Google広告のクリエイティブ①~広告文編~

Google広告のクリエイティブ①~広告文編~

Web広告について学んでいると、管理画面上の設定など技術的な側面に目が行きがちです。しかし実際にユーザーが目にするのは広告文やバナーなどクリエイティブと呼ばれる部分であることを忘れてはいけません。

今回は、検索キャンペーンにおいて非常に重要な広告文について学んでいきます。

広告文とは

広告文とは、広告に使用される見出しや説明文といったテキスト要素の総称です。主にリスティング広告におけるテキスト部分を指して使われます。

広告文の掲載位置

リスティング広告における広告文の掲載位置は、検索エンジンの検索結果画面の上部または下部です。

リスティング広告の掲載位置

広告ランクが高いほど上部に掲載されます。ユーザーが何かしらの意図をもって行った検索に対して、優先して回答できる点が特徴です。

そのため、検索意図を捉えた広告文を作成し、クリックを促す工夫が求められます。

広告文の構成

リスティング広告の掲載フォーマット

広告文は広告見出し(タイトル)、説明文、表示URLのパス(ディレクトリ)、最終ページURLの4つのパーツで構成されます。

また、+αの要素として「広告アセット(旧:広告表示オプション)」が表示されることもあります。

広告見出し(タイトル)

広告見出しは、ユーザーの注意を引くために最も重要な部分です。ユーザーの検索意図と自社商材/サービスの関連性をアピールできます。

設定可能数:15個(うち3個は必須)

文字数制限:全角15文字(半角30文字)

説明文

説明文は、見出しで示した内容を補足し、商材/サービスの利点、USP(独自の強み)を詳しく説明し、ユーザーに行動を促すフレーズ(CTA)を含める部分です。

設定可能数:4個(うち2個は必須)

文字数制限:全角45文字(半角90文字)

表示URLのパス

表示URLのパスでは、ドメイン以降のテキストを設定できます。設定できるパスは2つまでです。それぞれ半角15文字(全角7文字)まで設定可能です。

LPの内容を反映し、自社の商材/サービスがどのようなものか伝わるような語句を設定しましょう。

例えば弊社PLAN-Bであれば、「リスティング/運用代行」などが入ります。

設定可能数:2個

文字数制限:半角15文字(全角7文字)

最終ページURL

最終ページURLは、クリックした後に到達してほしい最終的なWebページのURLを指定します。

専用のLPを作成している場合には、 LPのURLを設定しましょう。

設定可能数:1

文字数制限:なし

広告文の文字数

ここまで紹介した広告文の文字数を以下の表にまとめます。

構成要素文字数制限(半角)文字数制限(全角)最大設定数
見出し30文字15文字15個(3個必須)
説明文90文字45文字4個(2個必須)
パス15文字7文字2個

どのような運用レバーなのかを理解する

広告文がWeb広告運用においてどのような運用レバーであるか、理解していきましょう。

第一に忘れてはならないのは、広告文はクリック率(CTR)を司る部分だということです。

Web広告においては、クリックまでが「広告」、CVの獲得は「LP(ランディングページ)」という役割分担があります。もちろん、広告とLPの関連性が低ければクリックされてもCVにつながりにくいため、広告側のLPとの関連度を高めて、CVRの上昇を狙うという場合もありますが、あくまで広告はクリックさせることが役割です。

広告文の訴求内容を考える6ステップ

ここからは、広告文の訴求内容の考え方を6ステップで解説していきます。

広告文の訴求内容を考える6ステップ

ステップ1.ゴールを決める

広告文を作成する前に、まずは今回の広告作成でどのような結果を得たいのかを考えます。

例えば、クリック率を高めたいのか、クリックした後のCVRを高めたいのか、商材によってはCV後の成約率を高めたいのかなどです。

これらによって、どの訴求・型に寄せていくか、仮説検証の考え方も変わってきます。

今後のPDCAを回しやすくするためにも、何をゴールとして広告を作るかを決めましょう。

ステップ2.ターゲットを深ぼる

広告を始める前から、メインターゲットやペルソナが決まっていることが多いかと思いますが、ここで改めて考えます。

ユーザーに、どういうニーズがあるのか、YouTubeの動画のコメントやTwitter、Yahoo知恵袋を見ながら具体的な声を拾い上げていくことで解像度を上げることができます。

時間がある場合には、店舗へ見に行ったり、実際に顧客対応をされている、現場の担当者さんにヒアリングをするなども、とても有効な手段です。

同時に、その悩みや欲求の背景にある根本的な理由を探ります。

明確にすること

  • 誰に届けたいか(ユーザー像)
  • どんな悩みや欲求を持っているか
  • なぜそれを求めているか 

ステップ3.商材/サービスの売りを見つける

他のどの競合でもなく、あなたの商材/サービスを買うべき理由を見つけます。

例えば、商材がデザイナーの専門学校の例を見ていきましょう。

下記の項目に振り分けて考えるとスムーズです。

考えるべきポイント詳細(モノ)解決できるのは何(コト)
何を?デザインが学べるデザイナーを目指せる
どこで?大阪市内大阪市内在住の人は通いやすい
誰が?年齢制限はなし誰でも学ぶことができる
いつ?日中だけでなく深夜、通信も可いつでも学ぶことができる
どのように?有名デザイナーのxxが直接指導xxから学ぶことができる
競合との違いは?個別指導、自分のペースで進めることができる最短1ヶ月で卒業も可能
仕事終わりの時間で通学も可能

競合との違いが明確になり、ターゲットのニーズとマッチすれば、刺さる売りは「最短1ヶ月で卒業も可能」や「仕事終わりの時間で通学も可能」となります。 上記のような分析を行うならフレームワークの4Pや3C分析を使うと良いでしょう。

また、広告文においては自社の分析を徹底的に行うことがより重要になってきます。自社の強みとして挙げられるポイントを6つ紹介しますので、参考にしてみてください。これらに該当する場合、自社の「売り」になる可能性があります。

▼「売り」ポイントのチェックリスト

チェック項目詳細
商材/サービスの対象ニッチなニーズ・人を対象していたり、より狭い範囲に高い需要がある
商材/サービス自体の唯一性まだ誰も売っていない、もしくは代替不可能な唯一無二のモノを売っている
他社と異なる観点の強み差別化の難しい商材/サービスだとしても他社と違う成果・業績・品質など観点を変えてアピールできるポイントがある
これらに名前をつけて新しいカテゴリを作るのも一つの手法
自社がしないこと例えば、「油を一切使用していません」「初期費用をとりません」のように、「しないこと」がある
オファーに関する期間保証の期間や効果の持続する期間などが長い
保証方法約束を守れなかったときに、どのような罰則を受けるのか、ユーザーにどれだけ負担がないのか

ステップ4.競合と比較する

競合と比較する際には、明確な差を確認しましょう。

特に、違いを見るときは表にまとめて比較しやすくするのがおすすめです。

例えば、商材/サービスが美容液の場合、以下のように整理できます。

比較項目自社競合A競合B
ターゲット〇代女性〇代男性○代女性
使用目的乾燥を防ぐため皮脂を抑えたいしわが目立ってきた
価格〇円〇円○円
実績〇〇受賞〇〇人が利用○○でNo.1
特典送料無料保湿クリーム付きポイント還元

このようにまとめると自分たちはどのような訴求で競合との差別化を図るのか、訴求が近しくなる競合はどこなのかが理解でき、訴求内容の調整に役立ちます。

ステップ5.訴求軸を決める

さて、ここまでターゲットの関心事を知り、自社の強みを知り、競合との差別化ポイントを知ったところで、訴求軸を決めていきます。

訴求軸は様々ありますが、今回は広告文の作成に有効な8つの訴求軸をご紹介します。

8つの訴求軸

1.限定型訴求

商品やキャンペーン期間の限定性を訴求をすることで、すぐに購買という行動を起こしてもらうための訴求軸です。「今だけ数量限定で再販」や「24時間限定セール」などの期間限定を打ち出す限定訴求が該当します。

2.希少型訴求

限定訴求と近い訴求にはなりますが、商品への限定ではなくユーザー自身に関連する希少性を打ち出すようなものになります。「コラボ商品の入荷」や「クーポンをお持ちの方に」などが希少性を訴えかけている訴求軸になります。

3.逃避型訴求

商品の購入やサービスの利用でどのような悩みや苦痛から開放されるのかを訴求しましょう。 脱毛サロンなどで「ムダ毛処理との別れ」や「寝付きを良くする効果がある」などはユーザーの悩みを解決する訴求軸になります。

4.トレンド型訴求

最新や今すごく話題になっているという訴求を入れる訴求軸です。「この秋最新の」や「今TikTokで話題の」などトレンドを抑えていることをアピールします。

5.価格型訴求

「安心価格」や「〇〇%安い」などの価格を軸として訴求します。

多くのECサイトの広告などで使われている訴求軸です。もっともイメージしやすい訴求になると思います。

6.贅沢型訴求

品質へのこだわりや付加価値を訴求する訴求軸です。「高純度プラセンタを配合」や「入会で〇〇がついてくる」などその商品やサービスの優位点をプラスして訴求する軸となります。

7.威光型訴求

企業名やブランド名などをアピールして優位性を出す訴求軸です。「あの企業の商品」や「あのブランドの商品」などネームバリューがあるものの威光を訴求とします。権威訴求と親しい訴求軸となります。

8.品質型訴求

商品やサービスの品質の高さ、満足度などを訴える訴求軸です。「国産原材料のみ配合」や「アフターケア保証付き」など競合他社には無い品質の高さを訴求軸とします。

ステップ6.LPとの一貫性を確認する

最後にLPとの一貫性を確認しましょう。どれだけいい訴求ができても、LPとの内容にずれが発生すれば、クリック後のCVRは大きく下がります。

場合によっては広告文の訴求に合わせてLPを改善することもあるでしょう。いずれにせよ、広告文とLPの関連性を高めることは意識しておくことが必要です。


Web広告は繰り返しPDCAを回しながら改善できるのが強みの1つです。

訴求軸も同様に、仮説検証を繰り返しながら成果の良いものを見つけていくのだと理解しておきましょう。

広告文を作成する

広告文の訴求内容が決まったら、具体的な広告文に落とし込んでいきます。

作成するうえでのコツを4つお伝えします。

  • レスポンシブ検索広告を意識して、訴求の重複を避ける
  • 広告見出し(タイトル)にキーワードを含める
  • 記号や数字を取り入れる
  • フレームワークを活用する

レスポンシブ検索広告を意識して、訴求の重複を避ける

現在では、複数の見出しをユーザーの検索意図に合わせて自動で組み合わせるレスポンシブ検索広告が主流です。

レスポンシブ検索広告では検索語句と関連性が高い見出し・説明文が自動で組み合わせるため、どの組み合わせも表示されることがあります。そのため、見出しの内容が重複しないよう入れることが大事です。

広告見出し(タイトル)にキーワードを含める

広告文とキーワードの関連性を高めるために、広告見出しに必ず設定したキーワードを含めましょう。

よく使われているキーワードが広告文の中に使用されることで、ユーザーの検索意図と広告の関連性が高くなり、クリック率を向上することが可能です。

間接的ではありますが、広告ランクにいい影響を及ぼすだけでなく、クリック単価を下げる効果も期待できます。

記号や数字を取り入れる

広告文を作る際に記号や読点を活用して強調したいキーワードを目立たせることも押さえるべきポイントの1つです。

例えば、【】や《》などの記号を使用し、下記のような表現でユーザーに伝えたいことを強調することができます。

【送料無料】ウィンターセール

<公式>WEBや雑誌で話題の〇〇

**○○公式/**個人向けお弁当宅配

ただし、媒体によって使えない記号がありますので注意しましょう。

また、具体的な数字を取り入れることもポイントです。

「期間」「価格」「値引き率」「実績件数」など、数字で表せる部分は具体的な数字をアピールします。

フレームワークを活用する

慣れてくると様々な工夫を凝らすようになると思いますが、慣れるまでは「型」に当てはめて広告文を作成するのが良いでしょう。

今回はよく使う7つの型をご紹介します。

  • リアルイメージ型
  • ターゲット絞り込み型
  • 指摘型
  • 比較型
  • 変化型
  • 共感型
  • 感情移入型

リアルイメージ型

商品を手にすることで得られる未来=ベネフィットをリアルに伝えるオーソドックスな型です。

顕在層のユーザーに向け、商品を手に入れた後のイメージをリアルに表現した広告を配信することで「いま購入しよう」と思わせます。5W1Hを活用し、具体的な数字を入れることがポイントです。

例えば、1ヶ月3,000円のお味噌汁を販売している場合は「1日100円」なら安く見えたりしませんか?このリアルイメージ型は、Web広告に限らず、テレビCMや雑誌広告、交通広告にも使われているので、日ごろから注目してみてみるのも良いでしょう。

リアルイメージ型

ターゲット絞り込み型

年齢・性別などの表現を盛り込み、対象を限定することで「自分ごと化」させる方です。

ただし、「30代以上」などと表現してしまうと、対象が広くなりすぎてしまうので、注意が必要です。職業や所得、家族構成、ライフスタイルなどのデモグラフィック(デモグラ)に注目します。

また、デモグラだけで絞りこむことは難しいため、「デモグラ×悩み」の掛け合わせで絞り込みましょう。

例えば、補正下着ブランドの場合はであれば「脇のぷに肉が気になるのあなた」など悩みに寄り添い自分ごと化させてしまいましょう。

ターゲット絞り込み型

指摘型

指摘型のコピーではユーザーが持っているコンプレックスや課題を「ハッとさせる」フレーズで言い当てます。

うまくいけば絶大な効果がある一方で、ネガティブな反応を引き出す恐れもあります。自社商品が解決できるユーザーのコンプレックスや課題を、不快に思われない範囲で指摘しましょう。「ちょっと上から目線」を意識すると、考えやすそうです。

例えば、筋力サプリであれば、「ただ筋トレするだけじゃ、筋肉はつかないよ?」とちょっと上から目線で指摘してあげましょう。

指摘型

比較型

自社商品を何かと比較し、その差を表現することで、商品を理解してもらい行動させるための型です。このとき、必ずしも、競合の商品である必要はありません。得られる効果が類似する別カテゴリの何かと比較したほうが、効果的な場合もあります。

比較型

変化型

他の何かと比較するのではなく、自社商品を使う「前」と「後」を比較してベネフィットをイメージさせる型です。いわゆる「ビフォー・アフター」であり、いかにして未来を具体的にイメージさせるかが鍵です。

この型で有名なクリエイティブは、ライザップの「たった2ヶ月で、このカラダ。」や四ツ谷学院の「なんで、私が東大に」などが挙げられます。

変化型

共感型

企業による商材/サービスの宣伝を嫌うユーザーでも、つい気になってしまう広告を作るための型です。特にユーザーのインサイトを拾うことがポイントです。

自社商品の体験談や口コミを調査し、その中で見出しになるような文章をキャッチコピーにすると、共感型の広告文ができます。ただし、最近はユーザー側もこの手の表現に敏感になっているので、「ほんとに」「すごい」「まさか」などの、ありきたりな表現は避けましょう。

共感型

感情移入型

共感型とは別のアプローチで、宣伝を好まないユーザーに反応してもらうための型です。ユーザー視点に立ち、商品を使う前の意気込みをそのまま、勢いのあるキャッチコピーに仕上げてみましょう。

広告を届ける相手の心理状況を思い出し、熱を込めましょう。

感情移入型


このように手法を説明しましたが、いちばんやってはいけないのが自分の思い込みだけで、広告文を作成してしまうことです。過去の結果に囚われず、柔軟な発想で新しいアイデアの広告文を試すことが重要です。

まとめ:日々の生活からインプットを

広告文の作成は、広告運用とはまた別のベクトルで経験と知識が求められます。

本ページで学んだ様々な観点を武器に、まずは日常で触れる広告のキャッチコピーに目を向けてみましょう。

また、コピーライティングに関してはAIの活用も進んでいます。実際に成果を出せるかどうかはいまだに顧客理解の方に比重があると感じますが、多くの仮説検証をおこなうという観点ではAIの活用は欠かせません。

決して楽するためだと思わず、より良い成果の為にうまくAIを活用しながら広告文を作成していきましょう。