Web広告の「お金」についての基本を理解!予算、単価、課金方式についてざっくり知ろう

Web広告の「お金」についての基本を理解!予算、単価、課金方式についてざっくり知ろう

Web広告の王道ともいえる運用型広告は、リアルタイム課金であるため純広告のような買い切り型の広告と比較すると、複雑なお金の動きをしています。

大きく知っておくべきことは、課金方式、単価の決まり方、予算の決め方の3点です。

本ページで、Web広告のお金の動きに関してざっくりとした理解をしていきましょう。

Web広告のお金の動き

まずはWeb広告におけるお金の動きの全体像を紹介します。

登場人物は以下の4人です。

① 広告主→ 商品やサービスを宣伝する企業
② 広告媒体→ Google広告、Meta広告 などの広告配信システム
③ メディア→ Webサイト、SNS、アプリなど広告を掲載する場所
④ ユーザー→ 広告を閲覧・クリックする人

広告主がメディアに広告を掲載する場合、両者をつなぐ仲介役として広告媒体が存在します。広告媒体で様々な設定を行うことで、広告媒体が設定に合わせた広告配信を行うのです。基本的には、広告主と広告媒体の間でお金が動きます。メディアと直接的な広告掲載の取引を行う場合は、広告媒体が仲介しないこともあります。

広告主の最終的に支払う金額が決定するまで、広告媒体の裏には以下のような流れが存在します。

Web広告のお金の流れ

広告主が「予算を含む、広告配信のための設定」を広告媒体に伝える。

①の設定に基づいてオークションに参加し、掲載箇所と単価(特定のアクションに応じた単価)が決まる。

ユーザーが掲載された広告に対して特定のアクションをするたびに②で決まった単価分の課金が発生する。

メディアから広告媒体にデータが送られる。

広告媒体は④で送られたデータを集計して、広告主に最終的な広告費を請求する。

※あくまでイメージをつかむためのざっくりとした解説です。


全体のお金の流れは上記の通りですが、Web広告におけるお金の話をざっくりとマスターしていくためには、「予算」「単価の決まり方」「課金方式」についても理解しておく必要があります。

それぞれ、流れの中では以下の部分に該当します。

Web広告のお金に関する3つのトピック

お金の流れとしては「予算の設定」→「単価の決定」→「課金の発生」の順番ですが、どのような課金方式があるのか、どう単価が決まっていくのかを知らずに予算を考えることはできませんので、ここからは「課金方式」→「単価の決まり方」→「予算の決め方」の順に解説していきます。

Web広告の課金方式

まずはWeb広告(運用型広告)における課金方式を確認します。

運用型広告の費用は、リアルタイムに課金額が決まり、広告に対してユーザーが特定のアクションをしたタイミングで課金が発生する仕組みです。

Web広告のお金の流れ(課金方式)

ユーザーのアクション毎に様々な課金方式がありますが、まずはざっくりと理解をしていきましょう。

まずはそれぞれの課金方式の目的とよくある採用シーンを見てみましょう。

課金方式目的採用シーン
クリック課金(CPCウェブサイトやLPへの誘導リスティング広告 など
インプレッション課金(CPMブランド認知度向上ディスプレイ広告SNS広告 など
エンゲージメント課金(CPE)SNSでの関与・拡散促進SNS広告 など
コンバージョン課金(CPA)購入・申し込みの最大化ディスプレイ広告、SNS広告 など
インストール課金(CPI)アプリのダウンロード促進

ディスプレイ広告、アプリ広告、SNS広告 など

動画視聴課金(CPV)動画広告の視聴促進YouTube広告(TrueView)、TikTok広告 など

これらの課金方式は、広告手法との相性や目的によって選ぶことになります。例えば、リスティング広告などの獲得を目的とした広告ではクリック課金方式(CPC)、ディスプレイ広告やSNS広告などの広くみられることを目的とした広告ではインプレッション課金方式(CPM)を採用することが多かったりします。

それぞれの課金方式について詳しく見ていきます。

クリック課金(CPC)

1つ目はクリック課金方式です。

ユーザーが広告を実際にクリックするたびに課金が発生します。1クリックあたりの単価のことをクリック単価と言い、CPC(Cost Per Click)と呼びます。

クリック(≒興味を持ってくれた)したユーザーにのみ費用を払うことができるため、無駄なコストを抑えつつ関心の高いユーザーを獲得できます。

主な目的

  • ウェブサイトやランディングページへのトラフィック増加
  • 商品ページやサービス紹介ページへの誘導
  • 購入や問い合わせにつながる見込み客の獲得

>>クリック課金方式について知りたい方はこちら

インプレッション課金(CPM)

2つ目はインプレッション課金方式です。

ユーザーに広告が1,000回表示されるたびに課金が発生します。1,000回表示あたりの単価のことをインプレッション単価と言い、CPM(Cost Per Mille)と呼びます。

クリック率(CTR)に関係なく、広告の露出回数を最大化できるため、多くのユーザーに広告を見てもらいやすい特徴があります。目に触れる回数が増えることで、潜在層にイメージを浸透させる効果も期待でき、認知拡大の目的で採用されることも多い課金方式です。

主な目的

  • ブランド認知度の向上
  • 新商品の認知拡大
  • 大規模なターゲット層へのリーチ

>>インプレッション課金方式について知りたい方はこちら

💡コラム:課金方式によって媒体の「最適化」の方向性が変わる

Web広告の配信は、広告媒体の「最適化」によって効果が向上します。ここでいう最適化とは、広告の成果を最大化するために、配信対象となるユーザーを広げたり、逆に絞り込んだりする調整のことです。この最適化の方向は、選択する課金方式によって異なります

例えば、クリック課金方式では、よりクリックする可能性が高いユーザーに広告を届けることが重視されるため、クリック率の高い広告が優先的に表示されやすくなります。

一方で、インプレッション課金方式は、ユーザーへの広告表示することが重視されるため、より多くの人にリーチする方向性に「最適化」が進むのです。

このように、課金方式は機械学習の方向性を決めるということを覚えておくとよいでしょう。

エンゲージメント課金(CPE)

3つ目はエンゲージメント課金方式です。

ユーザーが広告に対して何らかのアクション(いいね、シェア、コメント、フォローなど)を行った際に課金が発生します。

ユーザーのリアクションが多い広告は、SNSのアルゴリズムによってさらに多くの人に表示される可能性が高まります。

主な目的

  • SNS上でのユーザーとの関係性強化
  • ブランドや商品の口コミ促進
  • シェア・コメントによる拡散狙い

コンバージョン課金(CPA)

4つ目はコンバージョン課金方式です。

広告経由で特定の成果(購入・問い合わせ・会員登録など)がでた際に課金が発生します。

アフィリエイト広告(成果報酬型広告)と似ていますが、コンバージョン課金方式はあくまで運用型広告における課金のタイミングの1つでしかありません。

アフィリエイト広告よりも、コントロールできる要素やターゲティングの精度が高い点が特徴です。

主な目的

  • 購入・申し込みの最大化
  • 無駄な広告費の削減
  • 高ROI(投資対効果)を求めるマーケティング

インストール課金(CPI)

ユーザーがアプリをインストールした際に課金が発生します。アプリ広告で一般的な課金方式です。

主な目的

  • スマホアプリのダウンロード数増加
  • アプリの新規ユーザー獲得
  • モバイル市場での競争力向上

動画視聴課金(CPV)

ユーザーが動画を一定時間以上視聴した場合に課金が発生します。YouTube広告などで一般的な課金方式です。

課金発生のタイミングは「完全に視聴しきったとき」「視聴途中でもCTAをクリックしたとき」など媒体によっていくつかの設定が可能です。

主な目的

  • 動画広告の視聴数増加
  • 商品やブランドのストーリー訴求
  • 認知度向上+興味喚起

以上が課金方式についてです。ここでは、目的に合わせて様々な課金方式が存在し、選択した課金方式に準じた機械学習が進みやすくなるということを覚えておきましょう。

費用(単価)の決まり方

課金方式(課金のタイミング)について解説をしてきましたが、続いてはこれらの単価がどのように決まっているのかを解説します。

Web広告のお金の流れ(単価)

単価に関する基本の考え方

単価を決める大きな要素は競合性です。Web広告の掲載は多くの場合、オークション制によって決まっています。一般的なオークションも競合が強いと落札額が高くなりやすいように、Web広告の単価も競合性に左右されます。

また、Web広告のオークションでは入札価格だけではなく、広告の品質も掲載可否や掲載場所を決める要素である点が特徴です。

>>広告オークションについて知りたい方はこちら

リスティング広告のクリック単価の決まり方

リスティング広告ではセカンドプライスオークションという仕組みを採用しています。複雑であるため、まずはこれから説明しているように単価が決まっているのだと考えてください。

セカンドプライスオークションでは、クリック単価は一つ下の順位の広告の広告ランクを、自分の広告の品質で割った値に1を足すことで決まります。(あくまでGoogle広告の例ですが、おおむね他の媒体もこの考え方です。)

※実際の計算式はもっと複雑なものであると推測できますが、理解のために単純化しています。

リスティング広告におけるクリック単価の決まり方

上図のような計算が行われて単価が決まっているわけですが、重要なのは

  • 「入札単価=クリック単価」ではない
  • 広告の品質を高めれば、広告ランクは上がり、クリック単価は下がる

ということです。

全ての広告でこの計算が該当するわけではありませんが、競合性が高いと通常のオークション同様入札単価が上がり、広告の品質が高いと単価を下げることにつながるイメージがついていればここでの理解は十分です。

予算の決め方

様々な課金方式とその単価の決まり方についてを知ったところで、そもそもいくらの予算を用意すべきなのかを押さえていきましょう。

Web広告のお金の流れ(予算)

予算の決め方は大きく2つあり、目標から逆算して必要な分を予算とする方法と、使える金額を決め打ちで予算とする方法があります。

逆算アプローチ(目標CPAベース)

1つ目は、得たい成果に合わせて予算を設定する方法です。

詳しい決め方は割愛しますが、例えば1件の問い合わせを1万円以内で収め、100件のコンバージョンを獲得したい場合、以下のように予算が決まります。

広告予算 = CPA × 獲得数
100件 × 10,000円 = 100万円

この時、目標として置いているCPAが妥当かどうかの検証が必要ですので、実際にはシミュレーションを行って数値の調整を行います。

固定予算アプローチ

2つ目は、あらかじめ使うWeb広告に使う予算を決めて、予算内の運用をする方法です。

まずは30万円で広告を試して費用対効果を見ながら予算増加を検討したいなど、初めてweb広告を行う際にはおすすめです。


いずれの方法であっても、最初から大きく投資はせず、小さくテストして最適化を進めていくとよいでしょう。

また、CPCやCPAは競合性や季節性(競合が増えるため)によって変動することがありますので、当初の想定通りに結果が出るとは限りません。費用対効果を意識して、利益が高まる範囲で予算を決定しましょう。

予算を立てた後はシミュレーションを行うことで妥当な予算設定になっているかを確認できます。
>>シミュレーションのやり方を知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

まとめ

今回はWeb広告のお金に関する話をしてきました。

特に知っておくべきことは

  • 課金方式:
  • 費用の決まり方
  • 予算の決め方

の3点です。

費用の決まり方や課金の特性を理解したうえで、いくら予算をかけることが妥当なのかを判断できるようになることが最終目標です。

また多くの場合、予算の決定には最適な運用ができるとしてというような前提条件があります。予算を決めたとき通りの成果を得るためには、それが実現できる分の運用力が必要だということも頭に入れておきましょう。