
SEOとは?SEO対策で上位表示するための具体施策と事例を解説
SEO対策
2025.03.03
更新日:2025.03.17
公開日:2018.04.26
ECサイトの集客において、検索エンジンからの流入は欠かせません。
しかし、単に商品ページを作成するだけでは、検索結果で上位表示されず、競合に埋もれてしまうことも…。本記事では、ECサイトのSEO対策の基本の考え方から、具体的な進め方を詳しく解説します。
出典:https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240925001/20240925001-1.pdf
近年、国内の電子商取引(EC)市場は着実に成長を続けています。経済産業省による「国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)」によれば、BtoC向けECの市場規模は、24.8兆円で前年比9.23%増となっています。BtoB向けでは、市場規模は465.2兆円で、前年比10.7%増です。
こうした市場拡大の中で、ECサイトのSEO対策の重要性はますます高まっています。その理由として、以下の3点が挙げられます。
EC市場の拡大と競争激化
EC化率の向上に伴い、多くの事業者がオンライン市場に参入し、競争が激化しています。検索結果の上位を獲得し、ターゲットユーザーにリーチするためには、SEO対策が不可欠です。
消費者の購買行動の変化
経産省のデータでは、物販系ECの主要カテゴリーは「食品・飲料・酒類」「家電・PC」「衣類」「生活雑貨」などが中心となっています。これらの分野では、消費者がGoogle検索を活用して比較検討する機会が多く、検索結果に表示されるかどうかが売上に直結します。
越境EC市場の成長
日本企業が海外市場に向けた販売を強化する動きも広がっています。2023年、中国の消費者による日本のECサイトでの購買額は2兆4,301億円(前年比7.7%増)に達しました。グローバル市場での競争に勝ち抜くためには、多言語SEOや検索エンジンごとの最適化が必須となります。
このような背景もあり、SEO対策の強化はEC事業者にとって最優先課題の一つです。SEOは一朝一夕で成果が出るものではなく、継続的な取り組みが不可欠です。検索アルゴリズムの変化に対応しながら、戦略的に施策を積み重ねることで、着実に成果を出していきましょう。
では、ECサイトにおけるSEO対策には、どんなものがあるのでしょうか。ECサイトは、多様な条件の組み合わせで自動的にページが生成されるという特徴があります。このような特徴を持つECサイトにおいては、
正しくクロール・インデックスさせること
という2つの観点が大前提として大切です。
ECサイトでは、フィルタリングやソート機能、パラメータ付きURLなどの影響で、膨大な数のページが自動生成されることが多いです。そのため、検索エンジンが不要なページをクロールしすぎたり、重要なページを見逃したりしないように管理する必要があります。
例えば、フィルタリング結果のページをインデックスさせないためにnoindexを設定する、色違いの商品ページが複数ある場合は正規URLを指定するなど、正しくクロール・インデックスさせるための施策が必要です。
コンバージョンが目的となるECサイトでは、カテゴリーページ(リストページ)の評価を上げることが重要です。
例えば、「ノースフェイスパープルレーベル バック」というクエリでは、画像左のように、ECサイトのカテゴリーページが多く上位表示されています。これは、ユーザーの多様なニーズを網羅できるのがカテゴリーページだからです。
このように、Googleなどの検索エンジンはページコンテンツだけでなくそのページが属するディレクトリ自体も評価しています。検索需要を考慮したカテゴリを設計し、しっかりと評価を上げていくことが、ECサイトの成功には不可欠なのです。
ここまでの基本の考え方を踏まえて、具体的なSEO施策の進め方を見ていきましょう。主な流れは以下の通りです。
ECサイトのSEO戦略でまず重要なのは、「自社で勝てるキーワード戦略を立てる」ことです。
単に競合がまだあまり対策していない、検索ボリュームが少ないキーワードから攻めていく方法もありますが、自社事業のポジショニングと紐づけたキーワード戦略を立てることをおすすめします。
特に後発となるECサイトでは重要な観点ですので、必ず押さえておきましょう。事例を交えて紹介します。
LOWYAは、見事に自社事業のポジショニングと紐づけた勝てるキーワード戦略をとり、成果を出しています。
以下は、LOWYAを運営するベガコーポレーション社のIR情報で公開されている図です。X軸がトレンド性の高低、Y軸が価格の高低を表した図ですが、LOWYAはその中で「低価格×トレンド性が高い」ポジショニングをとることで、競合との差別化を目指しています。(=自社事業のポジションニングの話)
このポジショニングに基づき、LOWYAは「おしゃれ」というキーワードが戦略の要にしていると思われます。事実、ECサイト内のほとんど全ての商品一覧ページに「 おしゃれ」というキーワードを含んでいるからです。
結果として、おしゃれを含む獲得クエリでは、家具業界のECサイトで絶対的な王者である「ニトリ」を上回り、トップページでは「家具 おしゃれ」「インテリア おしゃれ」などのクエリで1位を獲得するほど、”おしゃれ”というトピックで認識されるようになっています。
このように、「自社事業のポジショニングと紐づけた」「勝てるキーワード戦略」をとるということがECサイトでのSEOでは重要です。
キーワード戦略には、「どのキーワードで上位表示するか」だけでなく、「どのページで上位表示させるのか」も含まれます。
前提として、ECサイトでビッグキーワードを対策する場合、カテゴリーページが対策ページとなることが多いです。ですが、商品数が少なければ対策キーワードで検索するユーザーの検索意図を満たせないため、上位表示が難しくなります。
例えば実際に検討候補となるビッグキーワードで検索してみると、Amazonや価格.comといった大手のECサイトが独占しているケースがあります。それらを差し置いて、上位表示するのは至難の技です。
そのため、「自社で勝てるキーワード」かつ、「商品数を担保できるカテゴリーページ」を設計します。大きなカテゴリーだけでなく、必要に応じて中カテゴリー、小カテゴリーといったように細分化しましょう。このカテゴリー設計も、SEOで成果を出すにはかなり重要な観点になります。
キーワード戦略が設計できたら、カテゴリーページの下層に位置づく商品詳細ページの品質・独自性を高め、存在する商品詳細ページをしっかりとインデックスさせます。 (色違いの商品詳細ページや、絞り込みの掛け合わせ条件が多いページなどは、必ずしもクロール・インデックスさせない場合もあります。)
具体的には、
などです。また、自社商品でない場合、卸のメーカーが提示しているテキストをそのまま使うと低品質扱いになる可能性もあるため、これも心当たりがあれば改善が必要です。
その他にも、比較的取り組みやすい施策を以下にいくつか紹介します。
ECサイトではテキストよりも画像が求められるケースが多いです。そのため画像の枚数を増やすことで、コンテンツの質を高めます。
ただし画像を増やす際にはファイルサイズに注意してください。ファイルサイズが大き過ぎるとページの読み込み速度が遅くなってしまうので、画像は圧縮してからアップすることをおすすめします。
その他、以下の点も考慮しましょう。
ECサイトでは動的にURLが生成されるため、重複コンテンツが生じやすいです。別々のURLで同じ内容のコンテンツが発生する場合には、canonicalタグを設定し、正規URLを指定しましょう。色違いの商品ページなども対象です。
対応するページ数が多い場合は、robots.txtでクローラーをブロックし、無駄なページへの回遊を制限する方法をとるケースもあります。
商品詳細ページからカテゴリーページへ内部リンクを集めることで、ページ間の関係性をGoogleに伝えるとともに、商品詳細ページの評価をカテゴリーページへと渡していきます。
また、商品詳細ページで品質を高めたのと同じように、カテゴリーページ自体にもユーザーに役立つコンテンツを入れていくことが大切です。
Googleのジョンミューラー氏も、ECサイトのカテゴリーページにリンク以外のコンテンツが何もないと、上位表示するのは難しくなるといっています。カテゴリーページであっても、ユーザーに役立つテキストコンテンツを追加して、単独のページとしての価値を持たせること意識しましょう。(ジョンミューラー氏はGoogleのウェブマスター・トレンド・アナリストで、SEOに関連する情報を多く発言されている方です)
「単独のページとしての価値を持たせる」とは、例えば次のようなものです。ただ商品リンクを並べるだけでなく、ユーザーが商品を探しやすいような工夫がされています。
これ以外にやるべき施策は例えば、
などです。それぞれ解説します。
検索エンジンのクローラーが頻繁に訪れるページを活用し、適切に内部リンクを設置することで、サイト内のクロール効率を向上させます。また、静的リンク(動的URLではなく、固定のURL)を使用することで、検索エンジンがページを正しく認識しやすくなります。
トップページや主要なカテゴリページはクローラーの訪問頻度が高いため、そこから主要なページへの内部リンクを設置しましょう。たとえば、「新着商品」「売れ筋ランキング」などの一覧ページから個別の商品ページにリンクを送ると、クロールが促進されやすくなります。
パンくずリストの設定も有効です。
タイトルやディスクリプション、見出しを改善することで、Googleクローラーにサイトを見つけてもらえる可能性が高まります。
ディスクリプションを改善するためには、まずはキーワードを適切に取り入れることが重要です。キーワードを取り入れることで、検索結果に表示される文章がより詳細になり、ユーザーがサイトの内容を把握しやすくなります。
また、ディスクリプションには、サイトの概要を記載することで、ユーザーがサイトを選択するきっかけを与えることもできます。
例えば、ECサイトが家電製品を販売している場合、ディスクリプションには、「家電製品を最安値で販売!最新モデルも充実!」などのように、サイトの特徴を記載することで、ユーザーがサイトを選択するきっかけを作ることができます。ディスクリプションを改善することで、ECサイトのSEO効果を高めることができます。
ECサイトでは、大量の商品ページやフィルターページ、キャンペーンページなどが存在し、適切なインデックス管理を行わないと重複コンテンツの発生やSEO評価の分散につながります。そのため、noindexやcanonicalタグを適切に使用し、検索エンジンに正しくページの優先度を伝えることが重要です。
重複になりやすいページには以下のものがあります。
2018年8月にスピードアップデートが実施されてから、現在ではランキングの評価要素となっています。Googleの発表によると、表示に3秒以上かかると53%のユーザーが離脱すると伝えられているので、積極的に速めるように心がけましょう。改善を行う際は、現状のサイト表示速度とその改善方法をツールで確認します。
画像を圧縮してサイズを小さくすること、不要なJavaScriptやCSSを削除すること、キャッシュを有効にすることなどがあります。また、サーバーの設定を最適化することも重要です。
関連記事:【WEB担当者必見】PageSpeed Insightsを使ってサイトの表示速度を改善しよう!
ユーザービリティを意識することも、ECサイトのSEO効果を高めるための重要な対策です。商品購入までの導線を改善することにより、ユーザービリティが向上するだけでなく、成約率のアップにも繋がります。シンプルでわかりやすい導線作りを目指しましょう。
例えば、
などの対策を行うことで、商品を購入するまでのサイト内でのユーザーの流れを改善することが可能です。トップページだけでなく、ユーザーがどのページからアクセスしても購入ページまで誘導できるように、カート機能への遷移ボタンをわかりやすい位置に設置しましょう。
このとき、モバイル端末からのユーザービリティにも留意します(=モバイルフレンドリー化する)。サイト内の文字サイズや画像のサイズを調整し、モバイルデバイスでも見やすいECサイトを作ることで、より成果のでるサイトを作れます。
カテゴリーページのSEOで最後の決め手となるのは「商品数(≒商品詳細ページ数)」です。 検索ニーズがあれば基本的にそのカテゴリーページは作成したいですが、そもそも商品数を確保できない場合はそのカテゴリーは作成しません。(つまり注力商材ではないカテゴリーはSEOの技術だけで上位表示するのが難しい可能性が高いです)
商品数を確保できない場合は、モール型ECの方が相性がいい可能性もあります。また、データベース型サイトの運用目的によってはSEOではなく広告でコンバージョン獲得を目指した方がよいケースもあるため、状況に応じて最適な施策を講じていきましょう。
ここまで紹介してきたように、ECサイトはその特性上、重複コンテンツが発生しやすいです。例えば以下のように、フィルタやソートでURLが無限に生成されます。
同じ内容のページが複数あると、どのページを検索結果に出せばよいか検索エンジンが判断しづらくなります。結果として、複数のページが競合し、どれも順位が上がりにくくなる(カニバリゼーション)可能性があるのです。
そのためECサイトのSEO対策では、
などの対応が求められます。
インターネットが普及した現在、物販をする上で欠かせないツールであるECサイト。
ブランドの認知度を高めるために、オフラインではTVCMやラジオ、またネット上ではリスティングやSNSなどでプロモーションをかけることもあるでしょう。認知度が高まることで、ECサイトへのアクセスが増えると共に、商品購入に至るユーザーが獲得できます。
ただし、これらは全て広告費がかかるので、できれば費用がかからないSEOで集客をしたいものです。ECサイトの場合、記事系のコンテンツを中心とした一般的なサイトとはSEO対策の方法が異なります。
ECサイトの場合、動的にURLを振り分けるページ(商品の絞り込みやショッピングカート内のページなど)が多く存在します。このようなページはユーザーにとって必要でも、クローラーが無駄に回遊してしまうページが発生する可能性があり、サイト設計の段階である程度理解しておく必要があります。
このようにクローラーのことを考えた上で、より大切なのがユーザーにとって使い勝手の良いサイト構造にすることです。