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インターネット広告
2024.09.26
2024.09.13
2024.09.13
3rd Party Cookieの規制やセキュリティ問題、プライバシー保護に対する関心が高まる中、Cookieに依存せず、暗号化されたセキュアな環境でのデータ統合・分析ツールとして登場したのがデータクリーンルームです。
本記事では、データクリーンルームの活用で何ができるのか、どのような背景で注目が集まっているのかを解説していきます。
データクリーンルーム(Data Clean Room)とは、GoogleやMetaなどのプラットフォーマー(広告サービス事業者)が提供する、プライバシーに配慮した、データ統合・分析をするためのクラウド環境です。
データクリーンルームは、スマホやゲーム機のような概念的なもので、あくまで分析のためのツールです。
スマホにもApple社のiPhoneやSAMSUNG社のGalaxyというように各社から固有のスマホが出ているように、データクリーンルームも、GoogleのAds Data Hub(ADH)やMetaのAdvanced Analytics(AA)など、各プラットフォーマーが固有のデータクリーンルームを保持しています。
データクリーンルーム(以下、DCR)でできることは、主に3つあります。
DCRは、一度配信した広告(主にディスプレイ・動画広告系)の配信結果を分析することができます。
配信の結果を用いた分析でわかることは、どのセグメントに対して効果的だったのか、何回目のリーチタイミングでクリックされやすかったのか、どの時間帯×曜日の動画視聴完了率が高かったのか、広告プロダクトごとの重複接触がどのくらいあったのかなどです。
またDCRはあくまで分析ツールです。
DCRによる分析結果を用いて、視聴完了率の高いセグメントに予算投下を寄せることでリーチの効率化を図ることや、効果は高いが、あまりリーチできていなかったセグメントをターゲティングすることで、見込み顧客の発掘が期待できます。
まとめると、以下のことがデータクリーンルームでできることです。
次は、もう少し詳細なデータクリーンルーム(DCR)の仕組みを解説していきます。
DCRの特徴は、個人を特定されないようすべてのデータを暗号化し、プライバシー保護に留意していることです。また、分析時には個人が特定できてしまうn=1での分析は行われません。必ず複数のデータを統計情報として分析し出力します。加えて、統計データとして処理されていないデータをダウンロードすることはできません。
DCRには、主に以下の3つの入力があります。それぞれのデータの役割や取り扱われ方を以下の図でまとめています。
データクリーンルーム(DCR)と似たツールに、CDP(Customer Data Platform)とDMP(Data Management Platform)があります。
DMPには、3rd Party Dataを活用するパブリックDMPと、1st Party Dataのみを活用するプライベートDMPがあり、プライベートDMPのことをCDPと呼びます。どちらもデータの収集・一元管理を行い、そのデータの統合・分析を行うツールです。
DCR・CDP・DMPでは、主として活用するデータとその取扱い方法が違うといえるでしょう。
場合に合わせて併用することで効果を最大化させることもできます。
主な違いを下記の表で確認しましょう。
できること | DCRとの違い | |
CDP |
| DCRは、配信した広告自体の解像度を上げることができるのに対して、CDPは顧客の解像度を上げることができます。 |
DMP |
| DCRは、Cookieに依存しないプラットフォーム側の統計データを用いた広告分析ができるのに対して、DMPはCookieを中心として3rd Party Dataを用いた広告分析を行います。 |
データクリーンルーム(DCR)は2017年5月にGoogleがAds Data Hubをローンチして以来、様々なプラットフォーマーがそれぞれのDCRを開発し、現在ではより注目されるようになってきました。
この背景には、主にプライバシー保護・セキュリティ観点での話があります。ここでは、DCRに注目が集まっている背景について3点解説していきます。
2018年5月に適用されたEU 一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)をはじめ、世界的に個人情報(プライバシー)の保護を目的とした法規制に注目が集まっています。
2022年4月には日本でも改正個人情報保護法が施行され、「取得・利用」「保管・管理」「提供」「開示請求等への対応」に対しての改正が行われました。
これらの変化に伴い、個人情報を扱うことのリスクが高まったことで、個人を特定できない統計データを扱うDCRに注目が集まり始めました。
2024年7月にGoogleは「3rd Party Cookieの廃止を撤回する」と発表しました。
しかし、他のブラウザではすでに3rd Party Cookieの廃止が進んでいます。Chromeに次いでシェア率の高いSafariでは2022年9月に全面廃止、Microsoft Edgeでも3rd Party Cookieの廃止が予定されています。
特にCookie規制による広告への影響としては、以下があげられます。
Cookie規制の影響をできるだけ受けない分析・活用が今後重要になっていることが、DCRに注目が集まる一番の理由といえるでしょう。
サイバーセキュリティ上の脅威とは、ランサムウェアによる被害や標的型攻撃による機密情報の窃取などにより、社内の重要なデータなどに不正にアクセスして情報が盗み取られるなどのセキュリティ上の脅威のことを指します。
驚異の傾向こそ変わっていないものの、サイバー攻撃関連の事例は増加の一途をたどっています。
参考:総務省|令和5年版 情報通信白書|サイバーセキュリティ上の脅威の増大
そんな中、DCRでは暗号化したデータを統計データとして処理するため、個人情報漏洩対策になるという点も注目が集まる理由の一つです。
ここでは、データクリーンルーム(DCR)活用のメリットを3点紹介します。
ツールとして高度な分析ができるという機能面でのメリットと、昨今の社会的な背景を考慮した面でのメリットがあります。
DCRにおける一番のメリットはCookieに依存しないデータ分析が可能という点にあるでしょう。
Cookieレス時代が到来し、今までのような3rd Party Cookieによる大規模かつ効率的なデータ収集ができなくなり、データ活用に関する規制も厳しくなってきています。
DCRでは、問題となっている個人を特定できるデータを活用せず、ユーザーの「まとまり」毎に集計したデータを取り扱った大規模分析ができるため、Cookieに依存しないというメリットがあります。
DCRのもう一つの大きな特徴は、プラットフォーマーの大規模データを用いて独自の分析軸で分析が行えるという点です。
通常管理画面上では、クリック数やインプレッション数、コンバージョン数などの情報を確認することはできます。しかし、実際に配信した広告がどのようなユーザー群に視聴されやすく、どのようなユーザー群には視聴されにくいのかなどの情報を知ることはできません。
しかしDCRでは、どのセグメントに対して有効でどのセグメントに対しては有効じゃなかったのかという配信結果をカスタマイズしながら可視化することができます。
また、掛け合わせでのデータ抽出やクライアントデータや外部データを掛け合わせた独自分析など、柔軟なレポーティングも可能です。
データを基にしたターゲット設定など、広告プランニングの最適化に応用していけるといったメリットがあります。
主要な分析例
分析手法 | アウトプット形式 |
オーディエンス分析 |
|
FQ分析 |
|
動画視聴分析 |
|
重複接触分析 |
|
背景でも言及したように、近年ますますサイバーセキュリティ上の脅威が増大しており、企業の顧客データが流出するという報道・ニュースを見ることも多くなりました。
DCRは、データを取り扱う際に個人を特定できないように暗号化(データの加工)をしています。そのため、万が一データが流出してしまった場合にも、個人を特定できるようなデータの流出は防げるというメリットがあります。
ここまでデータクリーンルーム(DCR)の特徴やできること、メリットについてお話してきましたが、DCRはなんでもできる万能ツールではありません。
活用や導入を検討するにあたり、以下の2点を注意点としておさえておきましょう。
DCRでは、ユーザーIDなどの個人レベルの情報は分析・集計の結果として出力されません。
プライバシー保護の観点ではメリットのように聞こえますが、裏を返せば集計結果が少ない場合には、分析が行えないということです。仕組み上、集計結果が一定の閾値未満の場合は、データそのものだけでなく、集計結果の数値自体が出力されないことにも注意しましょう。
DCRを使用するうえでの注意点の1つ目は以下の通りです。
2つ目のDCRの注意点は、導入にあたって初期費用と運用管理コストがかかるという点です。
IABの調査によると、DCRの平均年間ランニングコストは約5,000万円というデータが出ています。
また、データセキュリティ・分析などの専門知識のある人材が必要です。こちらもIABの調査によると、DCRを活用している企業の半数近くは6人以上の専門家を抱え、約3分の1の企業は最低11人の専門家を抱えるとのことです。基本的には代理店を通した活用になるでしょう。どちらにしても、人件費や手数料が追加でかかることになります。
また、CDP・DMPとの併用により、効果を高めることができます。併用の場合はその分のコストも考慮しなければなりません。
IABとは
Interactive Advertising Bureauの略で、Web広告における技術的標準規格の策定をはじめ、同行貯砂や法整備を行る組織です。
データクリーンルーム(DCR)の種類は大きく分けて2種類あります。
1つは大手プラットフォームが提供しているDCR、もう一つは企業や代理店が提供しているプライベートDCRです。ここまでは、大手プラットフォーマーをベースとして解説してきましたが、ここではそれぞれの違いと具体的なDCRを紹介します。
大手プラットフォーマーのDCRの大きな特徴は、特定のプラットフォーム視点のデータを活用できるということです。
プラットフォームのデータ×代理店やクライアントの持つ顧客データ(1st Party Data)×外部の事業者が持つ外部データ(2nd & 3rd Party Data)の掛け合わせで分析が行われます。
プライベートDCRではプライバシーが保護されたセキュアな環境ではありつつ、プラットフォームのデータが必ずしもあるわけではありません。
主には、代理店やクライアントの持つ顧客データ(1st Party Data)×外部の事業者が持つ外部データ(2nd & 3rd Party Data)の掛け合わせで分析が行われます。大手プラットフォーマーのDCRよりもカスタマイズという面で柔軟で自由度が高い一方で、データ集めが大変という特徴があります。
大手プラットフォーマーのDCR、プライベートDCRに加え、「CDP・DMPとの違い」で紹介したCDP、DMPの主な違いは入力の違いです。主にどのようなデータが入力され、データの管理、統合、分析が行われているのかを以下の図で確認してみましょう。
主な大手プラットフォーマーは以下の通りです。
提供元 | 名称 |
Ads Data Hub(ADH) | |
Amazon | Amazon Marketing Cloud(AMC) |
Meta | Advanced Analytics(AA) |
LINE | LINE Data Clean Room(LDCR) |
Yahoo! | Yahoo! Data Xross(YDX) |
X、電通、電通デジタル | X Data Hub Omusubi |
SmartNews | SmartNews データクリーンルーム |
NTTドコモ、インテージ、ドコモ・インサイトマーケティイング | ドコモデータクリーンルーム |
主なプライベートDCRは以下の通りです。
提供元 | 名称 |
LiveRamp | LiveRamp Safe Haven |
Snowflake | – |
Acompany | – |
CCI | Syncly |
TOPPAN | TOPPANデータクリーンルーム |
ご紹介してきた通り、データクリーンルームはプライバシー保護と高いセキュリティを備えた、データ統合・分析ツールです。Cookieに依存しない統計データによる分析が可能なため、今後さらに重要性が増してくるツールだといえます。
現状、データクリーンルームを活用できる代理店は限られています。また、参入障壁が高いという問題もあり、まだまだ多くの企業が導入できているわけではないでしょう。
しかし、早期に活用を始めることで、データの蓄積量という意味合いでも他社に差を付けられ、Cookieレス時代に素早い対応ができるツールでもあります。
弊社PLAN-Bは、データクリーンルーム活用が可能な代理店です。データクリーンルーム(DCR)にご興味を持たれましたら、弊社PLAN-Bにお気軽にご相談ください。
インターネット広告の運用は、実績のあるプロに任せることをオススメします。PLAN-BのWeb広告運用サービスは、継続率93.7%で国内上位2%の運用力があります。目先の利益ではなく、顧客の持続的成長を第一に考えるとともに、期待以上の成果を出すことに注力しておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。