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SEO対策
最終更新日:2025.06.03
更新日:2025.06.25
“PRCA(プルカ)”とは、PLAN-Bが提唱している生成AIが普及した今の時代のユーザー行動をわかりやすく整理した「カスタマージャーニーフレームワーク」です。
従来のAIDMAやAISASが想定していたような「商品・サービスを認知することを起点とする行動パターン」は、現実と少しずつズレ始めています。いま、一部のユーザーは、商品・サービスを認知するよりもずっと手前から、より潜在的な疑問をChatGPTなどの生成AIに「対話」として投げかけ、要点を素早く把握したうえで、次のアクションを決める——そんな新しい動きが見え始めているのです。
この記事では、なぜPRCAが必要なのか、そしてPRCAを用いたカスタマージャーニーの考え方を解説していきます。
このフレームワークが求められている背景には、ユーザー行動の大きな変化があります。かつてのようにAIDMAやAISASが想定する「広告などで受動的に情報を受け取り認知するユーザー像」 は、今や主流とは言えません。
また、検索エンジンの普及後は、ユーザーが自らキーワードを入力して情報を探す“能動的”なスタイルが主流でしたが、生成AIが登場した現在では、これまで言語化しにくかったような潜在的・抽象的な問いをAIに投げかけるという新しい行動が広がっています。
こうした変化に対し、AIDMAやAISASといった従来のカスタマージャーニーモデルでは、生成AI起点の意思決定プロセスをうまく説明しきれないという課題がありました。だからこそ今、“PRCA(プルカ)”という新しい視点が必要とされています。
これまでの常識を前提としないこのフレームワークは、生成AI時代におけるユーザー理解の指針となるはずです。
PRCA(プルカ)は、生成AIを起点としたユーザーの意思決定プロセスを4つの段階で整理した、生成AI時代の行動様式に即したカスタマージャーニーフレームワークです。生成AIを起点に検索エンジンと行ったり来たりしながら、ユーザーが疑問を持ち、情報を検証し、比較検討を繰り返しながら、最終的に行動に移る流れを表しています。
Prompt(プロンプト)は、ユーザーが最初に「知りたい」「わからない」と思ったことを、生成AIに対して質問として投げかける段階です。生成AI時代では、検索エンジン上でクエリを入力する時と比較し、より曖昧な質問を投げやすくなっています。例えば、「営業チームの成果が頭打ちなんだけど、打開策は?」「使いやすいSFAツールってある?」といった問いかけなどです。
ユーザーは、このような疑問があるからこそ、情報を探し検証し、比較し、最終的に行動に至ります。逆に言えば、このような疑問提示がないユーザーは受動的であり、能動的な情報探索や意思決定に至りません。
従来のマーケティングフレームは「認知」「興味」「比較」「行動」などで始まることが多いですが、生成AIが対話型で即時に答えを提示する特性を踏まえると、ユーザーが「Prompt=質問を投げる」ことで行動が始まるのが実態に近いと考えられます。
このフェーズにおけるユーザーの行動例:
上述したように、生成AIは対話型の特性を持つため、ユーザーはGoogle検索でクエリを入力する時と比べて、よりあいまいで潜在的な悩みや疑問を気軽に投げかけやすい傾向があります。一方で、ハルシネーション(誤情報を生成する現象)のリスクもあるため、AIが返した情報をそのまま鵜呑みにせず、複数の信頼できる情報源で裏どりを行う、つまり「Review(レビュー)」の行動をとるユーザーが多いです。
事実、弊社で行った調査によれば、約60%のユーザーが生成AIに引用されたリンクをクリックして参照しています。また、引用元をクリックする理由で最も多かったのは「出典元の信頼性を判断するため」で58.7%に上りました。その他は「元の文脈を自分で確認したい」(43.8%)、「詳しく知りたい・AIの回答が不十分だから」(37.6%)、「内容の正確さを裏取りしたい」(32.2%)と続き、AIの回答を鵜呑みにせず、自身で出典や文脈を確認しようとするユーザーが多いことがわかります。
このフェーズにおけるユーザーの行動例:
Compareフェーズは、複数の選択肢を比較し、自分にとって最適なものを見極める段階です。このフェーズの大きな特徴は、「一般的な比較軸」ではなく、「自分自身の文脈に合った判断軸」を使って比較を行う点にあります。
一般的な比較サイトでは、「こういう観点で比較します」といった、あらかじめ設定された判断軸に基づいて情報が提示されるケースが多いです。しかし、「自分はこういう条件・状況だけど、その観点ではどうなんだろう?」という、個々のユーザーの文脈に即した比較までは対応しきれません。
こうした「自分にとって本当に意味のある比較軸」で選択肢を評価したいというニーズに対して、生成AIは強みを発揮します。実際に行ったアンケート調査でも、多くのユーザーが自分の状況を事前または会話中に伝えることで、個別の判断軸を重視する傾向が見られています。
このフェーズにおけるユーザーの行動例:
Compareフェーズでの比較・検討を経て、ユーザーが実際に行動に移す段階です。具体的には、以下のようなアクションが該当します。
このフェーズに入ったユーザーは、すでに一定の比較検討を終えており、「決め」に向かってWebサイトに訪問します。または、生成AIで得た情報に対し、行動前にさらに情報を深掘りしたり、別の視点で調べ直す「再検索」をするケースもあるでしょう。
このような流れの中で実際にWebサイトに訪問したユーザーは、指名検索に近いインテントを伴っているケースが多いです。巷で「生成AI経由の流入はCVRが高い」と言われるのも、ユーザーがすでにこのようなカスタマージャーニーを辿っていることが背景にあると考えられます。
例えば、ユーザーが最終的にBtoC商材である「スーツ」の購入を行う場合は、以下のようなジャーニーになると推定されます。
例えばPromptの段階では、「今度結婚式に参列するんだけど、太ったので新調したい」などの、問いかけを行います。ここで返ってきた回答に対し、ユーザーは「マナーに沿ったものなのか?」などの疑問が生じ、裏どりをします。これがReviewのフェーズです。
続いて、得られた結果を踏まえて、「自分自身の文脈に合った判断軸」を使って選択肢を絞り、商品を比較(Compare)していきます。ここでいう判断軸とは例えば、
などです。ここまでの流れを踏んで、実際の行動(Act)に移っていきます。
続いて、BtoB商材であるSEOコンサルティングサービスへの問い合わせを行う場合の事例です。このケースでは、以下のようなジャーニーになると推定されます。
例えば、「自社のSEO集客が思うように伸びていない」と感じたマーケティング担当者が、まず生成AIに「SEO集客がうまくいかない原因は?」「改善するにはどうすればいい?」と問いかけます。
AIからの回答の裏どりをし、複数のSEO会社の特徴や強み、価格感、導入実績などを比較しながら、「自社にとってどれが最適か?」という視点で絞り込みます。判断軸は以下のようなものです。
このように、自社の文脈に合った判断基準で比較したうえで、「この会社に相談してみよう」といった具体的な行動に移るのが Act(行動・再検索) の段階です。
ここまでの内容はユーザー行動に焦点を当てた話ですが、ではユーザーがこのような行動をとる中で、企業はどのようなWebマーケティング戦略を取ればいいのでしょうか。重要なのは、「どのチャネルで何をするか」から発想するのではなく、「ユーザーがどのような行動プロセスを経て意思決定するのか」に立脚して戦略を構築することです。
たとえば、Prompt段階では、ユーザーはまだ明確なニーズを持っておらず、生成AIにあいまいな悩みを相談しています。このとき重要なのは、「そもそも自社の情報が引用されること」、そして「それが望ましいかたちで引用されること」です。
生成AIは、インデックスされたWeb上の情報をベースに回答を生成しています。そのため、単に検索上位を狙うSEOだけでなく、外部サイトへの情報掲載、構造化データの整備などを通じて、「AIにとって引用しやすい情報」をWeb上に整えることが大切です。
これが、LLMO(Large Language Model Optimization)という新たな概念であり、SEOの外縁を広げる施策です。
関連記事:LLMOとは?生成AI時代に求められる対策方法を詳しく解説
次の“Review”段階では、ユーザーは候補となる選択肢に対して信頼性を検証し始めます。ここで重要なのは、単に「自社サイトにアクセスしてもらうこと」だけではありません。それと同時に、「外部サイトにも最新かつ正確な自社情報が張り巡らされているかどうか」も問われます。
例えば、比較サイト、口コミプラットフォーム、業界ポータル、SNSなど、ユーザーが参考にする外部情報源で、自社に関する情報が古くなっていたり、抜け落ちていたりすれば、それだけで選択肢から外れてしまうリスクがあるのです。
そのため、自社が公式に発信している情報だけでなく、外部に存在する情報資産までも戦略的に整備する必要があります。もはや“自社サイトだけを最適化すればいい時代”ではなくなっており、「あらゆる場所で自社情報が正しく語られる状態」をつくることが、再定義されたSEOの役割と言えます。
さらに、「選ばれる理由」は“機能的な比較”だけでは生まれません。生成AI時代のユーザーは、自分の価値観や状況に合致した“判断軸”を持ってサービスを選びます。このとき、自社ブランドがどのようなカテゴリーエントリーポイント(CEP※)から想起されるかが極めて重要です。
言い換えれば、「どんな悩みや文脈の中で、真っ先に自社が思い浮かぶのか?」を逆算したうえで、選ばれる理由を明確に設計すること。これが、生成AI時代におけるブランド戦略の考え方といえるでしょう。
※CEPとは…あるカテゴリーに属する商品やサービスを思い出す「きっかけ」となる状況や文脈のこと。マーケティングでは、顧客が何かを買おうとする「最初のきっかけ(=想起の起点)」が非常に重要で、その「きっかけ」から真っ先に思い出されるブランドが、選ばれる確率も高くなります。
生成AI時代に行動へ移るユーザーは、比較検討を完了し、ある程度の意思が固まっています。つまり、情報収集というよりも、「どこで・誰から買うか」「どう申し込むか」といった、受け皿としての体験設計が問われる段階です。
したがって、SEOや検索連動型広告においても「最終アクションをスムーズに促すための設計」にシフトする必要があります。例えば、以下のようなものです。
ランディングページの目的と構成の見直し:決断を後押しする情報(価格のわかりやすさ、導入後のサポート体制、口コミ・事例など)を中心に構成する。また、「よくある質問」や「迷っている人向けの一言」など、最後のひと押しに効く要素も有効です。
キーワード設計の最適化:「比較」「メリット」「違い」といった比較検討段階のキーワードではなく、「申し込み方法」「導入事例」「料金表」など、行動に直結するキーワードを軸にしたコンテンツを強化。
CTAの多層化とパーソナライズ:生成AIによって、ユーザーは「自分に合った決断理由」を探す傾向が強まっているため、一律のCTAではなく、ユーザー属性やアクセス経路に応じたCTAの出し分けが有効。
Act段階では、従来のような“機能訴求中心のキーワード運用”にとどまらず、ユーザーが“迷わずに行動できるような体験”をSEO・広告面からも支えることが鍵になります。
生成AI時代のユーザーは、従来の検索エンジンに投げるよりも曖昧な問いを起点に、より自然な文脈や会話の中で情報を得て意思決定を進めるようになりました。そのため企業側には、「どのチャネルで露出するか」ではなく、「ユーザーがどんな行動プロセスを経て、どう情報を受け取り、どう判断するのか」という視点から、戦略を再設計する必要があります。
特に、PRCA(Prompt/Review/Compare/Act)という行動モデルにおいては、
「そもそも自社の情報が生成AIに引用されているか?」、「望ましい形で紹介されているか?」という点を把握していなければ、戦略のスタートラインにすら立てない可能性があります。生成AI時代のマーケティング戦略では、その実態を知ることが最初の一歩です。
PLAN-Bでは、御社のLLMO対策状況を可視化する調査サービスや、「あらゆる場所で自社情報が正しく語られる状態」をつくることを目的とした生成AI時代に通用するSEOコンサルティングサービスを提供しています。事業戦略を出発点に、そこから逆算して導き出す”固有のWebマーケティング戦略”の構築を得意としており、この考え方は、生成AI時代に求められるマーケティングの原理原則と重なります。
「生成AI時代のWebマーケティング戦略に迷いがある」そのようなお悩みのご担当者さまはぜひお気軽にお問い合わせください。