3C分析とは|具体的な事例で解説―その目的とやり方
マーケティング
2022.12.23
2018.05.16
2022.12.23
あなたは生活の中で「もったいないから…」「どうせここまでやったし…」「せっかくだから…」などの理由で物事を判断したり、それらの考えを元に行動をしたことは無いでしょうか?
実はこれ、行動経済学の世界では「サンクコスト効果」と呼ばれており、ご存知の通り日常生活の中にもたくさんあふれています。さらにこの効果はマーケティングにおいても活用されており、上手く使うことでユーザーの消費活動を促進することが可能なのです。
そこで本コラムでは、サンクコスト効果について、身の回りの事例をもとに解説し、マーケティングに活用するための方法をご紹介します。
サンクコストとは、すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のことを言います。例えば、1億円の資金を投下して何か新しい事業を進めたとします。しかし事業は赤字で、今後も黒字の目処は立っていません。このとき投下した1億円がサンクコストになります。
合理的な判断をするのであれば、すぐに事業から撤退するべきですが、既に1億円を投下しているため、人はそれを完全に無駄にする、撤退という判断をとることができない、というようなことが行動経済学において研究されています。
サンクコスト効果についてネット上で調べると、コンコルド効果という名前を目にします。実はこれ、同じ意味の言葉なのです。コンコルド効果は、超音速旅客機コンコルドが名前の由来となっています。
1962年、コンコルドは、世界初の超音速旅客機として約4,000億円をかけて開発が進められ、注目を集めましたが、開発の途中でこのプロジェクトは大赤字になることがわかりました。しかしサンクコスト(今までの投資)を無駄にしたくない思いから、結果的に開発は進められ、最終的に数兆円の赤字になったと言われています。
このようなことから、サンクコスト効果=コンコルド効果と呼ばれるようになりました。
今までは事例として、割と規模の大きなものを紹介してきましたが、ここからは皆さんの身近なところでの事例を紹介していきたいと思います。ぜひ頭に状況を思い描いて読み進めてみてください。
1つ目の事例は、服の整理をするときの事例です。例えば、年末の大掃除をしていたとします。クローゼットに服が多すぎて、整理をしなければいけません。どれを捨てるかを見ていたところ、3年前に15万円で買ったものの、全く着ていないダウンジャケットが出てきました。
合理的な判断であれば、3年間も着ていないことから、捨てるという判断が正しいのですが、15万円というサンクコストを考え、整理がされないという「損」があるにも関わらず、「いつか着るかも」として取っておく、これがサンクコスト効果によるものです。
映画館に映画を見に行ったとします。料金は1,800円。かなりの期待をして席に付きましたが、予想に反して映画は面白くありません。
合理的な判断であれば、時間を無駄にしないよう、すぐに映画館をでるでしょう。しかし1,800円というサンクコストを考え「せっかくお金を払ったし…」という心理が働き、最後まで映画を見てしまう、これもサンクコスト効果によるものです。
では実際に、サンクコスト効果はマーケティングにおいてどのように活用することができるのか、という点を事例とともに説明していきたいと思います。
まず1つ目は、おためし版です。最初は「〇〇日間無料」などとして、商品やサービスに触れてもらいます。そしてある程度無料で商品やサービスを体験してもらった後、有料での使用を促します。
ここでユーザーに、無料の期間にかけた時間や、積み上げたものを無駄にしてしまう、もしくは失うことを「もったいない」と思ってもらうことで、有料になっても商品やサービスを使ってもらいやすくなります。
1年ほど集めることで完成するプラモデルのパーツを付録とした雑誌。これもサンクコスト効果を利用したマーケティングになります。
完成させなければ今まで買ってきたのが「もったいない」と思わせることで、定期的に購入を促しています。この事例においては、初回の購入価格を安く設定することもポイントです。
会員を、購入金額や継続期間に応じてランク付けすることも、サンクコストを利用したマーケティングになります。「せっかくゴールド会員になったのだから」「これだけ続けてきたのだから」などの心理が働くことで、他店舗ではなく、自店舗で購買行動をすることや、サービスを利用する動機づけを促します。
ランクに応じて、ユーザーが魅力に感じる特典やメリットを提示することも忘れないようにしましょう。
さまざまな事例を挙げてきましたが、サンクコスト効果について理解はいただけたでしょうか?ポイントは「もったいない」とユーザーに思ってもらうことです。
ぜひみなさんもこの心理をマーケティングに活用することで、ユーザーの消費活動を促してみてはいかがでしょうか?
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