【5分でわかる】GTM(Googleタグマネージャー)の設定方法
インターネット広告
2024.11.28
更新日:2024.09.30
公開日:2024.09.30
※本記事は、2024年6月19日に開催されたセミナーを記事化した内容です。
■登壇者
松本健吾(株式会社PLAN-B マーケティング部 「SEARCH WRITE」マーケティング責任者)
京都大学卒。2020年に株式会社PLAN-Bに入社。SEOコンサルティングやネット広告運用などのWebマーケティング支援に5年ほど従事。現在はSEOツール「SEARCH WRITE」やCVR改善ツール「SEARCH WRITE LEAD」などのプロダクトマーケティングを担当。オウンドメディア「PINTO!」の責任者として、自社ツール活用やSEOの深い知見を活かし、獲得リード数を3倍以上に伸ばした実績を持つ。
戸栗頌平(株式会社LEAPT(レプト)代表取締役)
豪州ビジネス大学院国際ビジネス修士課程卒業。複数企業と起業を経てBtoB専業マーケティング代理店へ。その後、外資SaaS企業の日本法人立上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期を牽引。現在、日本のBtoBマーケティングの支援事業を行う株式会社LEAPTにて代表取締役。
林侑平(株式会社ベーシック ferret One事業部 マーケティング統括)
Web専業広告代理店にてBtoB営業と運用の経験を経て、2011年、ベーシック入社。比較メディアのBtoB営業を中心に活動し、その後EC事業の事業責任者を経て、SaaSプロダクトの事業推進に役割変更。カスタマーサクセス部門の立ち上げからセールス部門の責任者を兼任後、パートナーサクセス推進室の立ち上げを推進し、現在に至る。
松本:今回は「顧客理解を深化させる コアターゲットが契約するまでの行動設計の最適解」というテーマでご登壇いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
松本:マーケティングや事業推進におけるペルソナについてのお二人の考えを、まずは伺えればと思います。
戸栗様:ペルソナは、マーケティングを行う上で必ず持たなければならないもので、プロモーションにおいては特に重要です。誰が相手かわからなければ、どういったメッセージを伝えていいかもわからないですし、ターゲットにどういった趣味嗜好があって、どう情報判断するかもわかりません。特にマーケティングは相手が見えない状態でやっているので、ペルソナがないとかなり難しいと思います。
林様:全く同意見です。マーケティングは誰に何をどう伝えるかという仕事です。特にメッセージの伝え方においては、ペルソナはとても重要です。お客様の課題を解決するメッセージを提供していかなければならないので、どういう課題を抱えているのかということがペルソナにギュッと詰まっていると考えています。
松本:ペルソナやカスタマージャーニーマップは、まさにマーケティングのスタート地点ですよね。そのような前提で、本日はポイントやよくある失敗を伺えればと思います。
松本:ペルソナ設計はなんとなく「ターゲットの解像度を上げるためのものだ」と理解されている方は多いのではないかと思います。ペルソナ設計におけるよくある誤解や落とし穴、失敗例があれば教えてください。
戸栗様:よくある誤解でいうと、セグメンテーションとペルソナを混同している方は非常に多いです。セグメンテーションは人を大きな塊として見なすもので、ペルソナはより具体的な個人像です。多くの企業が、ペルソナではなくセグメンテーションを作っているのが現状です。
松本:そうなんですね。そういう方はターゲットの属性だけをみていることが多いのでしょうか?
戸栗様:そうですね。セグメンテーションの属性のみに焦点を当てて、ペルソナを作る方は非常に多いです。広告運用をする際に、場所・性別・年齢などの属性の情報でターゲティングしますよね。それに引っ張られて、セグメンテーションがベースになっているペルソナを作ってしまうのだと思います。本来ペルソナは属性だけでなく、ゴールや課題に焦点を当てた情報が重要です。例えばダイエットの商品でペルソナを作成する際は、年収1,200~1,500万円、夫婦でお子様がいらっしゃるなどといった属性の情報だけでなく、「仕事もバリバリしたいし、強く美しくいたい」といった具体的な課題に重きをおきます。
松本:たしかに、ペルソナを作るときは属性に目がいきがちな方が多いですよね。どんな価値を届けて、何を解決できるのかを話すときは、こういった情報は必要でないことが多いと思います。林様はいかがでしょうか?
林様:BtoBの場合、経営者やマネジメント層がメインターゲットです。彼らはコスト削減や生産性向上、良い組織作りといった課題を持っていることが多いですよね。一方で、現場ではミッション達成のための売上向上が課題となっています。ペルソナをちゃんと立てないと、発信するメッセージもズレてしまいます。ペルソナを作る際は、営業から「受注に至っているお客様がどういう方で、どういう課題を持っているのか」という情報をヒアリングし落とし込んでいくと、マーケティング戦略に反映させやすくなります。
松本:ありがとうございます。受注するお客様にも、さまざまなパターンがありますよね。例えば受注されたお客様からいくつかピックアップした際に、多くのお客様に共通する部分と、詳しく具体的にみていくと異なる部分があると思います。そのあたりはどう考慮すればよいか、コツはありますか?
戸栗様:私は王道のお客様をペルソナにすることが多いです。なぜならペルソナの作成を通して、売上の立つ方をお客様にしたいからです。特殊なお客様のペルソナを作るとしても、優先順位を下げるのがいいのかなと思います。特殊なペルソナばかりを作ると、営業の方々も困ってしまいますよね。もちろん特殊な領域のSaaSなどの場合は例外ですが、SMBなどが前提であれば、まずは王道のペルソナを作るのが良いです。
松本:そうですね。20社ほどお話を聞いていくと、王道のケースやイレギュラーのケースが見えてくると思うので、そういった情報の集め方が良さそうです。林様はいかがでしょうか?
林様:弊社ではニーズ別で数値をみていて、それぞれで受注率にかなり差があります。それらの中でも、マーケはどこを獲得していくか、営業はどこを強化していくかというコミュニケーションが取れれば良いと思います。
松本:そうなんですね。ちなみに、ペルソナを一つ作った後に増やしていくか、はじめからいくつか作成するのかなど、作成にあたりポイントがあれば伺いたいです。
林様:あまり増やしすぎても分散してしまうことが多いので、最初は2、3パターンあれば良いと思います。営業が商談を重ねる中でみえてきたパターンごとに作るのが良いです。
戸栗様:弊社のお客様だと、一つのツールを複数の部門が使う場合があります。その場合は、それぞれの部門にいる代表的な方にフォーカスを当てたペルソナが必要です。なぜかというと、行きつく先は同じでも入口が全然違うからです。プロモーションを行うときに、片方だけに焦点を当てている状態だと、焦点を当てていない方からは当然全く入ってこない状態になってしまいます。
松本:そうですね。今のお話に近い内容になりますが、担当者や決裁者などの意思決定関与者(DMU=Dicision Making unit)と呼ばれるような方々が複数いる場合は、ペルソナを一名分作るのか、複数名分作るのか、決裁者のものだけ作るのか、どうするのが適切だと思われますか?
戸栗様:弊社の場合だと、基本的には情報収集をしている方にフォーカスしてペルソナを作ります。DMUは発案する人、情報を集める人、現場で使う人といった人々の集合体を指します。例えば大企業のDMUのパターンですごく多いのは、執行役員が現場に課題を落としてきて、部長が情報を探し始めて、部長またはその部下がリサーチをするパターンです。その場合は、リサーチしている方が軸となるため、その方に自社商材を見つけていただかないと意味がありません。ただ、決裁者はリサーチ担当者の上長になるため、上申するための情報を含んだコンテンツを、リサーチ担当の方に見つけていただくことが重要です。
林様:弊社でもまさに戸栗様がおっしゃっていたように、弊社もお問い合わせされる方が社内で上申する際に必要な情報を、コンテンツとして提供するということは意識しています。
松本:ペルソナについて詳しくお話しいただきましたので、次はカスタマージャーニーマップにおける考え方についても伺えればと思います。戸栗様はいかがでしょうか?
戸栗様:よくある落とし穴として、ペルソナの課題が顕在化したタイミングからカスタマージャーニーを作ってしまっていることが多いです。本来はもっと前の段階、つまり潜在的な課題の段階からスタートすべきです。
風邪を引いた時を例に挙げます。体調が悪いと感じたタイミングが「気づき」の段階で、風邪だと認識したタイミングが「認知」の段階です。多くの企業は「認知」の段階からカスタマージャーニーを作り始めていますが、その段階だと既に担当者が情報収集を始めているんですよね。マーケティングの役割は、気づいていないお客様と接点を持ち、課題に気づいていただくことなので、「気づき」の段階からカスタマージャーニーマップを作ることが重要です。
また、よくあるのが自社のターゲットの強みなどを考慮せずに、既に顕在化している課題から分析を始めてしまうケースです。なぜPEST分析・STP分析・5Forces分析・SWOT分析などを使うのではなく、顕在的な課題に目を向けてしまいがちになるのかというと、自社のお客様がどんな方々なのか、自社がどういう強みを持っているのかを考慮せずに、「お客様が持っている悩みはこうだ」からスタートしてしまうからです。
そういったミクロの課題ではなく、ターゲットの企業や業界が抱えているマクロの課題を理解することで、ミクロの課題が発生している原因を理解しやすくなります。例えばferret One様の場合だと、マーケターは本来専門職であるべきなのに、日本の企業は専門職でない扱いをしているから、マーケターが事業を一から作り直す場面が発生するのだと理解できます。こういった潜在的な課題が思いつかないときは、目に見えるお客様の課題から一歩引いて、マクロの視点でお客様の業界がどういう問題を抱えているのか振り返るのが良いですね。
松本:たしかに、ターゲットのマクロの課題を認識できている方はなかなかいらっしゃらないのではないかと思います。マクロの課題もみえる形でカスタマージャーニーマップを作れると、ターゲットの解像度がかなり上がりますね。林様はいかがでしょうか?
林様:カスタマージャーニーの各フェーズに合わせて、どういう態度変容を期待するのか、何をゴールにするのかをちゃんと設計することが大切です。また、コンテンツを作る際に、それがどの層に向けたものなのかを明確にすることも重要です。例えば潜在層向けのコンテンツを作ったのに、そこから受注が生まれなければ意味がないですよね。なぜ今この記事を書いているのか、なぜこういう調査リリースを出してるのかというと、潜在層が課題を認知してほしいからです。こういったことを整理しながら進めていくのが大事だなと思っています。コンテンツの種類は本当に多いので、今やってるこの施策は何のために行っているのかを理解した上で作成するのが重要です。
松本:たしかにそれが可視化されていないと、コンテンツを作ってそれが受注に繋がったか振り返ったときに、「いやそのための施策じゃないですよ」というやり取りが発生してしまいますね。
松本:ペルソナやカスタマージャーニーマップの見直しは、どのくらいの頻度で行うべきでしょうか?
戸栗様:具体的な期間を決めるのは難しいですが、ペルソナとカスタマージャーニーを作った後、それを自社のハウスリストにどうやってデータを持たせるか考えた上で反映させ、実際に施策をやってみてはじめて仮説が正しかったかどうかがわかります。ペルソナとカスタマージャーニーの内容をデータに反映させる前に見直すと、整合性がとれないままデータが入ってくる状態になります。ほとんどの企業様ではそれが起こっていると思いますね。作成、施策実施、効果測定が終わって、大きくずれていると感じたら見直しや修正をすれば良いです。一周するのに一年くらいは必要かもしれません。
松本:そもそも、ペルソナとカスタマージャーニーの内容をデータに反映していなかったり、なんとなくうまくいってるから振り返っていない会社さんは多そうですね。作成したペルソナやジャーニーマップの内容に沿った施策を行った後に、意図通りに効果が出ているか検証するというイメージですね。
林様:私も特に期間を決めていませんが、基本的には半年から1年くらいのサイクルでやっています。ただ、施策を行うタイミングで情報をキャッチアップし、必要に応じて見直すこともあります。
松本:決まった期間で見直すというよりは、施策実行、効果検証が一周回るサイズで一旦やってみるのが良いんですかね。また、代理店やエンドクライアントなどターゲットのジャンルが複数ある場合は、ペルソナやカスタマージャーニーマップも複数作成されていますか?
戸栗様:そうですね。弊社では必ずそうしています。代理店とエンドクライアントの課題は全く異なりますよね。入口が全く違うのであれば、別で作るべきだと思います。
松本:ありがとうございます。入口が全く違うのであれば、作らないと施策の打ちようがないので、別で作るべきですね。また、市場によって存在する人達の分母が違う場合も多いと思います。潜在・顕在顧客の獲得数の目標値を初めて決める際は、どのように見積もりを立てると良いでしょうか?
戸栗様:目標値については、やってみないとわからないところが大きいので、一旦施策を回してみるのが良いと思います。また、そもそも目標値に対する母数が足りていなかったり、状況によって母数が変化したりする場合もあるので、売上目標から逆算して目標がどれくらいあれば良いのかを出し、その目標の数が足りないのであればマーケットを作る必要があるという風に進めるのが良いですね。マーケターの仕事は、マーケットを取るだけではありません。数が足りないのであれば、マーケットを作りに行くという思考を持つという選択肢を持つことも重要です。
松本:ありがとうございます。夏場にターゲットが増えるなど、外部要因によりターゲットの増減が発生する場合があることは把握する必要がありますね。また、存在している市場から取りに行くだけでなく、ないのであれば作りに行くのが良いということですね。
顧客理解に関してはいろんなところでききますが、きちんとやれている会社さんは少ないのではないかと思います。その中で、マクロ環境から考えられているか、ペースを決められているかなど、今後顧客理解を深めていく上での進め方について、お話しいただきました。本日はご登壇いただきありがとうございました。