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2025.02.03
更新日:2022.12.23
公開日:2017.05.09
BtoBマーケティングの文脈において、自社の優良顧客に対象を絞ってアプローチする「アカウント・ベースド・マーケティング(Account-Based-Marketing)」(以下、ABM)に触れられることが多くなってきました。
「アカウント(企業)を定めてアプローチする」と聞くと、これまでのテレマーケティングや営業活動と差がないように思われがちですが、いったい何が異なるのでしょうか?本コラムでは、「ABMって何なの?」「どうやるの?」といったみなさんが感じているであろう疑問を解説していきます。
「アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)」とは、あらかじめ自社にとって価値の高い企業(アカウント)を対象として定め、個別の戦略を練ってアプローチすることで、1社あたりの売上最大化を目指すマーケティング手法です。
自社の大口顧客となりうる特徴を持つ企業を選別し、優先してアプローチできるため、マーケティングや営業活動における無駄を省き、効率的な活動が可能になります。
広くリードを獲得し、育成を通してホットリードのみを営業に引き渡す「デマンドジェネレーション」に代表されるようなマーケティング活動とは一線を画していると言えるでしょう。
ABMは近年欧米を中心として注目を集めている最新の手法ですが、この「対象を定めてアプローチする」という考え方自体は、日本の営業活動においてさほど目新しいものではありません。ではなぜ今注目されているのでしょうか?
その理由は、顧客データベースの構築によって、ABMを実践しやすい土壌が整いつつあることにあります。
どの企業にいつ・どのような対応をしたか、またそれに対して相手のリアクションはどうだったかを容易に把握することができるようになったため、“営業の勘”に頼らずに精度の高いアプローチを実現しやすくなりました。
こうしたデジタルの後押しこそが、ABMに関心を向かわせているのです。
では、ABMは具体的にどのように実践していくのでしょうか?3つのステップに分けて解説していきます。
ABMの実践は、アプローチ対象となる企業の特徴を定義し、当てはまる企業をリスト化するところから始めます。そのためには、今の自社の顧客の中で特に大きな売上を占めている企業から、業種・企業規模・エリア・年商・従業員数などの属性情報レベルで特徴を洗い出し、各項目と売上の相関を見ていきます。
この際、短期的視点だけではなく、中長期的にメリットのあるLTVの高い企業を優良顧客として定義すると良いでしょう。このようなプロセスを経て、アプローチ対象となる企業の特徴が定義できたら、その企業に類似する企業を見つけてリスト化します。
自社にとってアプローチすべきリストができあがったら、各企業のコンタクトポイントの有無を確認します。すでに担当者レベルで接点があるのか、もしくは無いのかによってとるべきアプローチ手法が大きく変わってくるためです。
過去にコンタクトがある場合、BANT情報(※)まで取得できていると成功の近道となります。コンタクトが無かった場合は、テレマーケティングなどを駆使してコンタクトポイントを創出することから始めましょう。
※BANT情報とは…
対象となるターゲットとコンタクトポイントが確認できたら、顧客別の営業活動方針(アカウントプラン)と具体的なアプローチ施策を検討していきます。
アカウントプランを定めるためには、顧客の置かれている状況と課題、つまり顧客の“ツボ”を理解し「自社が何を提供し、どんな価値を創出するか」を明確化することが重要です。
このようにしてアカウントプランが固まったら、それに沿うような具体的施策を検討/実行していきましょう。
これまでABMの実践ステップについて解説しましたが、「いざ実践」となった際にマーケッターはいったい何をすべきなのでしょうか?
まず求められるのが、正しい顧客データベースの構築です。SFAツールの導入などを検討するのが一番はやい解決に繋がります。セールスフォース・ドットコムなどが有名です。
しかしツールを導入するだけでは解決にはなり得ません。
ツールだけ導入して運用を放置してしまうと、先方の部署異動や離職などが反映されずに古い情報が残り続けるといった問題や、表記のゆれで情報が集約されていないという問題が起こりがちです。
データベースの整備を定期的に行うことで、つねに最新かつ正確なデータベースを維持しましょう。
アプローチ時に欠かせないのが、シナリオです。対象顧客別に、いつ・どのようにコンタクトをとっていくべきかを決める、いわば“道しるべ”といっても過言ではありません。このシナリオの精度が低ければ、アプローチの成功は当然難しいといえるでしょう。
そこで重要となってくるのが、軌道修正を通して効果的なシナリオを創出していくことです。シナリオは実績をもとにパターン化していきましょう。
最近では、MA(マーケティングオートメーション)ツールの台頭によって、シナリオ作成と顧客スコアリングが非常に簡易的にできるようになりました。セールスフォース・ドットコムが提供するPardot(パードット)やマルケトなどが有名です。
ABMの実践において何よりも重視すべきが、営業との連携です。アプローチ状況を都度営業からキャッチアップし、正確に把握できてはじめて、シナリオの修正可否や優先順位を判断できるからです。
また、ホワイトリスト全体の中から、数値をもとに優先順位をつけ、「今当たるべきターゲット」を営業側に明らかにすることで、「本当は当たるべきだったのにアプローチできなかった」という機会損失を防ぐことができます。
営業の人的リソースを最適に投下し、効率的に売上をあげるためには、マーケティング側からの全体最適の視点が欠かせないと言えるでしょう。
今回は、近年話題となっているABMの考え方や実践ステップについて解説した上で、マーケッターがやるべきことについてご紹介しました。ABMは、パレートの法則でよく言われるような「自社の8割の売上を上げる2割の顧客」を新たに生み出す近道となる手法です。
一見難しそうに思える手法かもしれませんが、デジタルの進化によってABMを実践する土壌は整いつつあります。また、副次的効果としては、営業が大口顧客となりうる顧客に優先してアプローチできるため、モチベーション低下の防止につながるというメリットもあります。
BtoB領域において、数年後には今回解説したABMを実践することが当たり前となっているかもしれません。