リードのデータを綺麗に保つ!マーケティングに必須の「データクレンジング」を運用に乗せるコツ

こんにちは。MarketingOps(MOps)として会社のマーケティング領域の支援を行っている河合沙和子です。 マーケターが施策を実施したり分析したりできるよう、主にMA・CRMを使ったデータの設計や実装、運用をしています。

近年、MarTech(マーケティング関連の技術・手法・ツールなど)が爆発的に増えています。
マーケターは、いろいろなツールを並行利用していくことになります。
代表的なものとしてはMAで、これをSFA/CRMと連携させて活用することで、マーケティングから営業までのプロセスをつなげて成果分析することができます。そのMAにさらに多様なツールを接続させて、作業を自動化したり、情報を補完したりできる時代です。
しかしさまざまなツールを連携していると、そのはざまで下記のような不整合が起きやすくなります。

  • ツールAとツールBでデータの内容が違う
  • ツールAで消したはずのデータがツールBに残っている

マーケティング施策を分析し、評価する上で、「正しいデータに基づいている」というのが前提となります。
データの不整合を見つけて、何らかの方法で正しい状態に直していく「データクレンジング」が欠かせません。

データクレンジングとは

データクレンジングとは、「汚い」データをなくし、データの正確性を高めることです。

  • データの欠損
  • 不正確なデータ
  • 重複したデータ

こういったデータを見つけ、正しい内容に修正したり不要なものを削除したりすることで、データ全体をきれいな状態に保ちます。

データクレンジングを行わない場合のリスク

データの不整合といっても、日に数件程度しか起きないことが多いです。なぜデータクレンジングを定期的に行う必要があるのでしょうか。
理由は2つあります。

  1. ささいなズレでも、放置しておくと徐々に溜まっていき、いつかはビジネス上無視できない量になるから
  2. データ不整合が起きてすぐに修正に着手すれば、解決が早く、被害拡大も食い止められるから

ささいなズレが溜まって悪影響を及ぼす

例えばMAで1週間に1000人のリードを獲得していて、そのうちのたった1%に当たる10人がSFA/CRMとの連携に失敗しているとします。
これを放置すると、年間で500人以上が連携失敗した状態になります。
この中から商談や受注に至ったお客様がいると、「SFA/CRMでは受注したことになっているのに、MAでは受注数として現れない」という重大なズレが生まれてしまいます。

ズレが溜まることで起きるリスク:

  • 異なる部署/担当者間で成果の認識がズレてしまう
  • 不正確なデータを元に、誤った意思決定をしてしまう
  • 下流でデータを修正するために無駄なコスト(工数)がかかる

定期的にデータクレンジングしていればリカバリが早い

例えば、隔週でデータのチェックを行っていれば、少なくとも2週間に一度はデータの不整合に気づくことができます。
1年前に発生したデータの漏れを補ったり、重複データから正しい方を選んだりするのは難しいです。しかし、1週間前のデータであれば、関係者の記憶やチャットをたどり、不整合が起きた原因を突き止め、正しい状態に戻すことができるでしょう。
また、「ツールの仕様が変わった」「マーケターの業務フローが変わった」ことが原因で不整合が増え始めた、といった重大な(しかし気づきにくい)問題に、早めに気づいて対処できる可能性が高くなります。

データクレンジングを楽に運用に乗せるには?

データクレンジングは、1か月2か月放置したとしても、すぐに売り上げが下がるような業務ではありません。そのため、面倒になって後回しにしてしまいがちです。
これを避けるには、2つのことが大事だと思っています。
まずは責任者を決めること。次に、確認のハードルを下げることです。

責任者を決める

データクレンジングの責任者を決めます。
責任者は、データをきれいな状態に保つことに責任を持ちます。修正作業自体は、より詳しい人にパスするのが効率的かもしれません。
例えば、そのデータをインポートした人や、実際に使っている人に直してもらう、というのも手です。
「Aさんがインポートした先週の展示会リード、電話番号が欠けている人がn人いますよ!データ補っておいてくださいね」
「Bさんが架電している〇〇様、同名のリード情報があります(URL添付)。こちら最新の情報を選んでマージしておいてください」
といったコミュニケーションを取って、データを正しい状態に戻すことができます。
正しい元データを持っていたり、お客様と直接話して最新情報を知っていたりするので、データを補うには適任です。

確認のハードルを下げる

毎週、全ての不整合を探しにいくぞ!というのはハードルが高く、後回しにしてしまいかねません。
なるべく楽に確認できるように、不整合を監視する仕組みを作っていきましょう。

  1. 「毎週ここさえ確認すれば大丈夫」というダッシュボードを作る
  2. 自分に、自動でエラーを通知する
  3. データを修正する人に、自動でエラーを通知する
  4. 自動で解決される

上の手段ほど実装が楽で、下の手段ほど確認作業が楽なことが多いです。
これらを組み合わせて、確認しやすい環境を作っていきます。
1つずつ解説していきます。

「毎週ここさえ確認すれば大丈夫」というダッシュボードを作る

データの不整合があぶり出せるレポートを1か所にまとめておきます。
毎週それをチェックし、エラーがあれば自分で/人に頼んで修正する、というのをルーティーンにするだけで運用に乗ります。
もし新たなデータ連携先を増やしたり、新たな仕組みを実装したりと、データの不整合が起きうる改修を行った場合、すぐにそれをキャッチするためのレポートを作り、格納しておきます。

自動でエラーを通知する

もしデータ修正の担当者が特定できるのであれば、その人に通知が行く仕組みを作るのがベストです。
その人自身が気づき、修正することができます。
(もちろん、それが抜かりなく行われているかどうかを最終的にチェックするのは責任者ですから、やはりレポートなどを作成して定期的に見ておくことも必要です)

担当者に直接通知を飛ばすのが難しい場合、自分に通知されるようにします。
不整合があぶり出せるレポートを作っておき、その内容を週次で自分のメールアドレスに送るように設定しておけば、エラーを見逃さず、まとめて解決していくことができます。

自動で解決されるようにする

例えば、重複しているデータのうち「古い方が不要」と機械的に判断できるのであれば、古いデータを削除する日次バッチを回すのが効率的です。
また、もし人間が何かを手作業で入力することにより漏れや不整合が起きやすいのであれば、それが自動で入力されるような仕組みを実装し、不整合の発生を予防することができます。

まとめ

データクレンジングは面倒ですが、正しい情報に基づいてマーケティング施策を評価し、リードを管理していく上で欠かせない業務です。
データクレンジングの体制を整える上で重要なのは、マーケティング領域のデータの持ち方についての理解です。
マーケターと協力して、

  • どのような状態になっていたら「データがおかしい」と言えるのか
  • どのようなデータ不整合が、どのくらい致命的なのか

これらを聞き出しながら監視の仕組みを作っていくことで、適切な頻度でデータクレンジングを実施し、データを正しく保つことができるようになります。

他にMarketingOps(MOps)にはどのような業務があるのか、ご興味をお持ちの方はぜひ下記の記事をご覧ください。