アドベリフィケーションとは? デジタル広告に欠かせない理由を解説

「アドベリフィケーションって具体的に何のこと?」「アドベリフィケーションを理解して、自社のマーケティングに活かしたい」

そんな疑問や興味をもっている方に向けて、この記事ではアドベリフィケーションの基本的な概要や、導入方法をご紹介します。本記事を読むことで、広告配信におけるリスクや、アドベリフィケーションに基づいた対策方法がわかりますので、ぜひ最後までお読みください。

アドベリフィケーションとは

アドベリフィケーションとは、配信されている自社広告が、適切なサイトに掲載されているか、またきちんと見られているかを検証するツールです。英語では「adverification」と書き、そのまま訳すと「広告(ad)検証(verification)」となります。

自社広告が毀損されていたり、広告費が無駄になっていたりしないか確認するためにも、デジタル広告運用において重要なツールです。現在では、海外をはじめ日本でも多数の企業が導入しています。

アドベリフィケーションにおける3つの観点

アドベリフィケーションは、以下の3つの観点から広告が毀損されないよう対策していきます。

  • ブランドセーフティ
  • アドフラウド
  • ビューアビリティ

それぞれ解説していきます。

ブランドセーフティ

ブランドセーフティとは、自社ブランドの安全性を意味します。

暴力性を含んだり、反社会的であったりする不適切なサイトに自社広告が配信されてしまうと、ブランドのイメージや信頼が毀損されてしまいます。そうならないために、安全で適切なサイトにしか表示されないようにするのがブランドセーフティへの対策です。

あらかじめ該当するサイトやコンテンツをリスト化し、除外していく方法などで対策していきます。

アドフラウド

アドフラウドとは、人間のユーザーではなく機械(botなど)が広告閲覧やクリックをすることで、不正に広告費を搾取する広告詐欺を指します。

広告の裏に隠し広告を配置し、実際に表示されていない広告に対しても表示されたとカウントしたり、自動的に何度も広告を更新して表示回数を水増ししたりするなど、悪質な広告が存在します。

このように、実際に人に見られていないにもかかわらず、広告費が発生してしまうのは避けたいもの。そのため、きちんと“人”に対して広告が表示されているかを検証します。

急激なクリック数の増加やコンバージョンの上昇が見られた場合に、アドフラウド被害を疑ってみるとよいでしょう。

ビューアビリティ

配信した広告が、実際にユーザーが見られる状態にあったかどうかをビューアビリティといいます。また、掲載された広告のうち、見られる状態で表示された広告の割合を指す場合もあります。

例えば、ページ全体に3つの広告を載せていたとしましょう。しかし、ユーザーは途中でページを離脱したために、画面上で見た広告は1つです。それにもかかわらず、スクロールした先にあるユーザーが目にしていない2つの広告も1回の表示としてカウントされ、広告費が発生してしまう場合があります。

このような事態を避けるために、ビューアビリティの検証が必要となるのです。

アドベリフィケーションがもたらす効果

アドベリフィケーションを使い、広告の配信状況を検証・把握することで、主に以下の2つの効果が期待できます。

  • ブランドイメージの向上・維持
  • 費用対効果をより高められる

どちらもデジタル広告を運用するには欠かせない要素であり、アドベリフィケーションを導入するメリットでもあります。それぞれ確認していきましょう。

ブランドイメージの向上・維持

アドベリフィケーションのブランドセーフティ対策を行うことで、ブランドイメージを向上させたり、良質なイメージを崩さずに維持できたりします。

広告配信が容易にでき、プラットフォームも拡大した現代では、配信した広告がどのような場所で表示されているか把握することは難しくなってきています。そのため、違法サイトや暴力的・性的な要素を含むサイトに表示されていないか検証し、掲載されていた場合は停止するなどして対策していく必要があるのです。

アドベリフィケーションによって、知らないうちにブランドイメージが下がってしまうのを避けられ、マーケティングに重要な顧客の信頼や安心感を獲得できます。

費用対効果をより高められる

アドフラウドやビューアビリティの対策では、費用対効果の向上が期待できます。

安心・安全に広告を打つことも必要ですが、それらを機械ではなく人に、きちんと見てもらうことが重要です。ユーザーの目に届いたものだけに広告費が発生し、そこからクリックやサービス購入に繋がれば、費用対効果も高めていけます。

無意味なサイトや場所に掲載していてもコストがかかるだけですので、広告運用の最適化を目指していくためにもアドベリフィケーションは重要な役割をもちます。

アドベリフィケーションが必要になった背景

ここまで、アドベリフィケーションの概要や効果についてお話ししてきました。

では、なぜこのようなデジタル広告に対する対策ツールが必要不可欠になってきたのでしょうか。アドベリフィケーションが重要視され、ニューノーマルとなった背景を知り、理解を深めていきましょう。

デジタル広告に潜むリスク

簡単に広告掲載ができるようになり、デジタル広告費がテレビ広告費を上回ったとされる現在、膨大な数の広告を管理することがむずかしくなってきました。

不適切なサイトの横に貼られた広告は、イメージが悪くなり、ユーザーへの印象にも影響します。時にはクレームとして広告主に連絡が来ることも。

こういった事態になったのは、収益を追い求め、クリック数ばかりに重きを置いた結果が裏目に出てしまい、その広告が表示されている場所に配慮していなかったことが原因ともいえます。

このようなリスクから、配信さえすれば誰かの目に留まるという考えではなく、ブランドそのものの安全性を確保することが重要だという考えが広まっていきました。

今やアドベリフィケーションはデジタル広告においてのニューノーマルとして、欠かせない取り組みとなってきたのです。

アドベリフィケーションの動向

アドベリフィケーション推進協議会の調査報告によると、2021年にJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)が設立されたのをきっかけに、国内でもアドベリフィケーションの認知度・対策率がアップしてきました。

現在では、大規模な企業での取り組みも増加し、中小規模の企業でも年々関心が高まってきているようです。

技術が進むと同時に、サービスを周知させるのは簡単で便利になります。しかし、その一方でデジタル広告の配信も複雑化していくため、それに伴うリスク対策は今後さらに必要不可欠なものになっていくでしょう。

アドベリフィケーション対策のPre-BidとPost-Bidとは?

アドベリフィケーション対策を行うタイミングは、広告配信前と配信中、そして配信後の3つです。この中で、広告配信前と配信中に有効活用できる「Pre-Bid」と「Post-Bid」について解説していきます。

入札する前に対応するPre-Bid

Pre-Bidの「Pre」は「前に」という意味をもつ接頭語で、「Bid」は「入札」を意味する単語です。つまり、入札前=広告を配信する前に、アドベリフィケーションの観点から問題がないか判定し、事前に対策する方法を指します。

具体的には、DSPから広告配信のリクエストがあった際に、ブランドイメージを損なう可能性はないか、アドフラウドに晒される危険性はないかなどを確認します。

リスクがあると判定された場合は、リクエストを止めて広告を配信しないようにするだけです。広告配信前に対策できるため、無駄なコストを割かずに済みます。

広告配信後に対応するPost-Bid

Post-Bidの「Post」は、「あとに」という意味の接頭語です。つまり、入札後=広告を配信したあとの結果から、アドベリフィケーションのリスクがあったかを可視化・分析して対策する方法です。

公序良俗に反するサイトで自社広告が配信されていた場合は、そのサイトで広告を表示させないように代わりにブロッキングバナーを配信します。

アドベリフィケーションを導入するには?

アドベリフィケーションを導入する方法は、2つあります。

  • アドベリフィケーションツールのベンダーに依頼
  • 自社または代理店が独自に行う

それぞれの特徴や方法を確認して、導入を検討する際の参考にしてください。

アドベリフィケーションツールのベンダーに依頼する

1つ目は、アドベリフィケーションツールを扱うベンダーに依頼して対策を行う方法です。

実績や費用などから自社に適したベンダーを選択します。その際に、前途したPre-Bid/Post-Bidの対策も実行できます。ベンダーによっては対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

日本のベンダーはまだまだ少ない傾向にありますが、アドベリフィケーションに精通した企業に依頼すれば安心して任せられます。

自社または代理店が独自に行う

もう1つの導入方法は、自社または代理店が独自に行う方法です。

自社または代理店が持っているブラックリストなどを用いて、広告配信先から除外し、アドベリフィケーション対策を行っていきます。広告主独自の基準で配信先を選定できるのがメリットといえます。

一方で、日々量産されるサイトに対応できるかというと厳しい側面もあるでしょう。ブラックリストの更新頻度を高めるには、ベンダーを利用した方が効率がいいとも考えられます。

アドベリフィケーションツールのベンダー3選

ベンダーを導入してアドベリフィケーション対策を行う際に、どのベンダーに依頼するか悩むこともあると思います。そこで、アドベリフィケーションツールを扱うベンダーを3つ選定しました。

  • IAS
  • Momentum
  • 日本オラクル

各ベンダーの概要や特徴をまとめていますので、参考にしてください。

IAS

(引用:IAS

最初にご紹介するのは、IAS(Integral Ad Science)です。

米国発の企業で、日本でも数千のメディア・企業・プラットフォームとパートナーシップを結び、代表的なアドベリフィケーションベンダーとして地位を確立しています。

『上質な広告に上質なインプレッションを』と謳うIASでは、あらゆるデバイスで安全な環境のもと広告配信されるようサポートします。商品と関連づいた場所で広告を配信することで、よりユーザーにインプットされると考え、ホワイトリストを作ってそのサイトへ配信することも可能です。ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティそれぞれの対策に対応しています。

適切な配信方法で、広告主のサービスやキャンペーンを打ち出し、より優れたコンバージョンと成果に結びつけられるよう、企業に寄り添った提案が期待できます。

Momentum

(引用:Momentum

Momentumは、国内初のアドベリフィケーションの会社として2014年に設立されたベンダーです。『無価値な広告をゼロにする』を理念として事業を行っています。

サービスの特徴は、包括的なリスト提供が可能であることです。このサイトやコンテンツを排除しておけば問題ない、といったリストを確認するだけで対策ができるため、運用側の負担を軽減してくれます。

予算の関係や人員負担のことから、アドベリフィケーションのようなリスク対策を導入しにくい中小企業に向けたサービスも提供。価格帯を下げた工数の少ないアドベリフィケーションツールが魅力です。

日本オラクル

(引用:日本オラクル

米国のオラクル・コーポレーションの日本法人として1985年に設立された日本オラクル。リアルタイムベースの広告へのアクションを測定、指標化するOracle Moatを利用して、ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティ、そしてPre-Bid/Post-Bid対応を実施します。

また、消費者分析情報を提供することで、広告予算の管理やブランド適合性などを見極め、信頼できるサイトへの配信拡大をサポートします。

このような収益、評判の保護、ユーザーのアクションを分析するOracle Moatは、Adweekの2021 Reader’s Choice: Best of Tech Partner Awardsで、3つのカテゴリで賞を獲得。評価の高いツールとして、各企業で活用されています。

まとめ

アドベリフィケーションは、誰もがさまざまな情報へアクセスでき、仕組みを構築できるネット社会において非常に重要な役割を果たします。まずは、アドベリフィケーションについて理解を深め、自社でどのように導入し活用していくか方向性を明確化していきましょう。

アドベリフィケーションについてアドバイス、またはサポートが必要な場合は、ぜひPLAN-Bにご相談ください。デジタル広告に精通したコンサルタントが、お客様の現状や目標をしっかりと把握し、理想的な広告運用を共に目指します。まずはお気軽にお問い合わせください。