リスティング広告のやり方と手順を解説【完全ガイド】
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最終更新日:2025.11.12
リスティング広告の費用相場や、予算の計算方法が分からないという悩みを持つ方は少なくありません。
この記事では、費用の決め方から効果的な予算の立て方まで、実践的にご紹介します。
💡こんな方におすすめ
リスティング広告の費用相場を知りたい方
自社に合った予算の立て方を知りたい方
自社運用と代理店運用、どちらが合うかを検討したい方
広告の費用対効果を高めたい方
リスティング広告を始めようとするとき、多くの方がまず気になるのは「いくらかけたらいいの?」ということだと思います。そこで本章では、費用相場やクリック単価の相場を紹介します。
ただし、実際の金額は業界や商材、目的によって大きく変動します。そのため「この金額が最適」というものではなく、自社の状況を考えるうえでの一つの判断材料としてお役立てください。
リスティング広告の費用相場は、月額20〜50万円程度と言われています。ただし実際には、100万円以上で運用している広告主様もいます。業界や企業規模、商材によってご予算は大きく異なるのが事実です。
だからこそ、一般的な相場に合わせるのではなく「自社の目的に合わせて考えること」が重要です。具体的な予算の決め方は、後半の「リスティング広告の費用の決め方」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
💡目標によって予算が変わる例
たとえば、企業が「購入(CV)」を増やしたいと考えているケースを想定してみましょう。1件の購入から数万円以上の利益が出る商材であれば、CPA(1件あたりの獲得単価)が1万円であれば十分に許容できますよね。
では、この条件で必要な広告費を計算してみます。(※あくまで単純計算の場合です)
このように、「どれだけ成果を得たいか」によって必要な予算は大きく変わります。
リスティング広告には、Google・Yahoo!ともに最低出稿金額の設定はありません。
ただし、金額が少なすぎると十分な配信量を確保できず、成果につながりにくいのも事実です。
そのため、自社の目標に合った配信金額を設定することが重要です。
下記の画像はWordstreamの調査による、Googleのリスティング広告における業界ごとの平均クリック単価です。(調査期間:2024年4月~2025年3月)
すべての平均では5.26 ドルで1クリックあたり日本円で約774円です。(2025/10/21現在)

引用:https://www.wordstream.com/blog/2025-google-ads-benchmarks
データから、クリック単価は業界によって大きな差がみられました。200円台で配信できる業界もあれば、法律サービスや住宅リフォームのように1,000円を超える業界もあります。
成果を示す数字ではありませんが、どれくらいの単価でユーザーにリーチできるかを知ることで、予算の目安づくりに活用できます。
ただし、同じ業界内でもキーワードの競合状況によって単価は変動します。あくまで目安として参考にしつつ、自社の状況に照らして判断していくのが安心です。
リスティング広告の費用は、TVCMやチラシのように期間や枠で決まった金額を払うのではなく、常に変動する仕組みで成り立っています。
リスティング広告の費用が変動する仕組みを簡単に見ていきましょう。
リスティング広告では、クリック課金方式が採用されています。これは、検索結果に表示された広告をユーザーが実際にクリックしたときにだけ費用が発生する仕組みです。
クリックされるまでは費用がかからないことが、費用対効果が高いと言われる理由のひとつです。
クリック単価は、常に一定ではありません。広告が表示されるたびにリアルタイムで変動しています。
その背景には、オークション制という仕組みがあります。広告が表示されるたびに広告ランクと呼ばれる順位づけが行われ、その結果として表示位置やクリック単価が変わります。

ここでは、「クリック単価は状況によって変わる」 という点だけ押さえておけば大丈夫です。
費用相場を把握したうえで、次に必要なのは自社に最適な予算を決めるステップです。すでに運用している場合でも「いまの予算は妥当なのだろうか」と迷うこともあると思います。
まず予算を考えるうえで押さえておきたいのが、リスティング広告の目的は自社利益を最大化することです。予算の決め方も「どのくらい・どんな成果を得たいか」という自社の目的・目標によって変わります。
多くの場合、広告の目標は「申込」や「購入」といったコンバージョン(CV)の獲得でしょう。そして、1件のCVを獲得するためにかかるコストがCPAです。つまり、費用は以下のように計算されます。
費用 = CPA × CV数
そのため、予算を決める際はまずは許容できるCPAを決めることから始めます。
そのうえで、許容できるCPAを活用して予算を計算していきます。予算の計算方法は、自社のリスティング広告の目的に応じて次の2つがあげられます。
それぞれについて、具体例も交えて詳しく解説していきます。ぜひ一緒にお試しください。
CPAは基本的に安いほど良いですが、赤字にならないためには上限となる限界CPAを求めておく必要があります。
限界CPAとは、1件のCVを獲得しても赤字にならないCPAの限界ラインを指します。
図にすると、以下のようなイメージです。
CPAが利益よりも小さい場合は黒字、CPAが利益よりも大きい場合は赤字になるといえます。

限界CPAの計算式をみていきましょう。
限界CPA = 商品の値段 −(原価 + 経費)
具体例では、以下のように計算されます。
💡具体例:20,000円の商品を販売している場合
原価が10,000円で、経費が3,000円とします。すると、限界CPAは以下のように計算されます。
限界CPA = 20,000円 −(10,000円 + 3,000円)= 7,000円
この7,000円は「1件獲得にかけても損をしないギリギリのライン」です。
なので、ここから確保したい利益額を差し引くことで「許容できるCPA」が決まります。
許容できるCPAが決まったところで、自社の目的に合わせた具体的な予算の決め方を見ていきましょう。
ここまでで、許容できるCPAを明確にしました。次は、自社の目的に合わせて実際に予算を計算する段階に進みましょう。
自社の目標やKPIが「件数」で設定されている場合は、獲得したいCV数から逆算する方法がおすすめです。
予算=目標CV数×目標CPA
たとえば「月に◯件の申込を獲得したい」というように、目標を「件数の獲得」としている企業が該当します。
目標CPAは、「許容できるCPAを決める」で導いたCPAを参考にします。
💡具体例:月20件の申込を獲得したい場合
目標CV数を20件、目標CPAを5,000円とします。すると、予算は以下のように計算されます。
予算 = 20件 × 5,000円 = 100,000円
広告を通して得たい利益が決まっている場合は、利益から逆算する方法がおすすめです。
利益=広告経由の売上 – 広告費
たとえば、「広告経由で〇〇円の利益をあげたい」というように、目標を「利益額」としている企業が該当します。
これだけでは分かりにくいので、式に落とし込むと以下のようになります。

ここでも、計算にあたっては「許容できるCPAを決める」で導いたCPAを用います。
具体例を当てはめながら、上記の式で予算を計算していきましょう。
💡具体例:広告経由で、月額100,000円の利益を生み出したい場合
商品の価格は9,000円、目標CPAを5,000円とします。
100,000円=(9,000円ー5,000円)×CV
CV =25件
予算=5,000円(目標CPA)×25件(CV)=125,000円
商材やCVポイントによる数値の違いや、CPCなど他指標の算出方法も知りたい方は、こちらをご覧ください。
>>数値がズレないリスティング広告のシミュレーションの作り方
リスティング広告の運用を開始する前に、無駄を減らして成果を最大化するための方針も考えておくことが大切です。
ここでは、配信をやめる基準や増額の判断、さらに予算規模ごとに異なる運用の特徴について整理して紹介します。
予算を決めたら、撤退の基準をあらかじめ設定することをおすすめします。
リスティング広告をはじめとする運用型広告の大きなメリットは、配信途中でも改善や停止を柔軟に行えることです。だからこそ「どのラインで一旦止めるか」を決めておくと、無駄な出費を防げます。
配信停止する基準の例
このように、数値や期間で一定ラインを決めておくことがポイントです。
代理店に依頼している場合は、こうした基準を持っておくことで改善施策を検討したり、場合によっては代理店を見直したりするきっかけにもなります。
反対に、増額の基準もあらかじめ考えておくことをおすすめします。
成果がある程度出せている場合、増額することで売上をさらに伸ばせる可能性があります。
増額を検討する基準の例
増額を検討する際は、急に大きく金額を変えるのではなく、段階的に引き上げることをおすすめします。少しずつ調整することで成果の推移を把握しやすく、リスクを抑えながら検証できるためです。
ただし、予算を増やしても費用対効果が悪化したり、成果が頭打ちになるリスクもあります。そのため、判断に不安を感じる場合には、代理店に相談して計画的に進めるのも一つの選択肢です。
リスティング広告は、目標数値や予算規模によって運用のアプローチが変わることがあります。
あくまで目安ですが、予算相場とあわせて「自社ならどんな運用がしやすいのか」を理解しておくと、実行に移す際に役立ちます。

事業規模や業界によって、予算規模に対する運用アプローチ方法は異なりますが、目安は表の通りです。
| 予算規模 | 特徴 | 具体例 |
~10万円規模 | 確実に獲得を狙える層に絞る |
|
|---|---|---|
50万円前後 | 顕在層に加え、比較・検討している準顕在層まで配信 |
|
100万円以上 | 潜在層のさらに一歩手前、情報収集中の準顕在層にも配信 |
|
リスティング広告は、誰でも少額から始められる広告です。その一方で、「難しそうだから代理店に任せたほうがいいのでは?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、代理店は広告運用のプロなので、成果を最大化させる可能性が高いです。ただし、予算規模や自社の体制によっては、自社運用のほうがよい場合もあります。
そこで本章では、代理店を活用したほうがよいケース・そうでないケースを整理して解説します。
自社運用をおすすめする場合 | 代理店活用をおすすめする場合 |
予算が月額50万円未満 | 予算が月額50万円以上 |
コストをなるべく抑えたい | 社内に代理店のノウハウをためたい |
広告運用に割けるリソースがある | 社内の工数が足りない |
もし予算が月額50万円未満であれば、まずは20〜30万円程度で自社運用から始めてみるのがおすすめです。この規模感では代理店に依頼するメリットを感じにくいからです。
代理店に依頼すれば豊富な知見を活かして成果最大化の施策を打ってくれますが、予算が少ない場合は施策そのものが限られるため、代理店の知見を十分に発揮できない可能性があります。
また、自社に経験豊富な運用者がいたり、広告運用に割ける社内リソースがあるなら、コストを抑えながらノウハウを蓄積できる自社運用にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
一方で、50万円以上で運用していく場合は代理店の活用を検討するのがおすすめです。
広告費が大きくなるほど、運用の失敗による損失リスクも高まります。そのため、精度の高い分析や細かなPDCAサイクルを求められる状況では、代理店の専門知識が大きな力になります。
さらに、代理店とのやり取りを通じて自社にノウハウをためていけるのもメリットです。
まずは少額(20〜30万円程度)で自社運用に挑戦し、増額のタイミングで代理店へ移行するというステップを踏むのも検討してみましょう。
代理店に依頼する場合、手数料の相場は運用額の20%です。少額運用の際にはテーブル制で手数料が決まっていることもあります。
さらに、手数料以外にもかかる費用があるため、主な内訳を整理しておきましょう。

主な費用の内訳
また、一般的な運用代行のサービス内容は「広告戦略」「広告戦術」「運用・改善」「報告」の4つに整理できます。

代理店の比較ポイントをまとめた記事もあるので、代理店選びで迷ったときにぜひ参考にしてみてください。
>>失敗しない、リスティング広告の運用代理店の選び方はこちら
これまで費用の話をしてきましたが、実際には「どんな工夫で効果を上げられるのか?」が気になる方も多いのではないでしょうか。
リスティング広告をはじめ、運用型広告は運用次第で費用対効果を改善できるのが大きな魅力です。ここでは、特に抑えておきたい6つのポイントを紹介します。
リスティング広告で成果を出すには、目的と目標をセットで明確にすることが大切です。
広告運用の方向性にあたるのが目的です。「新規顧客を増やす」「問い合わせ数を増やす」といった目的があれば、どんなキーワードや広告文を使うべきか判断できます。
また、成果を測るものさしにあたるのが目標です。「月間問い合わせ数20件」「CPA1万円以内」など数値を設定すれば、広告の成果がプラスかマイナスかを正しく判断できます。逆に設定していないと「成果が出ているのかどうか分からない」「改善の打ち手が決められない」という状況に陥ります。
自動入札機能は、機械学習によって1回のオークションごとに最適な入札価格を自動で調整する仕組みです。
人間の手では難しい細かな調整をして最適化をかけてくれるので、効率的に費用対効果を高めることが可能です。
キーワード、デバイス、曜日・時間帯、エリアなどは定期的に見直しましょう。
特に、キーワードは定期的に見直しが必要です。成果につながらない検索語句や無関係なキーワードは停止・除外設定が必要です。たとえば自動車メーカーの場合、「中途採用」「株価」といった関連性の薄い語句を除外することで、無駄を抑えられます。
クリック率が低いと感じたら広告文を見直す必要があります。
配信量が多く、CTRが高いキーワードを広告文に入れるなど、複数の訴求をテストしながら改善していきましょう。
リマーケティングは、一度サイトを訪れたユーザーとそうでないユーザーを区別して広告文や単価の強弱を出しわける機能です。
ユーザーのフェーズに合わせて広告を変えることで、成約率を大きく高められます。
>>検索広告向けリマーケティング(RLSA)について知りたい方はこちら
広告からLPに遷移したユーザーのCVRを高めるためには、LPの内容も影響します。
具体的には、導線をシンプルにして次のアクションがとりやすいようにすること、商品やサービスを簡潔に伝えることなどが重要です。
加えて、リスティング広告ではGoogleから「ランディングページの利便性」も評価されるため、LP改善は品質スコアの向上にも直結します。費用は追加でかかりますが、LPの改善はCVRの向上と広告運用の効率化の両方に効く重要な施策といえます。
その他、他媒体との比較や費用対効果が出やすい商材など、詳細をまとめた記事もあるので、ぜひご覧ください。
>>リスティング広告の費用対効果について、詳しく知りたい方はこちら
今回は、リスティング広告の費用相場やそのほか費用の考え方について解説しました。
費用相場はあくまで目安であり、運用の仕方次第で成果は大きく変わります。だからこそ、運用前だけでなく運用開始後も自社の実績を振り返り、今の成果は自社の目標に合っているかどうかを見直すことが重要です。
もし「自社だけでは不安」という場合には、プロの代理店に相談してみるのも一つの手です。PLAN-Bでもリスティング広告の運用代行を行っており、無料相談も可能ですので、ぜひお気軽にご活用ください。