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2024.11.28
更新日:2024.10.02
公開日:2024.10.02
※本記事は、2024年6月19日に開催されたセミナーを記事化した内容です。
■登壇者
松本健吾(株式会社PLAN-B マーケティング部 「SEARCH WRITE」マーケティング責任者)
京都大学卒。2020年に株式会社PLAN-Bに入社。SEOコンサルティングやネット広告運用などのWebマーケティング支援に5年ほど従事。現在はSEOツール「SEARCH WRITE」やCVR改善ツール「SEARCH WRITE LEAD」などのプロダクトマーケティングを担当。オウンドメディア「PINTO!」の責任者として、自社ツール活用やSEOの深い知見を活かし、獲得リード数を3倍以上に伸ばした実績を持つ。
松山為長(株式会社シーラベル 取締役)
ワークスアプリケーションズにて、営業企画/マーケティング部門の責任者を務める。新規事業立ち上げに伴いプロモーションイベントを企画し、30,000名を動員。また、デジタルマーケティングの導入、インサイドセールス立ち上げ、営業プロセス再設計を主導し、2年でインバウンド商談数500%増を達成。2023年4月にシーラベルにジョインし、BtoB企業向けマーケティングコンサルティングサービスを管掌。
松本:今回は、「予算とリソースをフル活用して成果を最大化するチャネル選定方法」というテーマでお話しいたします。
マーケティング施策についてのノウハウは、ある程度普及してきていると感じています。弊社でも「SEO対策をしましょう」「セミナーはこんなふうに開催しましょう」「広告はこんな風にやっていきましょう」というお話は増えてきています。
一方で、どの施策にどのぐらいリソースを割くべきかの判断を正しくできている企業様はあまりいらっしゃらないのではないかということで、今回はリソース配分について伺えればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
松本:まずは自社に合ったチャネルの選び方について、お話しいただけますか?
松山様:多くのクライアント様にお話しする機会がありますが、「潤沢にリソースがあり、課題がありません」というお客様はなかなかいらっしゃいません。何かしら課題があって、リソースが不足しているというのが現状です。
そのため、施策に関しても優先順位を決めて、注力する部分とコストを抑える部分を明確にする必要があります。特に新規事業を立ち上げた企業様や、スタートアップやベンチャーでマーケティング予算を一気にかけたいという企業様が多いですが、そういった企業様に関しては「どこから手をつけていいのか」から始まるので、そういう方々にもこのセッションが役立てばいいなと思います。
青字で書かれている「自社視点のマーケティングの目的」や「顧客視点」(以下資料参照)が整理できると、黄色の部分の施策が決まります。
多くの方々は、施策ありきで考えてしまうことが多いと思います。例えば「ホワイトペーパーをやりたい」「セミナーをやりたい」という形でご依頼いただくケースが多いですが、「情報」「形式」「チャネル」という形で分解して、その組み合わせを考えると分かりやすいです。
なぜ分解が大切かというと、組み合わせによって得られる効果が変わってくるからです。例えばホワイトペーパーの場合、広告配信をするホワイトペーパーであれば新規リード獲得になりますし、サービス比較として自社のナーチャリングメールで送る形であれば、検討層を発掘することができます。
松本:たしかに、施策が起点になっているケースが多そうですね。自社視点と顧客視点でのマーケティング上の目的は何か、お客様は何を考えているかというところからスタートするのが、基本中の基本です。
松山様:おっしゃる通りです。施策を考えながら、自社視点・顧客視点を整理する形でも良いとは思います。
しかし、例えばホワイトペーパーを作りたいときに、リードを獲得したいのか、検討層を発掘したいのか、ハウスリストを増やしたいのかなどの「何をしてどんな効果を得たいのか」という自社視点を第一に決める必要があります。
次に顧客視点の方に立ち返って、ターゲットがどんな情報を求めているのか、どういう媒体でどういうものを見ているのかについても考えると、具体的になると思います。
現場が忙しくて、戦略設計をしようとしても時間を取るのが難しいという方が多いと思います。施策をベースにして自社視点・顧客視点に立ち返ると、より具体的に考えやすくなります。
松本:おっしゃる通り、自社視点・顧客視点からスタートするのは理想的ですが、それらの知識しかないと施策の引き出しが出てこないので、両方の知識を持った上で自社視点・顧客視点から決めていくのも良いかもしれませんね。
次は目的の整理について、解説をお願いいたします。
松山様:まず自社視点では、どんな課題を解決したいのかが重要です。また、前後のプロセスをみることも大切ですね。
例えばリード獲得できていないという課題があったとき、後ろはどうなっているかを理解しないと適切な施策ができません。インサイドセールスの体制やスキルがない状態だと、リードを大量に獲得しても商談に至りませんよね。そういった課題があるのであれば検討層向けのセミナーを開催し、リードの検討度合いを上げた上で渡すなど、他の方法を検討するのが良いです。
他にも、サービス認知が全くない状態で指名検索を増やしたくてもなかなか増えないので、別の経路でのリード獲得を狙う必要が出てくる場合もあります。そのため、前後の課題を認識しているか、場合によっては他の部分に問題があるのではないかと考えることも大事です。
松本:ありがとうございます。実際「全てに課題があります」という方も多いと思います。そういった場合の優先順位付けや、何から解決すべきかについて考える際、どこから考えれば良いのでしょうか?
松山様:後ろから順番に考えていくのが良いですね。例えばリードを獲得したとしても、後ろで成果が出なければ意味がないからです。
当然、マーケティング部の方がセールスの領域まで手をつけるのは難しいです。そのため、自社のフィールドセールスやインサイドセールスの特徴を理解して、それを前提としてどう解決するかを考えるのが良いですね。理想論をベースに考えると、「インサイドセールスに問題があって」などと他人の責任にしてしまいがちになります。
松本:ありがとうございます。現在の状態を前提としたマーケティングの動き方を作るような、例えばインサイドセールスの人数が少なくリードが捌ききれないなら、顕在層だけを狙うという意思決定をしましょうという進め方が良いんですね。
松山様:そうですね。これは全員が意識すべきところです。
松本:ありがとうございます。自社視点の時間軸について、解説をお願いいたします。
松山様:マーケティング施策には、効果がすぐに出るものと長期的な効果が見込めるものがあります。
短期的な効果が見込めるものには、例えば広告が挙げられます。リスティング広告を回せば、当然インプレッションやWebサイトの訪問が増え、リードが増えます。展示会も3日間で何百リードの獲得が見込めますよね。
長期的な効果が見込めるものには、WebサイトやSEOが挙げられます。SEOの記事を書いてすぐにリードが増えるわけではないですが、数ヶ月や半年経つと伸びてきて、予算をかけなくてもリードが獲得できます。このバランスは大事ですね。
経営から求められているのは、どういうタイムラインかを意識することです。長期的な施策だけやると結果が出ないので、「マーケティングは何をやっているの?結果を出していないよね」と思われて、予算が削られてしまうかもしれません。一方で、短期的な施策だけやると事業が成長しないので、常にお金をかけ続けなければいけない状態になります。例えば、来期の目標が2倍になった場合全く対処できなくなります。このバランスは、重要な判断基準の一つです。
松本:たしかにすごく難しいところですよね。短期間で効く施策も重視したいけれど、半年やそれ以降についても考える必要があるという、両方を考えないといけない難しさがあります。
次に、顧客視点で考える場合のポイントは何かございますか?
松山様:ターゲットが定まっているかということです。顧客がどんなことを考えているのかを理解しないと、施策は決まりません。
自社が本当に狙うべきターゲットが見えているかもポイントです。マーケット全体は把握すべきですが、その中で自社のサービスが活きるところはどこなのかが大事です。
他には関係者の洗い出しも重要ですね。BtoBは複数の関係者で決裁が決まるので、誰にアプローチすべきかを明確にする必要があります。
また、営業の個別アカウントがついているところは重要顧客だと思います。マーケティングと営業で、アプローチの分担をする必要がありますね。
松本:ありがとうございます。営業とマーケティングの分担のお話は面白いですね。どんなお客様を開拓するか考えたときに、このあたりは営業主体で、このあたりはマーケティング主体といった棲み分けがあると、いろんなターゲットが一気に狙っていけますね。
松山様:そのあたりは、カスタマージャーニーマップを作成して、どのチャネルを狙うべきか、どういう情報を届けるかを言語化して整理していただければと思います。
松本:施策やチャネルを整理していくと、穴が空いている場所が整理されてくるということですね。
松山様:次に、どうやって顧客理解をするかについて解説します。
一つ目は、顧客を知っている営業と、実際のサービス利用をされている方を理解している方にきくことです。営業視点だと、価格での差別化がみえがちですが、実際サービスを利用している方はサポートや使い勝手などに目がいくことが多いです。
二つ目は、実際のユーザーさんを思い浮かべながら会話すると、社内のディスカッションが進むということです。
三つ目は、ある程度解像度が上がったら、顧客に聞くということです。
松本:ありがとうございます。たしかに「顧客に聞きましょう」といろんなシーンで語られることが多いですが、視点はそれぞれの人で違うので、具体例をピックアップしてお話ししないと「こういう人が多いんじゃないか」と結局イメージで話してしまいがちですね。
松山様:事例インタビューについて、お客様に「カスタマージャーニーを作っているので、聞かせてください」と言うのは少し難しいと思います。そのため、マーケティング担当者が主体となって、事例インタビュー記事を作るという名目で5社ほどヒアリングするのをおすすめしています。
松本:たしかに、導入事例と合わせてやると一石二鳥になりますね。次に、予算とリソースをフル活用するにはどうすれば良いかについてお聞きしていければと思います。
松山様:先ほどまでのパートが理想の施策に関する話なのですが、それでうまくいかないことは多々あります。その原因が、リソース、スキル・ノウハウ、予算であることは多いですね。
リソースやスキル・ノウハウは当然社内から活用するのも良いですが、外部を積極的に使うのがおすすめです。
マーケティングはなんとなく自社でできそうと思われがちで、専門職として扱われることが多いです。
しかし、例えばプログラミングや展示会のブース作成などであれば、必ず外注しますよね。一方で、セミナーの実行やマーケティングの戦略考案は、本来経験していないと実行ができないにも関わらず、営業の方がマーケティングに来てやるというケースが多いです。こういった形で、なんとなく社内でやってしまうのはすごくもったいないと思います。
松本:最近X(旧Twitter)で、営業をされている方が「リソースとキャパシティを混同しないようにしましょう」と投稿されているのを見ました。量的な意味合いのリソースと、スキルとしての意味合いのキャパシティを誤解してしまうと事故が起きがちになるのかなと感じたのですが、今回のお話にも通ずるところはありそうですよね。
リソースは増えてもスキルやノウハウは増えていない状態だと、施策を実行しづらいですよね。そういった場合は外部パートナーさんを使っていくのが良いと思います。
松山様:そうですね。私の経験から感じたことなのですが、チームメンバーが主要のリソースなので、まずはメンバーの欲求がどうなっているかと、会社やチームのやりたい施策がマッチしているかはすごく重要だと思っています。
前職ではエンタープライズ寄りで、ABM施策をメインでやっていました。しかしメンバーはデジタルマーケティングを学びたいという人が多くて、インサイド寄りの仕事をやってもらう形になってしまいました。
結局望んでいるキャリアが描けないと退職してしまったり、モチベーションが下がってしまって成果が上がらなかったりすることも多いので、メンバーのやりたいことと組織のやりたい施策が合っていない場合は、外注パートナーを使うのも一つの手段だと思っています。その上でメンバーのやりたいことを内部でやるのも、一つの戦略ですね。
理想論ベースで進めてしまって、優秀な人が別の会社に行ってしまうのはすごくもったいないと思います。
松本:たしかに、理想論でいくと目的上こうするべきという形はありますが、現場の状況と合っていなければ、チームの勢いも失われてしまいます。うまくバランスをとることで、進める速さが変わってきそうです。
松山様:そうですね。とはいえ、外部パートナーには予算がないと依頼できませんし、そもそもマーケ担当者が一人しかいない会社もあると思いますので、どうやって予算を拡充していくかは大事なポイントです。
まずは、経営者や他部署に重要性を説明するのが良いですね。経営者や営業担当者は短期的な売上が気になる場合が多いと思いますので、なぜこの施策をやりたいのか、どういう効果があるのかをわかりやすく説明する必要があります。
いろんな方にお話を伺うと、新しい施策についてキャッチアップできていないため、効果をうまく説明できないケースが多いと感じます。そのため、キャッチアップは確実に行う必要があります。
例えば、共催セミナーを5回実施してリードを1000件獲得し、40件の商談に5件受注したとします。経営者や営業の方だと、「テレアポで40件取った方が早い」「営業マンを1人採用した方が絶対受注数が増える」と思われますよね。そういう代替案と比較する必要がある場合、マーケティングの重要性を説明するのは難しいです。
長期的な効果がマーケティング施策の大きなメリットなので、そこを言語化してお伝えするのが大事です。
先ほどの共催セミナーの例であれば、共催先からのメール配信などがされて認知度の向上に繋がりますし、他社主催のイベントに登壇させていただく形でもリードを獲得できます。
あとはコンテンツの拡充ですね。セミナーをホワイトペーパーや動画にして、コンテンツを作成するのも良いです。
他には参加者のナーチャリングも重要です。短期的には5件の受注という結果になりますが、今後1~2年間で獲得した1,000件のリードがどういう効果を生み出すのか説明すれば、共催セミナーの価値が伝わると思います。
松本:先ほどの共催セミナーの例で、40商談という結果のみ見ると「アウトバウンドの方がいいよ」という話になってしまいがちですよね。しかし、その施策が持つ他の効果についても説明できると、共催セミナーの方がいいという判断になりそうです。
他人に説明するときだけでなく、自分の中でどちらに進むべきか決める場合も判断しやすくなりますね。
松山様:そうですね。外部の力を借りるのも非常に良いと思います。「他社の事例を教えてください」「具体的にどういう効果が出ましたか」といろんな企業様に聞いて情報を集めるのが大事ですね。
松本:次に、これまでお話しした内容をベースに、意思決定の流れについてご説明いただければと思います。
松山様:自社をやっぱり客観視することは、非常に重要だと考えています。経営から何か言われたり、これまでやってきた施策が継続していたりなど制約があると思いますので、ぜひみなさんの会社に当てはめて考えていただければと思います。
まずはケーススタディ①のスタートアップのIT企業A社です。
この会社では、とにかく商談数が今足りておらず、知名度も問い合わせもないので、アウトバウンドで商談を作っています。安定的に継続して商談が作れるような基盤を作りたいと考えているけれど、予算がない状態です。
こういう会社にみなさんがいらっしゃったらどうするか、客観的に考えてみてください。
この場合の答えを説明します。初期フェーズではABMを始めたけれど、脱却したいという状況だと思うんですね。
効果的な施策の一つ目が共催セミナーです。コストをあまりかけずに見込み客も増やせるのがメリットですね。若手のメンバーがいるので、注力してハウスリストを拡大します。この場合、約1年で1.5~2.5倍くらいになることが多いです。
二つ目は、SEOの記事作成とWebサイトの改善で問い合わせを増やすことです。インバウンドの方を増やしていく体制を作り、見込み客も増やします。
ケーススタディ②は、営業体制は整っているけれど、今期の商談が足りておらず、上からも「なにか施策はないのか」と言われているケースです。
こちらの場合の有効な施策を紹介します。
3ヶ月ほどで商談を増やす場合、SEO・Web・共催セミナーなどを実施しても手遅れです。そのため、既存のハウスリストを使うことがまずは大事ですね。
オススメの施策一つ目は、検討層に刺さるような「○○サービスの比較選定表」や稟議書のテンプレートなどを作ってメール配信することです。件数は少ないですが、質が高くすぐに商談に繋がりやすいですね。
二つ目は、新規リストへのお手紙送付です。特にニーズの高い業種に絞り、他社事例などを掲載して送ります。
松本:ありがとうございます。フェーズがずれると、今やるべきことが変わるんですね。
松山様:そうですね。営業や案件の状況を確認した上で、切り替えていくのが大事です。
ケーススタディ③を紹介します。
これは大手企業様の新規事業の立ち上げでよくある例ですね。新規事業立ち上げの際はマーケティング部門がなく、事業責任者が一人で進める形になることが多いです。ハウスリストも体制もそんなにないけれど、予算は結構ついて、2年間で立ち上げる予定で進めることになります。
こちらの場合だと、予算を使っていかに広げていくかがポイントになりますので、広告施策が有効です。すぐに商談を増やすという観点だと即効性があるので、Google・SNSで効果のある媒体に特化します。他には比較サイトなどのリード獲得できるサービスを継続的にやっていきます。
また、Webサイトやコンテンツが整っていないので、Webページの作成や導入事例などのコンテンツの作成をする体制を整えます。
松本:ありがとうございます。弊社のマーケティング施策においても、最初は種まきに予算を使い、短期の商談を作るときにシフトするという流れがありました。
次に、施策の実施後に「これでよかったんだっけ?」「あの意思決定は正しかったのか」と振り返るタイミングについても伺えればと思います。
松山様:振り返りのスパンは、四半期に一回が適切ですね。
また、振り返りの際には短期・長期両方のKPIを見せる必要はありますね。
短期的なKPIは、リード獲得数などをおくことですぐに立てられると思います。長期的なKPIは、例えばコンテンツが拡充しているか、サイトへのアクセス数がどう上がっているかといったところが挙げられます。
短期・長期の両方をみないと、短期的な効果が出る施策をやればやるほど評価が高くなる形になってしまいます。
松本:ありがとうございます。一般的な進め方がある一方で、会社ごとに置かれている状況が違うため、意思決定についてはそれぞれの状況に合わせる形になるということですね。
松山様:そうですね。先ほど事例が3パターンありましたが、自社に近いものをヒントにして考えると、新しい観点が出てきます。また、外部ベンダーや別部署の方などの壁打ちの相手を見つけて、客観的にみるのが良いです。
松本:実は、セッション1で、大熊様も近い業界や別部署の方と話してみることで視野が広がるというお話を、ちょうどされていました。置かれている状況を引きでみる工夫は必要ですね。
個人的には、自社の目的、お客様の置かれている状況からスタートして、情報(何を伝えるのか)、形式(どんな形式で伝えるか)、チャネル(どんな手段で伝えるのか)を決めるというのが今回の肝になるお話だと感じました。客観的な目線でターゲットなどの状況をみながら、ケーススタディを参考に社内の意思決定をしていくのが重要ということですね。
本日はご登壇いただきありがとうございました。