先輩に本音を言えてますか?遠慮があったら始まらない「ドラッカー風エクササイズ」で作る良いチーム

組織変更があった、新しいチームができた、チームメンバーが変わったなど、チームやメンバーが変わると色々な不安がありますよね。あの人はどういう考えや価値観を持っているんだろう?自分をどれくらい出しても良いんだろう?など、多くの場合いわゆる心理的安全性が低くなりがち…ではないでしょうか?

実際にチームが動き出して、後で揉めたり不満を持ったりする前に、先にチームビルディングを行って不安感を小さくしておきたいところです。その手段の1つとして今回はドラッカー風エクササイズをご紹介します。


技術や知識は見えるけど、考えや価値観は見えない

この7月に、当社のシステム開発部でチーム再編成がありました。中でも特にシステム開発チーム(以下、Devチーム)は年齢層が広く、4月に入社したての新卒から、40代のベテランエンジニアまでいます。年齢による価値観の違いもあれば、経験による違い、知識の違いもあります。

技術の高さや知識の多さは仕事をしていればわかりますが、個人の仕事に対する考えや価値観はどうでしょうか?チームメンバーの何気ない行動によって、自分のパフォーマンスが下がることもあれば、逆もまたあるかもしれません。

伝統的な「飲み会」という手段をとることもままありますが、ここはひとつチームビルディングの一環でドラッカー風エクササイズをDevチームで行いました。

Devチーム


ドラッカー風エクササイズとは

ドラッカー風エクササイズとは「アジャイルサムライ」で紹介されている、チームメンバー同士でお互いの考えを交換し合う手法です。4つの質問にそれぞれ答え、チームに共有することで、お互いの考え価値観期待のすり合わせを行うものです。

システム開発部にはチームビルディング分科会というものがあり、今回のドラッカー風エクササイズやMBTI、モブプログラミングなどを試していました。チームに大きな変化があった時や、チーム内で問題が起きそうな時にはドラッカー風エクササイズがおすすめです。また、新しいメンバーが増えた時や、定期的(四半期や半期ごとなど)に行うこともおすすめします。

難しいチームビルディングであると紹介されることもありますが、実際にやってみると若手でもベテランでも、書き出すことで素直な考えを出せるので、とにかく一度やってみましょう!


ワークの流れと事例を紹介

ドラッカー風エクササイズに含まれる4つの質問は、アジャイルサムライの刷によってニュアンスが若干違いますが、今回は The Agile Warmior にある The Drucker Exerciseから質問用紙を印刷し、アジャイルサムライを参考にしつつ、追加で和訳したものをメンバーに配布しました。

質問用紙

質問内容と説明

1.自分は何が得意なのか? 

自分自身について整理ができる。メンバーからは、どういうことを任せられるかを知ることができる。特定の技術の有無というよりは、もっと抽象的な能力。(例:素晴らしい聞き役、規則に従う、細かいところに気づく、カオスな状況を整理する)

2.自分はどういう風に仕事をするか? 

仕事上のパフォーマンスをどこから得ているかをチームメンバーに共有することで、パフォーマンスを上げやすい環境作りをチームで行える。(例:朝型、効率化が好き、マイクロマネジメントが嫌い、社内政治が嫌い)

3.自分が大切に思う価値は何か? 

自分の価値観として何が重要であるかを明確にし共有することで、お互いにとってより安全なチーム運営を行える。(例:正直であること、価値のある仕事、楽しさ、他者への尊敬、継続的改善)

4.チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか? 

チームにおける自分が考えている役割と、相手が期待している役割のすり合わせを行う。新しいチームや新しい案件に入る前に、期待のすり合わせを行うことで、安心して臨むことができる。(例:イケてるコード、素晴らしいユーザー体験作り、徹底的なテスト、セキュリティ向上、開発プロセス改善)

自分のことについて書き出す

それぞれの質問ごとに2分間の個人ワーク時間を設け、1位から3位までを書き出します。その後、それぞれの質問について各メンバー1分ずつ共有を行い、ホワイトボードに貼り出しました。

Devチームは8人おり、今回まとまった時間が取れなかったので2回に分けて行いましたが、人数が少ないか、時間が十分取れるのであれば1回で行うと良いです。

Devチーム

共有の後、貼り出した内容をもとに特に期待のすり合わせを行いました。若手とベテランとの間で、「リーダーシップ」「責任感」と「技術力」のどちらを今は優先して求められているのかの議論があったり、安易に褒められるのが嫌なメンバーがいたりと、多くの気づきがありました。

価値観の共有

ワークの最後に、ドラッカー風エクササイズの結果をもとにしたワーキングアグリーメントを何か作ろうとしましたが、時間切れのため実現はできませんでした。人数にもよりますが、最後のクロージングまで含めてやると8人だと2時間ほどはあったほうが良いと思います。3、4人であれば1時間もあれば十分でしょう。


回答をピックアップ

回答内容は自由ですが、雰囲気をつかみづらいかもしれないので、実際の回答を2人ご紹介します。

新卒入社2年目エンジニア

1.自分は何が得意なのか?

1人当たりがいい2責任感が強い3改善行動
2.自分はどういう風に仕事をするか?
1チームで仕事をしたい2ゴールが見えていると動きやすい3「ありがとう」や感謝があると嬉しい
3.自分が大切に思う価値は何か?
1誠実であること 2全員が楽しくできること3一貫性があること
4.チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
1リーダーとしての適切な報連相、決断2チームビルディング(チームの潤滑油) 3スキルアップ

 

中途入社29歳エンジニア

1.自分は何が得意なのか?

1アイデアを出す、考える2何でもチャレンジする3寛容的
2.自分はどういう風に仕事をするか?
1自由に動きたい2褒められるとテンションが上がる3同じ作業の繰り返しが嫌い
3.自分が大切に思う価値は何か?
1面白いかどうか2やってみたいと思うかどうか3自分のためになるか
4.チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?
1モバイルアプリの知識や技術を共有・提供2開発力の向上3各プロジェクトのシステム的業務の改善

例えばこの2人だけを見てみると、「楽しさ」や「面白さ」を出していくことが大事で、「ほめる」ことも有効だとわかります。また、自分自身の考えをチーム内に共有することで、より発言や行動をしやすくなるといった、心理的安全性の高まりを感じることができると思います。


まとめ

他のチームビルディングの手法と比べて、ドラッカー風エクササイズは自分の内面を他のメンバーと共有することに注力しています。

新しいチームができた時や、新しいメンバーが増えた時はもちろんのこと、長くいるメンバーでも考えや価値観をきっちり知っていることはあまりないと思います。そんな時に、他のチームビルディングに先立って考えや価値観を交換し合うことで、心理的安全性を高め、次の仕事やチームビルディングの効果を底上げできます。

人数にもよりますが、1〜2時間とファシリテーター、付箋などを用意すれば簡単に始められるので、ぜひチームでやってみてください!

【次回のチームビルディング】

Devチームでは次のチームビルディングのワークとして、爆弾解除を行うゲーム「Keep Talking and Nobody Explodes」を行いました。どういったゲームか、なぜチームビルディングとしてやったのかを、次回の記事にてご紹介します。