外国人未経験デザイナーの成長の旅

2023年5月にPLAN-BにUX/UIデザイナーとして入社したベクジャノヴァ アーシャと申します。

私はキルギス出身で、中学生の頃からアニメとコスプレに興味を持ち、日本語の勉強を始めて、将来日本に行ってみたいと思いました。また、自分で何かを作ることが好きで、デザインにも興味を持ちました。かつては日本へ行くという夢だけでしたが、北海道での1年間の留学経験を経て、将来的に日本に住むことを決意しました。大学を卒業した後、UIデザインのコースを受講し、デザイナーとして少し働いていました。その後、文部科学省の奨学金に合格し、神戸大学で研究を行うことになりました。1年後、日本での就職を再度検討し、PLAN-Bにほぼ新卒として入社しました。

入社してからもう半年が経って、色々なことを学ぶことができたので、この記事でこれまでの経験について共有させていただきます。これから新しい分野で働いてみたいと考えている人の参考になれば幸いです。

入社後研修

入社後すぐに研修が始まり、賃貸探しアプリでの「家探しの体験」をよりよくすることが課題になりました。今回の研修の目的は「ユーザー起点で物事を検討すること」と「作ったものをユーザーに当てて、改善していくこと」でした。
研修とUX/UIについてもっと知りたい場合、このような記事をお勧めします。

「UX/UIとは何か」という感覚を掴む

自分でユーザーリサーチを行って課題を設定することについては全くの未経験でした。入社する前、デザイナーの仕事は主にフローを設計し、画面を美しくデザインすることだけだと考えていました。しかし、研修を経験したことで、実際の仕事はそれだけではない、ということが分かりました。

さまざまなことを学びましたが、特にUXとUIの違いを理解するのが難しかったです。以前は、画面上でボタンを押すことが何をどのように変えるのかしか考えていませんでした。しかし、先輩にUIとUXについて何度も説明してもらい、その違いがようやく理解できました。
簡単に言うと、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、課題を解決しユーザーゴールを達成するために、何をどの順番で行う必要があるかという「理想的な体験」のことです。UI(ユーザーインターフェース)は、その理想的な体験を実現するための画面(ビジュアル・見た目)のことです。やっとその違いを理解できて、研修で次のステップへ進めるようになりました。

[修正]「UI ・UXとは何か」という感覚を掴む

実際の画面を当てて、「ユーザーに対する勘違い」に気付いていく

以前は、画面を作成することで終わりだと思っており、レビューを行う重要性を知りませんでした。自分が便利だと思えば、他の人にとって便利だと思い込んで、ユーザーの視点で考えることがありませんでした。
例えば、賃貸探しアプリのこだわり条件を指定する部分が縦に長すぎると感じたので、カテゴリーごとに整理してドロップダウンで開けるようなデザインに変更しました。しかし、実際にユーザーが使うのを観察したところ、予想とは異なり、ドロップダウンメニューを開閉する手間がかかって、使いにくいことが明らかになりました。自分が「良い」と思ったものが、ユーザーにとっても「良い」とは限らないこと、むしろ問題があることの方が多いことを理解しました。

「完璧主義」から「作って壊して当然」という意識に

画面設計をしていた時、見た目を美しくすることに集中しすぎていました。作った画面をユーザーに当てて、多くのユーザーの課題を解決できないことに気づき、ショックを受けました。そして、すべてをゼロから作り直さなければならない状況になりました。最初から上手く進まなかったことは、私の個人的なミスだと感じ、非常に悔しかったです。
その気持ちで全部壊して、新しい画面を設計しました。ゼロから作り直した画面をユーザーにレビューしてもらったところ、以前よりも使いやすく、課題を解決できるより良い画面になっていることが分かりました。初めは多くのユーザーが住むエリア探しから悩んでいましたが、大きく作り直した画面では、初めて引っ越すユーザーに対して優しくなり、住みたいエリアについての情報に簡単に辿り着けるようになりました。

研修後の振り返りで、最初に作った画面と壊して作り直した画面を比較して、直したことが良い結果をもたらしたと感じました。2つの画面を見比べることで、壊してゼロから作ることは自分のミスのせいではなく、ユーザーの課題解決に役立つということが理解できました。

「完璧主義」から「作って壊して当然」という意識に

半年経った今感じていること

研修期間内で100%満足がいくものを作り上げることはできませんでしたが、実際に経験を積むことで多くのことを学びました。そして、半年後に振り返ると、研修時の誤りの理由がようやく理解できるようになったと感じています。
例えば、この画面でユーザー課題を解決できるか、を考えずに、ユーザーの部分的な要望を全て解決しようとしていました。ユーザーに画面を見せて、「簡単にこだわり案件を変更したい」、「PR案件は信用できない」などのような要望を受けた後、すぐ応えようとしていました。つまり、要望にそのまま従ってしまったことから、ベースにある課題を解決できませんでした。
今はより客観的にレビューを行うことができるようになりましたが、まだ改善の余地があります。

実際のプロジェクト

研修の後、実際のプロダクトの小さい画面設計から始めましたが、世に出せるレベルにするには時間がかかりました。一方でどんどんできることが増えていったので、より大きなプロジェクトに関わらせてもらえることになりました。Cast Me!というインフルエンサーマーケティングプロダクトの改修です。

「画面」ではなく「ユーザー」と向き合う

このサービスには企業側とインフルエンサー側の画面が別々にあり、それぞれに関与しあっているので、企業側のタスクに関連する画面から設計を始めました。最初は、ユーザーが本当に何を望んでいるかを考えるよりも、画面の具体的なデザインや細かいUIにフォーカスしてしまいました。また、ユーザーの課題・ゴール・シナリオの設定にも苦労しました。

その時、先輩との日次ミーティングでユーザー視点から物事を考えるべきだと指摘され、一緒に課題を整理してゴールを設定しました。それによって、業務の進め方を理解し、画面設計に取り組む前に時間をかけて考えることの大切さを学びました。そうしないと、画面設計やレビューの段階で混乱が増え、その混乱の原因を特定するのが難しくなります。したがって、まずはユーザーが必要としているものはなんだろう?という視点で、機能などを分析して考えることが必要です。

「画面」ではなく「ユーザー」と向き合う

論点やゴールを意識し、「作業」ではなく「仕事」をする考え方に

ユーザー課題を考えながら、画面を設計できるようになりましたが、ユーザーレビューの準備が不十分でした。日本語でのレビューは、人生で初めての経験でした。何度も試みましたが、緊張が収まらないことが明らかになりました。それを解決するために事前に質問を用意しましたが、質問をすることが目的になってしまい、有益な情報を収集できませんでした。そのため、画面の改善点を見つけられるように、ユーザーレビュー前に論点設計を行うようになりました。
しかし、日本語で考えてアウトプットすることもまだ難しいということに気付き、英語で論点設計するように切り替えました。もちろん、すぐに上手くなったわけではありませんが、段階的にスキルを向上させることができたと思います。

論点やゴールを意識し、「作業」ではなく「仕事」をする考え方に

コミュニケーションの大事さ:失敗と発言を恐れない

けれども、画面設計後にデザインをデザインルールに合わせることが難しくて、ずっと不安を感じていました。そのため、先輩とのコミュニケーションが減少し、お互いに理解が足りず、成長できていないように感じていました。
怖くても問題を解決したいと思って、不安な気持ちのままで先輩に相談しに行く決断をしました。喉が痛くなり、涙が出そうになりましたが、今は話さなければさらに苦しくなると考えました。

ちょうどそのとき、入社から4ヶ月が経過し、人事面談が控えていました。その場での人事との話や先輩への相談を通じて、「間違っても、フィードバックを受けて、振り返りをして、そこから学ぶことで成長できる」ということが理解でき、少し安心しました。業務で間違うことを「人として失敗した」と感じてしまうことがあるので、先輩と人事と話ができて自信が戻ってきました。「入社したばかりのアーシャはこの画面を作れるか」と聞かれた時に、入社からできることが増えてきて、確かに成長したと実感しました。

仕事でも日常生活でも他の人と関わる機会が多いです。今、他の人が何を考え、どんな感情を抱いているかを理解することは難しいことかもしれません。そのため、互いに対話し、偏見を持たないことが非常に重要だと考えています。

コミット意識を強く持てるように

相談したことで、職場でのコミュニケーションが改善し、雰囲気も良くなりました。しかし、まだ過度に先輩に依存し、見落としもあったので、毎回悔しい思いをしていました。なぜまだモヤモヤを感じているかについて深く探求し、その原因は明らかになりました。今までの感情は責任感と意識と関連していることが分かりました。
それが理解できたので、自分が画面設計の主担当者であることに強く意識を向け、なぜこのようにデザインしたかなどを責任を持って考えました。その結果、よりユーザー視点で考えられるようになり、より適切なフィードバックを受けられるようになったので、細かい確認や修正が減りました。

成長と進化への道:挫折からの学びと成熟

この半年で何度も落ち込んでいましたが、あの時に頑張ってフィードバックを受けながらしっかり学んだからこそ、考えずに手を動かしただけではなく、プロジェクトを理解した上で設計を始めるようになりました。
そして、言語の壁と恐怖に負けないように、デザイナーとしても人間としても成長できたと思います。仕事において多くのことに気づくようになり、以前は感覚的に過ごしてきたことにも気づきました。やっと覚醒し、これからうずまきナルトのように進化しようとしていると感じます。

先輩たちのサポートと、日々の振り返りとフィードバックのおかげで、課題や問題点を見つけ、それらの原因と解決策を理解することができるようになりました。しかし、これを冷静に行うスキルはまだ身につけられていないため、ポータブルスキルを上達させる努力を続けたいと思います。
そして既存のプロダクトを分析し、様々なユーザー課題に対する解決策を学んで、デザイナーとしてもスキルアップさせることを続けたいです。また、画面設計時のフィードバックを効果的に活用して、仕事で実践していきたいと考えています。

最後に、失敗しても悔しい気持ちを持っても、少年漫画のキャラクターのように諦めずにコミットし、努力し、変化できるなら、どこでも活躍できると信じています。