アトリビューション分析とは|ユーザー単位の広告効果測定を分析モデル毎に解説

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最近、アトリビューション分析について興味を持つ広告主様が増えてきているように筆者は感じております。

ただ、「なんとなくやったほうがいいとは思っているがどんなことなのかよくわかっていない。」だったり、「代理店にそんなのやらないほうがいいと断られた。」など、まだしっかりと実用できている広告主様は少ないのではないでしょうか。

今回はアトリビューション分析の概要から実際にどのように活用していくべきなのか、について解説していきます。


インターネット広告におけるCV計測のジレンマ

これまでのインターネット広告は、各媒体ごとでラストクリック(刈り取り)型のCV計測手法を活用し、CPA目標を掲げて代理店に運用を任せる形が主流でした。

しかし昨今、SNS広告やDSP広告、その他様々なネットワーク系の広告媒体が広まってきています。これにより実は1人のユーザーしかCVに至っていないにも関わらず、各媒体に接触したことから様々な媒体でCVが計測されてしまう、「重複CV」の問題が徐々に深刻となってきました。

重複CV

では逆に、もう全ての接触をCV計測しよう!と思っても同じ媒体・アカウント内で複数回接触していれば、最後に接触したキャンペーンや広告グループにCVがつくようになり、同媒体内で初回接触したキャンペーンや広告グループにはCVがつかない現象が発生しています。

こうした傾向は、アクセス解析ツールやアトリビューション分析が可能な専用ツールなどを活用することで把握できます。

これらのツールを導入すると、個別ユーザーが「どの媒体と」「いつ接触して」「どのような経路を辿って」「最終CVに至ったのか」を、媒体を跨いでユーザー単位で計測することが可能です。

アトリビューションモデルを取り入れず、ラストクリックのみを評価する手法を取ってしまうと、最終の刈り取りができるリタゲ/リマケのキャンペーンを過大に評価してしまうことになります。

逆に、DSPの新規ユーザー向けオーディエンス配信などのキャンペーンは、新規ユーザー接触率が非常に高いにも関わらず刈り取りには向かないため、ラストクリックのみの評価軸では過小にしか評価ができません。

ラストクリックのみで、媒体/キャンペーンの評価を下すということは、獲得効率の良いリマケ/リタゲに広告予算を投じ、初回接触を創出できるものの獲得が不得意なキャンペーンの予算を減らす、ということになります。

新規ユーザー集客予算を減らし、リタゲ/リマケにばかり予算を通じてしまうと、徐々に獲得数が先細りになってしまうのは自明の理です。


各施策を正しく評価できるアトリビューション分析とは?

アトリビューション分析とは、直接成果に繋がったものだけを評価するのではなく、それまでに接触したものも含めて全てを評価する分析手法のことを言います。

サッカーに例えると、ラストクリックのみを評価していたこれまでの手法は、点数を入れたFWのみを評価し、最初に相手からパスを奪ったDFや最後に素晴らしいパスを出したMFのことを評価しない手法。

アトリビューション分析は、パスを奪ったDFも、素晴らしいパスを出したMFも、最後に点数を入れたFWにも適切な割合で評価ポイントを与えよう!といった手法となります。

アトリビューション分析

サッカーで強いチームをつくるためにはアトリビューション分析のような手法で全メンバーを評価しないといけないように、広告でも全ての接触を評価できる手法を用いる必要があるのです。

このアトリビューション分析には各接触ポイントの評価の比率をどのように分配するのか。といった様々なモデルがあるので、1つずつご紹介します。


01.ラストクリックモデル

ラストクリックモデル

こちらはこれまで行っていたラストクリック(最終接触点)のみを評価するモデルです。結果はアトリビューション分析を行わないものと同じですが、このモデルもアトリビューションモデルの1つとして考えられています。


02.起点モデル

ラストクリックモデルとは逆にファースト(起点)クリックにのみ、100%の貢献度評価を割り当てるモデルです。ユーザーの拡大やブランディング、認知の拡大などを行う場合に適しています。

03.線形モデル

線形モデル

線形モデルとは、過去全ての接触を均等に評価するモデルです。CVまでに4回接触していたとすると、各接触ポイントに25%ずつ評価を割り振ります。全体的に同じ配分となるため、「均等配分モデル」と呼ぶ場合もあります。


04.減衰モデル

減衰モデル

減衰モデルとは、接触ポイントが終点に近ければ近いほど評価の比率が高くなる評価モデルです。(CVまでにA→B→C→Dを経由したとすると、A:5%、B:15%、C:30%、D:50%のようにD→C→B→Aの順で評価比率が高くなります。)


05.接点ベースモデル

接点ベースモデル

接点ベースモデルとは、最初に接触したポイントと最後に接触したポイントを多く評価するモデルです。おおよそ、最初と最後に40%ずつ、途中の接触は合わせて20%の比率となることが一般的です。(CVまでにA→B→C→Dを経由したとすると、A:40%、B:10%、C:10%、D:40%のようにAとDを多く評価します。)


06.カスタムモデル

カスタムモデルは、自分でカスタマイズして、評価モデルを構築するものです。


なぜ、このように様々なモデルがあるのかというと、実は全てのビジネスモデルに共通して活用できるアトリビューションモデルというものがないからなのです。

例えば、低単価商品を多く取り扱っている総合通販サイトであれば、購買までの検討期間がそこまで長くないことから、いかに低単価で多くのユーザーを集客できるか、そしてそのユーザーをいかに低単価でCVに導くか、が重要となります。

そうなると、初回接触と最終接触(リマーケティング/リターゲティングなど)以外の途中経路にはあまり価値がないため、接点モデルを取り入れることが多くなるでしょう。

また、BtoBで検討期間の長い高単価な商材であれば、新規接触でそのままCVするよりも、複数回に渡る広告接触を経て、長期間かけてCVに至ることが想定されます。その場合は、終点に近いほど評価を上げていく「減衰モデル」を採用することがベターかも知れません。

このように、広告主様のビジネスモデルに合わせてアトリビューション分析のモデルを選定して活用する必要があります。 


アトリビューション分析を行うメリット

アトリビューション分析を行うと、以下のようなメリットが得られます。

パーソナライズの改善につながる

アトリビューション分析を行うと、Webサイト内でのユーザー動向を分析できます。どのような内容が求められているのかなど、ニーズの把握にもつながるため、より的確なカスタマージャーニーマップの作成が可能となるのです。

上手に活用し、それをもとに改善を行うことで、よりニーズに沿ったサービスの提供もできるようになります。このようにアトリビューション分析は、パーソナライズの改善においても非常に有効な分析方法となるのです。

コンバージョン数の増加につなげられる

アトリビューション分析を行うと、適切な広告効果の測定が行えるようになります。結果、運用している広告の精度が高まり、コンバージョン数の増加へとつなげられるのです。またアトリビューション分析を行うことにより、どのタイミングや経路でユーザーの離脱が発生しているのかがより明確になります。改善箇所や課題がより明らかとなるため、見直すべきポイントを的確に改善でき、コンバージョン数の増加を目指せるのです。

全体を通して適切な予算設定や配分が行える

アトリビューション分析を用いることで、コンバージョンへ至るまでの経路を適切に把握・分析できます。たとえば複数の広告を経てコンバージョンに至っている場合、どの広告に対する予算を強化して良いかわからないケースもあるでしょう。

このようなケースでもアトリビューション分析をもとに算出した貢献CPAに応じて予算配分を行うことで、適切かつ効果的に予算配分が行えるのです。しっかりと広告効果が出せているところにたいし、さらに予算をあてることでコンバージョン数の向上にもつなげられるでしょう。

アメリカではもう当たり前!アトリビューション分析の現状

日本ではまだあまり一般的に言われていないアトリビューション分析ですが、実はアメリカではもう既に主流となっています。

アメリカの調査会社であるeMarketerが2017年に発表したレポートによると、2014年には既に61%の企業がアトリビューションモデルを採用しており、2018年には86%もの企業が導入する見込みだと伝えています。

※調査対象は100名以上の従業員が在籍し、かつデジタルマーケティングチャネルを1つ以上利用している企業。

アトリビューションモデルの米国シェア

このレポートでは、アトリビューションを活用する理由として、デバイスとメディアが多様化している世の中で、様々なチャネルを正しく評価し、最適化を行う必要があるとし、その最適化を行う鍵となるのがアトリビューションの活用であると伝えています。

こちらからレポートがDLできます:
eMarketer Roundup: Multichannel Attribution in 2017


まとめ

デバイスとメディアの多様化は今後もより一層すすむことでしょう。よって、多様化したメディアを活用し正しく評価する「アトリビューション分析」は今後すべての企業の課題となります。

多様化したメディアの最適化を推し進めるためには、我々代理店がもっと広告主様にアトリビューションの活用を促す必要があります。また、活用して実際に成功を実感していただけるように、「アトリビューションを主軸としたメディアプランニング」の力を身に付けていく必要があります。

また、活用して実際に成功を実感していただけるように、「アトリビューションを主軸としたメディアプランニング」の力を身に付けていくことも大切でしょう。今のインターネット広告運用に疑問をお持ちの広告主様は、一度、自社の広告評価指標を見直してみてはいかがでしょうか。