LLMOとは?生成AI時代に求められる対策方法を詳しく解説
SEO対策
最終更新日:2025.07.31
2025年9月5日にBrand Summit Autumn 2025にて、弊社SEO専門執行役員の馬谷が、Ahrefsの河原田様とともに登壇いたしました。セッションでは、膨大なデータを有するAhrefs様の調査結果を基に、AI時代におけるSEOの正しい現状認識と、今後の戦略を検討するうえで押さえるべきポイントについて解説しました。
近年、AI Overviewsをはじめとする生成AIの台頭により、「SEOはどのように変化するのか」「これまでの施策は今後も通用するのか」といった疑問や不安の声が高まっています。本記事では、当日の内容をレポートとしてまとめ、日々SEOに携わる方々にとって実務に活かせる示唆をご紹介します。
こんな方におすすめの内容です
SEOは、生成AIやSNSの台頭によって「もう使われなくなるのでは」といった声も聞かれるようになりました。しかし実際のデータを見ると、検索需要はむしろ堅調に伸び続けていることがわかります。
Ahrefsの調査によると、日本におけるGoogle検索の月間検索数は引き続き増加しています。
※日本のGoogle検索の月間検索数
※調査期間:2024年1月~2025年7月
※データ:Ahrefs
検索市場が縮小している兆候はなく、今後一時的な減少があったとしても「Google検索をしなくなる世界」はまだ見えていません。つまり、SEOは終わっておらず、依然として重要な施策 であることがデータから裏付けられています。
2025年3月のコアアップデートと同時期に、GoogleはAI OverviewsをGemini 2.0にアップデートしました。これにより、より多様な検索クエリでAI Overviewsが表示されるようになり、日本国内での表示回数は急増しています。
特定の業界や検索クエリのタイプは、1.9%にとどまらないとは思いますが、Google検索全体を通してこのデータから言えるのは、「AI Overviewsは確かに急速に広がっているが、現時点では全体の一部に過ぎない」ということです。
さらに2025年7月の日本市場では、AI Overviewsが表示される検索結果において、検索1位サイトのCTRは大きく下がっていることがわかりました。
上記のように、AI Overviewsありの場合は、なしの場合と比較して22.6ポイント低下しています。今回の調査は「Knowクエリ(情報探索型)」に限定しており、指名検索などは除外されていますが、それでも「ゼロクリック検索が増えている」傾向は明確です。
また、AI Overviews内で自社サイトが引用リンクとして紹介されても、実際の流入増加にはほとんどつながらないことも明らかになりました。Pew Research Centerの調査によると、引用リンクのCTRはおよそ1%前後にとどまることが確認されています(Pew Research Center, 2025年7月/米国調査)。
さらに、弊社の分析(2025年5月発表)によると、生成AI経由の流入は 全体の最大で0.9% にとどまり、増加分の平均値は+351セッション程度、中央値は+52セッション程度にすぎません。また、Ahrefsの調査では、ChatGPT経由のトラフィックも2025年5月〜7月で全体のわずか0.19%と、Google検索経由(41.9%)に比べればほぼ無視できる規模です。
つまり「AIに引用されたからといって大きな流入増は期待できない」というのが現状です。
ここまでのデータからわかるように、AI Overviewsの登場によって、検索トラフィックの総量は減少傾向にあります。しかし、各業界の市場が縮小したわけではありません。
変化したのは 「市場規模(CV総数)」ではなく「ユーザーの検索行動」であり、それに伴って 「初回接触のタイミング」 が変わっただけといえます。事実、弊社が流入減少サイト57件を検証した結果、AI Overviewsが原因でCVが減ったのは 5件(8.8%) のみでした。
つまり、トラフィックが減っても売上はほとんど減っていないケースが大半といえるのです。
この結果から導き出される仮説は、AI Overviewsで満足してサイトに流入しないユーザーは、「元々コンバージョンしなかった(コンバージョン意欲の低い)ユーザー」であるということです。元々コンバージョンをしていた(コンバージョン意欲の高い)ユーザーについては、依然サイトに流入をしているため、AI Overviewsによるトラフィックの減少ほどコンバージョンが減っていないという結果になっていると思われます。
そのように考えると、トラフィックが減ってしまった検索クエリは、トラフィック増加の価値は下がってもコンバージョンを獲得する価値はほぼ下がっていない可能性があります。トラフィックが減ってしまった検索クエリを抱えるサイト運営者様は、この仮説のもと、現在の検索クエリの価値を再確認いただくと良いかもしれません。
これらのデータから導かれる結論はシンプルです。
したがって、現時点で「急いでAIのためのSEO対策を進める」必要性は高くありません。ただし、「将来的な変化を見据えた先行投資的な取り組みとして、余力があれば検討する」というスタンスは有効です。
むしろ今は、従来型のSEOを継続し強化していくことが最重要であり、それが結果的にAI Overviews対策にもつながります。
Ahrefsの調査によると、100万件のAI Overviewsのうち、引用されたサイトの76.1%はGoogle検索で上位10位以内にランクインしているサイトでした。つまり、検索上位を取るための従来型SEOが、そのままAI Overviews対策にも直結するということです。
また、Googleが長年運用してきた「品質評価ガイドライン」も引き続き重要です。このガイドラインは「ユーザーにとって役立つこと」を原則にしており、今後も大きく変わる可能性は低いと考えられます。AI時代においても、質の高いコンテンツを提供し続けることが基本方針であることは変わりません。
現時点では、AI Overviewsが検索全体に占める割合はまだ小さく、トラフィックや売上に与える影響も限定的です。ただし、将来的には次のような変化も考えられます。
AI経由の直接流入は依然として小さいものの、中長期的なブランド認知やエンティティ強化につながる可能性はあります。したがって 「必須ではないが、余力があればやっておいてもよい」 程度の施策として位置づけるのが妥当です。
AIに選ばれるために特に重要なのは以下の4点です。
これらは従来のSEOでも重視されてきましたが、AI時代にはさらに重要度が増しています。
AIはWeb上に存在する情報をもとに「どのサービスが条件に合致するか」を判断します。
もし自社サイトで「詳細はお問い合わせ」としか記載していなければ、AIは十分な情報を得られません。例えば「掲載順位を調査できるコスパの良いSEOツール」をAIが探しているとき、自社サイトに「順位を調査できる」「コスト面でも優れている」といった情報が明確に記載されていなければ、AIは自社を候補に挙げにくいのです。
AIは情報源の信頼性を重視します。そのため、他のサイトで自社商品・サービスがどのように紹介されているかも重要です。
これは従来のSEOでいう「サイテーション」と同じ考え方ですが、AI時代には一層その重要度が高まっています。
AIは「おすすめする基準(要件)」を、世の中の情報から学習します。例えば「初心者におすすめのSEOツールを教えて」とリクエストされた場合、AIは「初心者向けに必要な条件」を学習して回答を組み立てます。
つまり、自社のUSP(強み)がその「要件」として広まっていれば、AIに選ばれる確率は高まるということです。逆にそのUSPが市場で十分に認知されていない場合は、まず「USPと要件を紐づける情報発信」を行うことが重要です。
例えば自社のUSPが「カスタマーサクセスが充実しており、顧客満足度が高いこと」である場合、商品の特徴などを紹介する直接的なPRとは別に、「初心者がSEOツールを選ぶ際には、カスタマーサクセスが充実していることが重要です。レビューサイトで顧客満足度を比較しましょう。」といった一般論を信頼性の高いメディアで発信する布教活動も求められます。
ただし、これは一般論としてユーザーに有益な真実であることが必須です。あくまでも世の中に発信されていない真実を気づきとして広めることであって、自社に都合が良いだけのユーザーに有益でない情報を布教しようとしても、広く一般化することはないでしょう。
AIに選ばれるためのコンテンツづくりは、オンページ施策だけで完結しません。重要になるのは「広報的な活動」です。
これらは従来のSEOにおける「エンティティ」や「サイテーション」の強化にも直結します。つまり AIのためだけでなく、SEO全体に効く取り組み であり、広報的な活動を含めた戦略が今後ますます重要ということです。
登壇では、Ahrefsの機能を活用して次のような調査・分析ができることをご紹介しました。
自社や競合がAI Overviewsで引用されている検索クエリとその内容を出力できます。自社・競合のAI Overviewsの表示状況をまずは把握しましょう。
ブランドレーダーについて詳しくは、Ahrefs公式サイトにて詳細をご確認ください。
自社・競合の獲得クエリを調査し、AI Overviewsが表示されるクエリを特定できます。ブランドレーダーとの違いは、引用されていない検索クエリの調査もできるため、より網羅的であることです。ただし、AI Overviewsの内容やどのURLが引用されているかはわかりません。

特定のワード(ブランドワード)が含まれるページを抽出し、どのサイトでどう紹介されているかを把握します。バックリンクの調査とは異なり、バックリンクがなくてもブランドワードが使われているページを抽出可能です。
自社がどのページで紹介されているかを知るだけでなく、競合が紹介されていて自社が紹介されていないページ(サイト)を見つけることで、貴社の紹介をしてくれる可能性のあるサイトの発見に役立ちます。
コンテンツの「AI適合性」をスコア化し、改善点を確認できる機能です。GeminiなどのLLMと同様で、関連性と検索意図などをベクトルで適合性を計算し、Ahrefs独自のスコアリングをしています。
ページ全体のコンテンツスコアとページ内のトピック毎のスコアが算出されており、トピック毎に改善方法を提案してくれます。競合の引用されているコンテンツのスコアをベンチマークし改善することで、改善の方向性と程度がわかりやすくなります。
ブランドレーダーの「引用されたページ」を使ってどのLLMにどのページが引用されているかを調査し改善対象のページを発見し、AIコンテンツヘルパーでAI適合性を上げる使い方が便利です。
これらを組み合わせることで、SEOと広報の両面から効率的に「AIに選ばれるコンテンツづくり」を進めていくことが可能です。
今回の登壇内容のまとめは次の通りです。
AI時代のSEOは「従来の延長線上にある進化」といえます。まずは従来型SEOをしっかりと行い、その上で余力があれば「AIに選ばれるための取り組み」を少しずつ進める、というスタンスが現時点では最適です。
発表資料は以下からダウンロードいただけます。
本記事の分析例は、SEO/マーケティングツール Ahrefs(エイチレフス) 、また、AIモード・ChatGPT・Gemini・AI Overviews・Perplexity・Copilotなど主要LLM内でのブランド言及数を瞬時に分析可能なAI検索可視化ツール「ブランドレーダー」を活用したものです。
被リンク分析、競合調査、トレンドコンテンツ探索などを網羅した多機能プラットフォームとして、世界中のマーケターに利用されています。
本記事内で紹介した数値は、Google公式の発表値ではなく、主にAhrefsのデータを用いて分析した結果です。そのため、Googleの正式なデータと比べた「絶対値としての精度」を追求するものではありません。
あくまで Ahrefsが保有する膨大なデータをもとに一貫した調査を行い、その推移や差分を相対的に比較することに重きを置いたものである点をご理解ください。