SNSコンサルタント・三川夏代が語る、Twitterでユーザーとコミュニケーションをとる大切さ

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世の企業の多くが運用しているTwitter。皆さんの企業では、効果的な運用ができているでしょうか。

他のSNSとどうやって使い分けていいか分からない。毎日投稿はしているけど、思うように結果がでない。

こうした悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。悩みを解決するカギの1つは「ユーザーとのコミュニケーション」です。

今回は、ソーシャルメディアの可能性を探求するメディア「kakeru(http://kakeru.me)」の編集長を務める三川夏代さんに、他のSNSと比較したときのTwitterの特徴や、Twitter運用に関するよくある勘違い、そしてユーザーと積極的にコミュニケーションをとることに成功している企業を教えていただきました。


Twitterは「若年層向け」「好意度形成」に役に立つ

――他のSNSと比較して、企業がどのような活用をするときにTwitterが効果的か教えてください。

三川氏:私がSNSの特徴について説明するときには、対象と目的に分けて「若年層を対象としたものか、高年齢層を対象にしたものか」「サイトへの送客をする目的のものか、好意度を形成する目的のものか」という2つの軸をよく用います。この軸で言うと、Twitterは「若年層を対象として」「好意度を形成する目的で」活用しやすいです。


――Twitterのどういった特徴があるからでしょうか。

三川氏:Twitterは10代と20代の利用者がアクティブなので、当然若年層を対象としやすいです。また、好意度形成をしやすい理由は、フランクな会話が活発に行われるからです。FacebookやInstagramでもコメントする機能はありますが、Twitterほどリアルタイムで活発なやり取りは行われていません。「中の人」と呼ばれる担当者がユーザーの心をつかんで人気になっている背景には、Twitterが持つフランクさが大きな影響を与えているんです。


――Twitterでは、担当者のキャラクターを全面に出していった方がいいということでしょうか。

三川氏:一概にそう言い切ることはできませんが、「好意度形成」を目的とする場合には、ユーザーが親しみを感じやすいように担当者のキャラクターを出していくことは、非常に有効な手段だと思います。


あなたの企業は大丈夫?Twitter運用者に陥りがちな2つの勘違い

――三川さんは、企業のSNSコンサルティングを行うことが多いと伺いました。お仕事をされる中で感じる、「Twitter運用の際にありがちな勘違い」はありますか。

三川氏:大きく分けると2つあります。1つ目は「フォロワー数を増やすことが1番大事だ」という勘違いです。確かに企業のTwitterアカウントがユーザーに見られているかどうかの指標として、フォロワー数は大切です。ですが、いくらフォロワー数がいても、投稿に対していいねがつかなかったり、リツイートされなかったりするアカウントは、ユーザーから愛されているとは言えません。


――フォロワー数が多いのに投稿に対する反応がない状況は、どうして起こってしまうのでしょうか。

三川氏:自然とフォロワーが増えるときは、その企業がニュースになったり、何か話題の投稿をしたりと、ユーザーが興味を示す何かしらのきっかけがあるはずです。しかし、日々の運用の中でユーザーとのコミュニケーションを怠っていると、ユーザーからの心理的な距離が遠いままになってしまう。これが、投稿にいいねやリツイートがされない主な原因ですね。


――逆に、いいねやリツイートをよくされる企業アカウントは、ユーザーが親しみを感じているということになりますね。

三川氏:その通りです。ユーザーの立場に立つと分かりやすいですが、企業から返信があると、ユーザーは「自分の言っていることを、企業は気にしてくれる」と、嬉しい気持ちになりますよね。そうなると、企業の投稿を応援したいという心理になるんです。企業のツイートをリツイートするユーザーなどは特にそうで、投稿内容だけでなく、ユーザーとの関係値がどれだけ形成されているかが重要なんです。なので、フォロワーを増やすと同時に、一人ひとりのフォロワーとどのようにコミュニケーションをとるかを一緒に考えましょうと、お話することが多いです。


――もう1つの勘違いとは、どのようなものでしょうか。

三川氏:無料でアカウントを開設できるがゆえに、「運用まで無料で手軽にでできる」と思ってらっしゃる方が多いです。実際には、効果を出そうと思ったら有料の広告・キャンペーンを用いて運用するなど、時間も手間もかかります。


――三川さんが企業をコンサルティングをするときには、どのようことを意識して投稿する内容を決めているのですか。

三川氏:「世の中で何が話題になっているか」に敏感になるよう意識しています。最近では「彼氏(彼女)とデートなう。に使っていいよ」という投稿が流行り、多くの企業アカウントが便乗しました。このような「予期できないトレンド」を捉えるためには、日頃からTwitterの「話題」をチェックするようにしています。あとは、エイプリルフールやクリスマスなどの「予期できるトレンド」に備えて投稿を準備することも重要です。こちらをご覧ください。

引用:kakeru

三川氏:kakeru編集部でまとめた2017年9月のモーメントカレンダーです。投稿内容を決めるときには、「◯◯の日」に合ったコンテンツを展開するため、時間をかけて企画を練ることも多いんです。投稿内容を定めたり、クリエイティブを作ったりして、1つの投稿に1ヶ月もかけることだってあるんですよ。


――1つの投稿に1ヶ月ですか…!実際に効果的に運用しようと思ったら、入念な準備が必要なのですね。

三川氏:ユーザーがどんなことに関心があるかを考えながら投稿しようとすると、とてもハードルが上がります。だからこそ、それをしっかり実践できている企業は、Twitterの運用で他社と差別化を図ることができているんです。ユーザーが関心のあることを理解するためには、ユーザー視点で物事を見るようにしましょう。やり方は人それぞれ。私は、ユーザーの立場に立つために、複数のTwitterアカウントを使っています。Twitterの運用は今からでも遅くはありません。ぜひTwitterの特徴を活かして、目的に合った運用に取り組んでみてほしいと思います。


【番外編】ユーザーと活発にコミュニケーションをとっている4企業を紹介

最後に、Twitterでユーザーと活発にコミュニケーションをとっている事例を紹介していただきました。運用をする際の参考にしてみてください。


01.キリンビール

「予測できないトレンド」にことごとく乗っているので、このアカウントをチェックすると話題になっている内容が分かる。また、トレンドに乗るだけでなく、ブランドメッセージに合う形に変えているところがとても上手です。


02.ナイセン

とにかく更新頻度が高く、ユーザーのコメントにもすべて反応しているという徹底ぶり。ユーザーからの好意度も高く、「ナイセン団」という応援コミュニティもできているほど。投稿はコンスタントに100以上いいねがついています。


03.井村屋

「中の人」のキャラクターを全面に出しており、他の企業アカウントとのコミュニケーションも活発で、やり取りを期待するファンがついている様子が伺えます。


04.山芳製菓

新商品を出すときに毎回クイズを実施している。ユーザー参加型のコンテンツを多く発信することによって、コミュニケーションが自然と生まれる仕組みを作っています。


トレンドを押さえてユーザーとのコミュニケーションを活発に

Twitterの運用を始めるのは簡単ですが、効果的に運用するには時間をかけて戦略を練る必要があります。Twitterでユーザーとのコミュニケーションを活発に行うために三川さんがとりわけ重要だと言っていたのは、「トレンドに敏感になること」

予期できるトレンドに対しては、記事中で紹介したモーメントカレンダーを用いて事前準備をしっかりする。予測できないトレンドに対しては、Twitterの話題をチェックして即座に反応できるようにする。この2つを徹底することが、運用を成功させる第一歩ではないでしょうか。

Twitterの運用に悩んでいる方、今回の記事をぜひ参考にしてユーザーとのコミュニケーションを大切にするようにしてみてください。