【専門家コラム】採用領域における生成AIブランディング – 学生のAI活用の実態とこれからの新卒採用

【専門家コラム】採用領域における生成AIブランディング – 学生のAI活用の実態とこれからの新卒採用

私たちPLAN-Bグループ(以下、PLAN-Bと記載)では現在、お客様との接点の持ち方に明確な変化を感じています。

事業の現場では、AIの推奨をきっかけにお問い合わせをいただくお客様が少しずつ増えてきました。お問い合わせフォームでの「PLAN-Bを知った経緯」への回答のうち、実に約28.5%はAI経由です。(2026年4月の調査)

しかし、それ以上に顕著な変化が起きているのが、採用の現場です。

PLAN-Bの新卒採用においても、「AIにおすすめされたことがエントリーのきっかけとなった」と回答する学生が増えてきています。商談の現場よりも、採用の現場でこれほどまでに顕著な数値が出ている理由は、デジタルネイティブである若い世代にとって、AIが単なる道具ではなく「思考のパートナー」として定着しているからに他なりません。

なぜ、学生たちはAIの言葉を信じ、選考に進む決意を固めるのでしょうか。その背景には、これまでの採用媒体や検索エンジンでは踏み込めなかった、新しい信頼の構造があります。

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「誰にも言えない本音」を受け止める、AIという存在

2025年12月に私たちが実施した調査では、就活生の約70%が生成AIを活用し、その6割以上が「AIをきっかけに新しい企業を知った」と回答しています。

生成AIをきっかけとして企業を知った割合

この数値以上に注目すべきは、彼らがAIに対してどのように心を開いているかという点です。

これについてPLAN-Bは、「学生たちは、親や友人、あるいは大学のキャリアセンターにも相談しにくい “自分の本当の適性” や “将来への漠然とした不安” を、AIには包み隠さず打ち明けているのではないか」と推測します。

AIは、その極めてプライベートな自己分析の過程を把握したうえで、Web上に存在する膨大な情報の中から、その学生の価値観に適合する一社を提示してくれるのです。

自分をさらけ出した相手(AI)が、自分の文脈に合わせて選んでくれた一社。そこには、一方的な広告や検索結果のリストからは得られない、深い納得感が生まれるはずです。この「文脈の適合」こそが、現在の学生たちがAIによる推薦を信頼する最大の理由だと考えます。

PLAN-Bの事例が示す、情報の「質」の転換

PLAN-Bの2027年度新卒採用においても、「AIにおすすめされてエントリーした」と答える学生が散見されました。

この事実は、単にAIを活用する学生が増えたことだけでなく、私たちの採用戦略がAIに正しく認識されていることを裏付けています。

ここで、もう一つの調査結果を見てみましょう。先ほどは、「企業の発見」に関する調査でしたが、こちらは「応募・選考の判断」に関する調査です。

生成AIの選考判断への影響度合い

つまり、この結果から「発見のきっかけとしてAIに推奨される」だけでなく、「選考過程で適切な情報をAIに代弁してもらう」必要があると考えられます。

選考過程では、業界研究や企業研究をはじめ、経営思想や具体的な現場のエピソードを求めてAIとの対話が起こると予想できます。直接会う前の段階で、すでに「質の高いマッチング」が始まっているのです。

これまでの採用ブランディングは、いかに魅力的なメッセージを広く届けるかという「露出の量」に重きが置かれてきました。これからのAI時代には、企業の表面的な装飾ではなく、Web上に点在する具体的な情報のコントロールが重要になります。

AIに自社を正しく認識させるための「情報の整え方」

では、企業は具体的にどのような準備をすべきでしょうか。

PLAN-Bは、AIに好かれるためのテクニックを追うのではなく、AIが学生の相談に応じる際の「根拠」となる一次情報を、いかにデジタル空間に揃えておくかが重要と考えます。

なぜなら私たちが行わなければいけないことは、学生の様々な悩みや不安、懸念に回答することだからです。AIの対策ではなく、学生がAIに質問したときに様々な切り口で回答できるための根拠となる情報を揃えることが、学生に最適化することであり、AIに最適化することになるのです。

今回はPLAN-Bが実践している具体例をもとに、以下の3つの観点をお伝えします。

AI時代の採用における「情報の整え方」

一次情報の解像度を高める

第一に、採用サイトにおいて、抽象的な表現を可能な限り使わないようにしています。

入社した社員の意思決定の過程や、入社後に直面した困難など、AIが「企業の文脈」として理解できる具体的なテキストを配置することが、精度の高い推奨につながります。

▼新卒採用サイト内のインタビューコンテンツ

百々雅基_インタビュー

>>コンテンツを見てみる

「覗き見感」のあるコンテンツ

またPLAN-Bでは、あえて整いすぎた発信を避け、現場のリアルな取り組みや、新卒の成長、具体的な組織体制をなるべく事実に近い形で理解していただくために、求職者向けのnoteを運営しています。

PLAN-B_note

採用サイトだけでは、どうしても情報を整えすぎてしまい、実際の現場感のようなものが伝えられません。採用において、学生のリアルな悩みに直結する「覗き見感」や手触り感のある情報こそが、AIにとっては他社と識別するための重要な手がかりとなります。

具体的なコンテンツ例をピックアップしました。どのようなコンテンツを用意しているのか気になる方はぜひご覧ください。

現場のリアルな取り組みをコンテンツ化した例
若手社員の裁量の実態をコンテンツ化した例
新卒のトレーナー制度をコンテンツ化した例
具体的な組織体制をコンテンツ化した例

ターゲットに応じた情報の点在設計

採用では、人が組織に共感する要素と言われている「4P」という概念が重要です。

採用における「4P」

  • Philosophy(理念・目的)
  • Profession(仕事・事業)
  • People(人材・風土)
  • Privilege(特権・待遇)

どのような価値観を持つ学生に届けるべきかを設計したうえで、これらを整理し、noteやYouTubeなど多角的なメディアに情報を配置しています。

学生によって、「動画で実際の雰囲気を知りたい」「テキストでしっかりと中身を把握したい」など様々なニーズがあります。興味のフェーズによっても適した接点や接触方法は変わってくるでしょう。

これはAIにとっても同様です。学生からの質問によって参考にする情報源は変わります。

どのフェーズ、どの質問に対しても適切に情報を提供できるように、それぞれのチャネル選定が求められます。

▼実際の働く雰囲気を伝えるための密着動画



まとめ:採用担当者は「情報空間の設計者」へ

近年の新卒採用市場は売り手市場であり、企業側が「見極める」のではなく、学生を「口説く」採用スタンスが求められます。

💡近年の新卒採用市場

リクルートワークス研究所の調査では、2027年卒の大卒求人倍率は1.62倍、2026年卒は1.66倍と、企業の求人総数が民間企業就職希望者数を上回る状態が続いています。加えて、マイナビキャリアリサーチLabの調査によると、2026年卒の採用充足率は69.7%にとどまっており、企業が計画通りに採用人数を確保しきれていない状況も見られます。さらに、内定辞退率が5割以上の企業が41.5%にのぼるなど、学生が複数の選択肢を比較しやすい状況が続いています。

学生は複数の企業の選考を、同時並行で進めています。当たり前ですが、その間すべてのリソースを1つの企業に割くわけではありません。学生の就活は、「自社と会っていない時間」に進んでいくのです。

だからこそ、「学生がAIと対話している “会っていない時間” に、自社がどう語られているか」の設計こそが、これからの採用競争力を左右すると言っても過言ではありません。

採用担当者や経営者に求められるのは、優れた話し手であること以上に、デジタル空間における情報の在り方を整える設計者としての視点です。

 

まずは、ターゲットと想定する学生になりきって、主要なAIに問いかけてみてください。

「私の価値観は〇〇ですが、どの企業がおすすめですか?」

もしそこで自社の名前が挙がらないのであれば、それが今、向き合うべき課題です。情報を整え、AIに自社の真実を正しく語ってもらうこと。その静かな積み重ねが、次世代の優秀な人材を惹きつける確かな力になると確信しています。

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