Web広告のオークション制とは?広告が配信されるまでの仕組みを理解しよう

Web広告のオークション制とは?広告が配信されるまでの仕組みを理解しよう

今回は、代表的なWeb広告の配信の仕組みである「オークション制」について解説していきます。

Web広告には主に3つの広告モデル「運用型広告」「予約型広告(純広告)」「成果報酬型広告(アフィリエイト広告)」がありますが、王道と言える「運用型広告」において採用されている配信ロジックです。

仕組みと言われると難しく感じるかもしれませんが、前提として押さえておきたい知識ですので、画像を用いながらわかりやすく解説していきます。

Web広告におけるオークション制

基本的にWeb広告(運用型)が配信されるかどうかはオークションによって決まります。

一般的なオークションは、競売にかけられた商品に対して、入札した額が一番高い人が勝者となりますが、Web広告におけるオークションは「一番高い金額を払った人が勝つ」といった単純なルールでは決まりません。入札額に加え、「ユーザーにとって最も最適な広告を出した人が勝つ」というルールで行われます。

また、掲載までの大まかな流れは通常のオークションとは大きく変わらず、以下の3ステップで掲載に至ります。

Web広告におけるオークションの流れ

通常のオークションとの違いとして、広告ランクと呼ばれる点数がつけられランキングされる点も異なります。一般的なオークションでは勝者は一人ですが、Web広告のオークションでは勝者が一人とは限りませんし、勝者だけが掲載されるとも限りません。点数が高い順に優先的に掲載できるというイメージが近いです。

この時、以下の2つのルールによって掲載が決まります。

  • 広告ランクの下限値を超えなければ、掲載されない
  • 広告ランクが高い順に広告が掲載される

実際にはRGSPという低品質の広告が掲載されないための仕組みよって細かい調整がされていますが、まずはこの2つのルールを押さえましょう。


ざっくりとした流れは上記の3ステップですが、もう少し理解しておきたいところです。

各ステップごとに詳しく見ていきましょう。

STEP 01:広告枠を求めオークションに参加

Web広告の掲載できる場所は非常に多く存在しています。

そのすべての枠で、表示される機会が訪れるごとに、各ユーザー・各デバイスでオークションが行われるため、少なくとも1分間に数百万回以上のオークションが発生していると推測できます。

しかし、自分の広告が全てのオークションに参加するわけではありません。どの広告枠のオークションに参加するかは、ある程度は広告主が決めることができます。これがいわゆる、媒体選定やターゲティングです。

Web広告は通常、Google広告やMeta広告などの広告媒体を介して配信しますが、その広告媒体の設定内容によって、参加するオークションが絞られるのです。

媒体・メニュー選定で参加するオークションを絞れる

STEP 02:広告ランクでランキング

オークションに参加すると、参加した広告たちのランキングが行われます。

広告たちは様々な観点から広告ランクという点数を付けられランキングされます。

ではこの広告ランクとはどのように決まるのでしょうか?

広告ランクの決まり方

ここでは、Google広告における広告ランクを決める要素を見ていきます。

広告媒体によって細かいロジックは変わりますが、大きくずれることはないためGoogle広告を例にとってお話しします。

まずは、Google広告のヘルプにある公式見解です。

引用:広告ランクについて – Google 広告 ヘルプ

色々書いていますが、広告ランクが実際どのように算出されているのかはわかりませんよね。

広告ランクをわかりやすいものにするために、一般的に以下の式が使われています。

広告ランク=入札単価×広告品質+その他の要素

だいぶ簡略化されていますが、基本的にはこの考え方に従っても問題はありません。

広告ランクを決める要素

広告ランクを決める要素を少しだけ深ぼってみましょう。

入札単価

まずは入札単価です。これは、いわゆる入札額というやつです。

Web広告における入札額は実際の支払額ではなく、最大でここまでなら払えるよ!という上限の金額を指しているのがポイントです。単に高い入札を行った広告のみを配信していたらユーザー体験は間違いなく悪化します。

だからこそ金額だけで配信の可否が決まらないように、あくまでも要素の一つとしているのですね。

広告品質

次に、広告品質です。

そのままの意味で質の高い広告かどうかを示す要素ですが、公開されているものだと、ユーザーとの関連性や推定クリック率、ページ速度等のユーザーエクスペリエンスの高さなど様々な指標でユーザーにとって良い広告であるか判断しています。

広告品質の段階的評価として品質スコアというものがあり、管理画面で確認できます。

ここでポイントは、広告ランクに使われているのは広告品質で、品質スコアではない点です。実際にどのくらいの評価がされているのかはわからず、あくまで品質スコアは目安に過ぎないことに留意しましょう。(今回の画像では階級の幅を100にしていますが、この値は正確なものではありません。)

広告品質と品質スコア

その他の要素

最後に、その他の要素です。

ユーザーにマッチする広告を出すことがオークションの目的だとすると、単純な掛け算(入札単価×広告品質)だけでは正しいランキングはできなそうですよね。

状況によって重みづけしたい指標が変わるので、そういった部分の微調整を行うための要素として、そのほかの要素が加えられています。

STEP 03:順位で掲載枠が決まる

ランキングの後、基本的には順位通りに広告枠が決まっていきます。

例えば、リスティング広告の場合は、広告ランクが高い順に検索結果画面に並べられていきます。広告枠が複数あるため、1位じゃなくても掲載することが可能です。

リスティング広告では広告ランクの高い順に表示されていく

一方でディスプレイ広告やSNS広告の場合は、Yahoo!広告ヘルプに「オークションランクが高い順に掲載する」という記述があることから、広告ランクが高いものほど優先的に広告枠に表示されると推測できます

そうなると、リスティング広告の時と違って1位の広告がずっと表示されるじゃないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。

広告は何度も表示されてしまうと鬱陶しく感じるなど、多く表示されすぎるのも良くはありません。よって、1度掲載されていると広告ランクが下方修正されるなどの再計算が行われます。そうすることで暫定1位が入れかわり、別の広告が掲載されるのです。

このように、再計算のためのトリガーがいくつもあり、様々な要素から掲載枠が決まっています。(これが広告ランクを決める要素でお伝えした「その他の要素」です。)

ディスプレイ広告やSNS広告でのオークションによる表示

そして最後に忘れてはいけないのは、掲載可否を決める、掲載に必要な広告ランクの下限値です。

広告ランクが掲載のための下限値に達していない場合、仮に掲載可能な順位にいても掲載されません。正確にはもう少し細かい調整がありますが、ひとまず大まかにそうだと思っておいてください。

オークションに勝つこと以上に、下限値を超えた広告を配信することが重要です。

広告ランクの下限に満たないと掲載されない

まとめ

本ページではWeb広告のオークション制について解説してきました。

まず知っておくべきは、オークションのルールとランキングのための広告ランクです。もう一度簡単に振り返ってみましょう。

ポイント1:オークションのルール

  • 最低ランクを超えなければ、掲載されない
    ※広告枠によって最低ランクや広告ランクは更新されるので、一度だめなら今後すべての枠で掲載されないというわけではありません。
  • 広告ランクが高い順に広告が掲載される

ポイント2:広告ランク
広告ランク = 入札単価 × 広告品質 +(その他の要素)

運用型のWeb広告において、このオークション制というのはゲームルールと言っても過言ではありません。どんなスポーツでもルールの理解が重要なように、Web広告においても配信の仕組みの理解は非常に重要です。突き詰めるともっと細かい話もありますが、ひとまずはこの基礎の部分を押さえておきましょう。