スクラムフェス大阪2023で心に響いたセッション

今回は、スクラムフェス大阪2023に参加してきました。まさに「祭り」といった雰囲気で、会場には法被を着た運営の方々がいたり、Discordのチャットで盛り上がったりとても楽しかったです。

どのセッションも熱量高くとても刺激を受けたので、特に僕の心に刺さったセッションを僕なりの解釈を加えて紹介したいと思います。

参加までの経緯

以前はイベントへの参加経験は少なかったのですが、去年の春に「ふりかえりカンファレンス」で登壇した経験から、コミュニティ活動に興味を持ち、イベントへの熱意が高まってきました。

その時の登壇内容はこちら

PLAN-Bでプロダクト開発に関わる過程で、チームや組織の開発をすることに関心が強くなり、こんなことを知りたいと思い、参加を決めました。

  • 組織やチームというもの自体への理解を深めたい!
  • 開発チーム内でのコミュニケーションを快適かつ効率的にする方法を知りたい!
  • 自分自身の感情や時間を管理するスキルを身につけたい!

セッションがたくさんあり、開発の手法プロセス、ふりかえり、UI/UX、コミュニケーションなどトピックも多岐にわたりどのセッションも面白そうで選ぶのに迷いました。

1日目

1日目は、オフライン会場での雰囲気を知りたかったので大阪会場に参加してきました。

会場にはいるとすぐこんなカンバンがあって「スクラムっぽい!」とワクワクしました。

Scrum Fest Osaka史上、最もキーノートっぽくないキーノート

キーノート(基調講演)はNTTビジネスソリューションズの太田敦士さんが登壇されました。

冒頭の経歴紹介では、案件に関する暴露を連続でしており、会場の爆笑をかっさらっていました。「本当にこれを公開して大丈夫なのか」と内心ドキドキしていたのですが、 後から録画映像をみると、ところどころにピー音が大量にはいっていて改めて笑ってしまいました。

印象に残ったのは、以下のメッセージでした。

  • 中年になると新しいスキルや体力で若い人より劣ってくる
  • 残るのは「経験」だけ
  • そのため必要なことは全部自分でやるべき

軽やかな雰囲気から放たれる言葉は打って変わって重たく、今も頭から離れません。

2日目

2日目はリモートで参加し、先輩社員と一緒に視聴しました。

PLAN-Bでは、スクラムマスターの社内コミュニティ「スクラムマスターギルド」のメンバー同士で一緒にイベントやセミナーの動画を視聴することも多いです。その際、自分の学びや気づき、疑問についてアウトプットしながら視聴をします。後で、自分の言葉でその学びを他のメンバーに伝えたり、自分のチームに持ち帰り試すことでただイベントに参加しただけで終わらせず、より理解を深め自分たちの働き方を改善することに役立てています。

心を燃やせ ~その炎、本当に安全ですか?~「組織を変える安心安全な心の燃やし方」

今回一番自分の心に響いたのが一発目のこのセッションでした。登壇者の大野さんが「RSGT2023」でコミュニティから熱をもらい、組織を変えるために活動する中で苦悩した物語が語られていました。冒頭から鬼滅の刃の煉獄杏寿郎オマージュの熱い問いかけから始まり、僕も体が熱くなりました。

僕なりにセッションをまとめてみました。

まずは行動あるのみ

まず僕が刺激を受けたのは大野さんが組織を変えるために行動しつづけていたことでした。

社内で1on1の取り組みをはじめたり、スクラムマスターの勉強会を開催したり、 何かをはじめるためには大きなエネルギーが必要です。それをコミュニティ活動で熱をもらいながら継続していることがまずすごいことだと感じました。 コミュニティ活動が行動を起こすための燃料をMAXにしてくれるというのは僕も共感しました。

燃え尽きないように細く長く心を燃やす

激しく燃えすぎると周囲との温度差を感じて、火が消え掛かってしまう。「FearlessChange」の引用をしながら、長期的に活動を継続できるようにコントロールすることが大事であること、変化を急ぎすぎないことを説いておられました。僕も自分の思いが伝わらないと感じた経験をしたことがあり、共感の嵐でした。

変化は実は少しずつ起きていた

冷静に自分たちを見つめてみると「小さな成功」を積み重ね「ステップバイステップ」で変化していたようでした。着実に行動を積み重ねることで小さくても変化が起きていくことは、変化をもたらそうとする人にとっては希望だと思います。何か行動を起こした時には、小さな変化を見逃さずみんなでその変化を認識し、Goodであればしっかり定着させることが重要だと感じました。物語は最後に大野さんがメンバーに感謝を伝え、タイトルにもある「安心安全に心を燃やし続けよう」というメッセージで締め括られました。

チームにノリをもたらした時にいた「二人目に踊る人」の共通点

ふりかえり手法の「Fun Done Learn」の魅力を歌にした「Fun Done Learnのうた」が思いのほか盛り上がり、社内で表彰されるに至った。自分がチームに「ノリ」をもたらしたいと思った時には自分についてきてくれる「二人目に踊る人」がいた。

そんな経験が過去にもあったことから、「二人目に踊る人」の共通点について話してくださいました。単純な感想としては、「Fun Done Learnのうた」が頭からはなれなくなりました。某コンビニの店内BGMのような親しみやすさがありました。

「二人目の踊る人」についての説明が、TEDでデレクシヴァーズ氏の登壇「社会運動(ムーブメント)の起こし方」から引用されており、僕自身もTEDでこのセッションをみたことがあり印象に残っていました。

二人目に踊る人の特徴は以下の2つに集約されています。

  • 意思決定を支援する
  • 自分もその一部を引き受ける

言葉にするとシンプルですが、体現するのは難しいと感じました。

ただ無責任に相手を応援することは簡単ですが、相手のやりたい気持ちを後押しした上で、自分も一緒に片棒を担ぐことは誰にでもできることではないです。 自分自身もできるかどうか不安に思っている時にこんな仲間がいたらどんなに頼もしいかわからないですね。

「奉仕の心」をもつ「サーバントリーダーシップ」についても関連して話されていました。 「自分もその一部を引き受ける」は自分が内側にはいり責任の一旦を引き受ける行動でありリーダーシップそのものです。

サーバントリーダーシップとは「一人のリーダーが上に立ち、部下を引っ張っていくリーダーシップ」ではなく「まず相手に奉仕し、その後にチームを先導するリーダーシップ」を指します。

「奉仕の心」は権力や指揮系統による協力とは少し離れた場所にあると感じます。 利害関係ではなく信頼関係によって成り立っているコミュニティにおいてリーダーであろうとすると必然的に必要とされるのが「奉仕の心」だと思います。こういう資質は、基本的にピラミッド組織の原則がより優先度が高い社会人になってから獲得するのは難しいため、学生時代の経験が重要だと感じました。

これまでも自分なりに、誰かの提案に対して「いいっすね、やりましょうそれ」と言うようにはしてきましたが、これからはもう一歩踏み込んで責任を自ら取りに行くという行動をしてみようと思いました。

まとめ

他にもセッションは視聴しましたが、特に印象に残るセッションについてまとめてみました。ぜひ皆さんも参加してみてください。開発に関わるかたであれば自分にあったセッションが必ず見つかると思います。

他に興味を惹かれたセッションのタイトル:

  • デザイナーの帽子をかぶりながら、チームとの関わり方を考えつづけている話
  • コードは自分のもの、だから組織横断でコードレビューをする
  • みんなで試そう!自分やチームの本領発揮を引き出すペップトーク!
  • 真に「透明性を高める」とは? 〜可視化された情報が理解されるまでの取り組みと、チームの状態の変化〜
  • 「ChatGPTに何を聞けばいいのか分かんない!」ChatGPTを前にぼーっとするのを乗り越えて、人が答えることが困難な認知負荷MAXなタフクエスチョンをどんどん回答させてプロダクト価値を爆速探求するぞ

運営の方々がドラフト形式でプロポーザルを選んでいることもあり、セッションの質はお墨付きです。Discordや会場の雰囲気もとても平和で初心者でもチャットなどで気軽に参加することができました。セッション後の質疑応答で質問を投げかけて取り上げてもらったときは嬉しかったです。

来年は自分もとっておきの体験をひっさげてプロポーザルを出してみようと思います。会場でお会いしましょう。