。SEOにおいて考えられる費用は、大きく分けて以下の4つです。
<1>初期の戦略設計費
<2>Webサイト設計費
<3>コンテンツ制作費
<4>運用費(分析・改善)
自社で初めてSEOに取り組む場合、まず最初にいつまでにどんな目標を達成するのかをまとめた「SEO戦略」を設計します。簡単に説明すると、「どのキーワードを・どのページで上位表示するか」「そのために必要な施策は何で、それをどんな優先順位で対策するか」といった、SEOに取り組むにあたっての方針を決定するものです。
インハウスで実施する場合は戦略を考える人材の人件費が費用として発生します。
社内にSEO人材がいない場合は、採用や育成などの追加の費用が発生することになります。または、SEOコンサルタントに発注することもできます。その場合、費用は月額30万円〜程度です。
「Webサイト設計費」は、SEOの実施に伴いWebサイトを作成する必要があるときに発生する費用です。WebサイトはSEOにおける土台となる部分であり、しっかりと作り込むために相応の投資が必要です。WordPress等のCMSを活用することで費用を押さえることもできますが、オリジナルのデザインで内容にこだわったWebサイトを制作する場合は、下記の費用が発生します。
Webサイトの特徴 | 制作できるWebサイトの例 | 費用 |
デザインテンプレートを使用した | 企業情報だけを記載した 最低限のコーポレートサイト | 〜30万円 |
---|---|---|
テンプレートではないオリジナルデザインで十数ページの制作が可能 | オリジナルデザインの サービスサイト | 30万〜 100万円 |
本格的なWebサイトで機能・デザインの | 動的なデザインにこだわった コーポレートサイト | 100万〜 300万円 |
高機能な独自サービスの実現が可能 | 多様な商品を取り扱うECサイト | 300万円〜 |
「コンテンツ制作費」は文字通りコンテンツを作成する際に発生する費用です。自社でコンテンツを作成を行う「内製」、外部にコンテンツ作成を委託する「外注」、そしてツールを導入したり特定の作業を外部に依頼する「一部を外注」の3つに別れ、それぞれ費用も異なります。
運用体制 | 内容 | 費用 |
内製 | 無料ツールを活用して自社人材で行なう | 人件費 |
---|---|---|
一部を外注 | 有料ツールを活用して社内人材で行なう 有料ツールを活用して分析し、一部施策を外注 | 人件費 ツール代(月額5万〜15万円) 外注費(1記事3万円〜) |
外注 | SEO記事制作会社に全て外注 | 1記事5~10万円 |
次の記事でコンテンツの制作費について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
「運用費」はコンテンツの分析・改善に際して発生する費用です。SEOではコンテンツは制作、発信して終わりではありません。コンテンツが狙い通りのターゲット層に閲覧されているかどうか分析し、狙い通りの結果につながっていなければ改善が必要になります。改善のための作業の一例としては「データ分析からのリライト等の改善案の実施」です。
運用体制 | 内容 | 費用 |
内製 | 改善案の改善点の発見 | 人件費 |
---|---|---|
一部を外注 | 人件費 ツール代(月額5万〜15万円) | |
外注 | 月額30万円〜 |
オウンドメディアの運用については次の記事で紹介していますので、ご覧ください。
SEOの費用対効果を算出するためには、SEOで発生している費用とリターンを把握する必要があります。ここからは、費用とリターンを把握するための方法をご紹介します。
SEOでかかる費用は大きく「外注」と「内製」の2つに大きく分けられます。外注の場合は「外注費」、内製の場合は「人件費」と「間接費」がSEOにおける費用となります。
外注費は、社内で管理している外注業者への費用をまとめたシート等を用意しておくことで確認できます。月ごとで稟議があるケースが多いと思うので、金額を把握すること自体はそこまで難しくないでしょう。
SEOにおける内製の費用は「人件費」と「その他外注費」で考えます。人件費は社員へ支払われる給与や各種手当などが該当し、そこに間接費(消耗品費や備品費)を乗せた金額で考えます。そこに、もし有料ツールを活用している場合などには、「ツール費」などの外注費を考える必要があります。
ここでは以下の例で、かかる費用を概算してみましょう
・SEO業務にあたる者は1名で週当たり20時間ほどSEOに時間を使っている
・人件費=50万円(給与+間接費)
・1日8時間稼働で1か月あたり20日働く
1ヶ月の就業時間=20(日)×8(就業時間)=160時間(月の就業時間)
↓
時給=50万÷ 160(月の就業時間)=3,125円
3,125円(時給)×80(月のSEO業務時間)=250,000円(SEOの内製費)
SEOの内製で発生している費用は月間で250,000円と算出できます。
SEOのリターンの分析にはツールの活用がオススメです。主に使われるツールは以下の4つが挙げられます。
<1>Googleアナリティクス
<2>Googleサーチコンソール
<3>順位検索ツール
<4>オールインワン型ツール
リターンの算出に必要なCV数はGoogleアナリティクスで確認できます。そこにさらにGoogleサーチコンソール等のツールを活用することで、CV数の要因となっている検索順位やセッション数を把握することができ、リターンの発生している要因まで分析することができます。以下でそれぞれの機能やどういったデータを収集できるのかを紹介します。
GoogleアナリティクスはGoogleが提供する無料のアクセス解析ツールです。Webサイトへのアクセス状況を確認でき、流入してきたユーザーの属性や流入先のページ、成果の達成率など、様々なデータの分析に活用できます。GoogleアナリティクスはCV数といった、SEOのリターンを算出する上で重要な指標の確認に使われます。
GA4の詳細な機能については以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。
「サチコ」の愛称で呼ばれるGoogleサーチコンソールは、主にWebサイトの検索のパフォーマンスを分析するツールです。前述したGoogleアナリティクスとの違いは、Googleサーチコンソールは「Webサイトへのアクセス前の分析が得意」という点が挙げられます。WebサイトのGoogle検索での順位やクリック率、表示回数、平均CTRなど、GoogleがWebサイトをどう評価しているのかを調べることができます。
Googleアナリティクスと同様、使いこなすには専門的な知識が必要です。下記の記事で詳しく使い方を解説していますので、ぜひご覧ください。
「順位取得ツール」はwebサイトやキーワードの順位を簡単に測定できるツールです。順位取得ツールにWebサイトやキーワードを一度登録しておけば、いつでも簡単に日々の順位を計測することができます。また、過去のデータも蓄積され、どのように変動しているかを視覚的にチェックできるツールも多く、SEO対策を進めるにはとても便利です。
順位検索ツールもGoogleサーチコンソールと同じく直接リターンを確認するのではなく、CVに関与しているデータである「Webサイト・キーワードの検索順位」の確認という観点で使用されます。
順位取得ツールの解説やおすすめの順位取得ツールは、下記の記事からご覧ください。
「オールインワン型」はSEOに必要な機能が網羅的に搭載されているツールです。SEOのデータ分析では、GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソール等の分析ツールをどれか1つを使えば良いというわけではなく、組み合わせて使う必要があります。それと比較してオールインワン型はアクセス状況の確認や解析やキーワードの調査など、SEOに必要な必要なアクションを1つのツールで完結して行なうことが可能です。
オールインワン型の例としては、PLAN-Bが提供するコンテンツマーケティングツール「SEARCH WRITE」が挙げられます。「SEARCH WRITE」は効果測定はもちろん、課題の分析が簡単に行なえたり、実施した施策を振り返ることができたりと、SEOに必要なアクションを1つのツールで簡単に行える点が特徴です。厳選された「SEOに本当に必要な機能」だけが揃っており、初心者〜中級者に最適なツールとなっています。
「SEARCHWRITE」は、SEOのリターンの確認と要因の分析を1つのツール上で行なうことができます。作業効率の向上に貢献してくれるでしょう。
SEOの費用対効果を高めて成功に導くためには、押さえておくべき重要なポイントが3つあります。
<1>中長期的に取り組むこと
<2>コンテンツの質
<3>継続的なリライト
なぜこの3つのポイントが重要なのか、ひとつずつ解説します
SEOでもっとも大切な点は、「成果が出るまでに時間がかかること」「一定の継続が必要なこと」という観点を忘れないことです。SEOはコンテンツを積み上げる時間が必要であったり、検索エンジンがWebサイトを見つけてデータベースにインデックスするまでに時間が必要だったりと、即効性は低いと言わざるを得ません。このPINTO! も2017年からコンテンツの配信を開始してからリード獲得の柱になるまで3年を要しました。
しかし、Webサイトに十分にコンテンツが積み上がっていけば流入数は増加し、一時的にコンテンツ作成を止めたとしても流入はある程度継続します。また継続した運用でドメインパワーが向上すれば、新規コンテンツの検索順位も上がりやすくなります。またSEOは「流入数」という直接的な効果以外にも、継続的な発信でユーザーの信頼を獲得しブランディングとして効果や、求人へとつながることが期待できます。
成果がでるまでの期間はSEOへの取り組み方によって変わりますが、大切なのは期待した成果が得られていないからと早期に断念しないで、実現性のある目標を立てて運用することです。SEOに取り組み始めた初期段階ではROI(費用対効果)が合わないことがほとんどですが、じっくりと腰を据えて取り組みましょう。
SEOではコンテンツの質、つまりは「検索意図に応えた内容になっているのか」が非常に重要です。検索意図とは、検索エンジンでユーザーが検索した際に、その検索クエリを入力した「目的」や「背景」のことです。
例えばユーザーが「水」というキーワードで検索したとします。この場合、検索結果の上位に表示されるのは「水を販売しているECサイト」です。
つまりユーザーの検索意図としては「水を買いたい」と判断できます。
ただし、同じ飲み物というジャンルでも「緑茶」と検索すると、「緑茶のWikipedia」や「緑茶のおいしい入れ方」が上位に表示されます。つまり「お茶」というキーワードでは、ユーザーは「購入」よりも「情報収集」を目的に検索しているとGoogleは考えていると分かります。
このようにキーワードごとの検索意図を把握し、そのニーズを満たすコンテンツを発信することで、見込み客やリピーター、ファンを獲得することができます。SEOにおいてコンテンツの質を上げることは、成果を出す上で避けては通れない道です。
SEOにおいて既にリリースされたコンテンツの改善、つまりは「リライト」も欠かせない施策の1つです。リライトとは「過去に発信したコンテンツを加筆修正して改善する」施策のことをいいます。弊社で行った調査では、リライトなしで伸び続けるコンテンツは全体の30%程度です。
SEOにおいてリライトが重要なのは、ユーザーの検索ニーズや市場、競合サイトが刻々と変化するためです。公開してすぐ上位表示しないこも往々にしてあります。そのため公開して終わりではなく、定期的にコンテンツを見直し、コンテンツをアップデートしていく姿勢が成果を出す上で重要です。
新しいコンテンツを作成しながら既存コンテンツのリライトを行うのは、なかなか大変ではあるのですが、内製の場合は「SEARCH WRITE」等のリライトを支援するSEOツールを活用することで、工数を削減できます。
リライトの進め方や注意点は以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
ここまで、SEOで費用対効果を算出する重要性とその方法を紹介してきました。SEOは取り組んでから成果がでるまでに一定の期間が必要であり、中長期の運用の中で細かい調整を繰り返す必要があります。そしてWebサイトが現状どのような状態で、どういった段階にあるのかを把握しないことには、正確な改善は行えません。常に費用対効果を念頭に、成果につながるSEOを目指しましょう。