3C分析とは|具体的な事例で解説―その目的とやり方
マーケティング
2022.12.23
更新日:2022.12.23
公開日:2018.05.16
「1つ買ったら全部揃えたい」
「新しい椅子を買ったら次は机が欲しい」
「集めているフィギュアをコンプリートしたい」
などと思ったことはありませんか?
人間は1つものを買うとそれに共通するものを揃えたいという心理が働きます。ディドロ効果と呼ばれるこの心理は、昨今のマーケティングにおいてさまざまなシーンで活用され、多くのリピーターを生み出しています。
そこで、本コラムでは、「1つ買ったら全部揃えたい」という心理であるディドロ効果についての解説とその活用方法を紹介します。
それでは、ディドロ効果の定義となぜディドロ効果が起こるのか見ていきましょう。
ディドロ効果(Diderot Effect)とは、自らの生活の中に今まではなかった新しいものによって「新たな価値」が与えられた場合、その新しい価値(理想の価値)に合わせて自分の生活環境や持ち物を統一させようとする行動心理です。
例えば、新しい椅子を買ったとき、同時に机やタンスも買い替えたくなったり、ジムに通い始めた人がトレーニングシューズやスポーツウェアを一式揃えたりすることです。
ディドロ効果が起きる理由は、人間の持つ心理の1つである「一貫性の原理」によるものだと言われています。
「一貫性の原理」とは、人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものにしたいという心理です。複雑な要因の絡み合った社会生活の中で、自らの将来を決める行動を決定する際に、できるだけ簡単に行動を決定できるように、自らの行動や発言を一貫すると言われています。
したがって、ディドロ効果は自らの一貫した価値観や行動の自己表現であると考えることができます。自分はどんな人間なのか、どんな価値観を持っているのかを持ち物や生活環境などを統一することで、目に見えるものとして表現していると言えます。
それでは、実際にディドロ効果を使ったマーケティング活用例を見ていきましょう。
IKEAなどの大型家具店では、机や椅子のバラ売りだけではなく、実際の部屋のように机、椅子、ベッド、タンスなどが丸々セットになったインテリアの展示がされています。
一見、インテリアを買った際の部屋のイメージをするためだけのように見えますが、インテリアをセットにすることで、購買者にセットであるという認識を与えるため、そのうちの1つを買った場合、セットのように家具を揃えたいという心理が働き、他の商品の購買欲求を高めリピーターとすることができます。
スマートフォンなどのキャラクターを育成するゲームでは、課金することにより新たなアイテムが手に入ったり、追加コンテンツを入手できたりします。これは自らの育てるキャラクターをさらに自分好みに育てたいという思いから、アイテムや追加コンテンツの購買意欲が促進されます。
また、ロールプレイングゲームなどでは主人公のレベルに応じて使用できる技やスキルをあらかじめ公開することで、現時点では使用できない技を手に入れるためにゲームへの集中度を高めることができます。
さらに効果の高いマーケティング施策にするために、ディドロ効果と相性の良いツァイガルニク効果を紹介します。
ツァイガルニク効果とは、人が達成できなかった事柄や中断している事柄の方を、達成できた事柄よりもよく覚えているという行動心理です。簡単に言うと「最後までやりきりたい、続きが気になる」といった感情です。
出版社の株式会社デアゴスティーニ・ジャパンは、分冊百科の創刊号を格安で販売することで新規顧客を獲得しています。創刊号を格安で販売することで、新規顧客の購入ハードルを下げ多くの新規顧客を獲得し、その中で「続きが気になる」となった人たちに最後まで購入してもらっています。
「1つ買うと全部揃えたい」というディドロ効果と「続きが気になる」というツァイガルニク効果の2つをうまく使った、マーケティング施策となっています。
ディドロ効果とは、自分の生活環境や、所有物を理想の価値観に統一しようとする行動心理でした。
ディドロ効果をマーケティング施策に取り込むことで、商品を分冊百科やゲームのように続きがあるストーリー仕立てにしたり、セットでの販売にしたりすることで購買者に“統一したい”という心理を働かせ、リピーターへと繋げることができるかもしれません。
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