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インターネット広告
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商品やサービスをPRする際に、その商材のどの部分をどのように訴求するのかは、マーケティングの成否を分ける重要なポイントになってきます。
SNSやwebを活用したインフルエンサーマーケティングにおいて、商材のメリットを掲げて訴求している方も多いかと思います。
しかし、商材のメリットを訴求するということが本当に最善のPR方法なのでしょうか?
メリットばかりを訴求することで、逆にユーザーの信頼感を失い不安感を煽ってしまうというケースも考えられます。
この記事では実際の事例を交えながら、商材のメリット訴求だけではなく商材のデメリットを解消することで、より効果的に商品をPRする方法を紹介します。
とあるスーパーマーケットで、たくさん売れ残っていたぶどうが、たった一言のPOP広告によって爆発的に売れた、という話をご存知でしょうか?
そのスーパーの売り場の責任者さんが、ぶどうのそばに手書きのPOP広告を1枚置くと、ぶどうが突然飛ぶように売れていったそうです。
そのPOP広告にはどのような言葉が書かれていたのでしょうか?
ぶどうを売るために、どんな言葉が適切だと思いますか?
普通に考えれば、「甘くておいしい!」「とれたて新鮮!」のような言葉が最初に思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、その売り場の責任者さんは売り場のお客様をよく観察した末に「タネなし」という一言だけをPOP広告に書いたそうです。
その結果、売れ残ったぶどうが爆発的に売れたそうです。
それでは、そのたった一言のPOP広告が、売り場のお客様にどのような心理変容を与えたのか、考察してみましょう。
ここで冒頭の「メリット訴求」と「デメリット解消」の話に戻ります。
そもそも「メリット訴求」と「デメリット解消」って何が違うのか?という基本的な部分のお話からさせていただきます。
まず、メリット訴求というのは文字通り、機能面や品質面で商材の良さや強みを訴求することです。
それに対してデメリット解消とは、お客様の困り事を取り除くことです。
先ほどのぶどうのPOP広告の事例に置き換えて考えてみると、
多くの方が最初に思い浮かぶであろう「甘くておいしい!」「とれたて新鮮!」はメリット訴求であり、ぶどうの品質面の良さを訴えかける言葉です。
一方、「タネなし」というPOP広告は、「ぶどうは食べたいけどタネがあるのが面倒くさい……」というお客様の困り事を取り除いた、デメリット解消の一言なのです。
さらに言い換えると、メリット訴求とはお客様に「買う理由」を与えるPR手法であり、デメリット解消とは、お客様の「買わない理由」を取り除くPR手法であるとも言えます。
先ほどの例でいうと、「甘くておいしい」「もぎたて新鮮」は商品の良さをアピールして「買う理由」を与えようとしている言葉ではあるのですが、それだけだと、どうしても「買ってください!」という売り手側の自己中心的な売り込み姿勢が見えてしまう可能性があります。
これに対して「タネなし」の一言は、ぶどうの購入を検討するお客様の立場に立ち、お客様の心に寄り添って、困り事、つまり「買わない理由」を取り除くメッセージになっています。
メリット訴求により「買う理由」を与えられるよりも、デメリット解消により「買わない理由」をなくされる方が消費者が行動を起こしやすいというのは、無意識に損失を避けようとする人間の「損失回避の法則」という心理的法則が働いているのですが、心理学的には、メリット訴求よりもデメリット解消の方が約2~2.5倍もの効果があると言われています。
ここまでスーパーのPOP広告の事例でお話してきましたが、もちろんSNSでのインフルエンサーマーケティングにおいても同じことが言えます。
TwitterのSNS漫画家インフルエンサーさんのPR漫画事例で、ぬこー様ちゃん@zwifter漫画家という男性漫画家さんが男性にナイトブラを売りまくったという特殊な事例があります。
男性が男性をターゲットとしてナイトブラのPRをする、というかなり難易度の高い施策ですが、「買わない理由」をうまく取り除いたことで、なんと、約30名の男性にナイトブラを購入させることに成功した驚異的な事例です。
そしてサンプルが本当に届いた話 pic.twitter.com/QWxz32AUtl
— ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新 (@nukosama) July 11, 2020
おっさんがおっさんにナイトブラ買わせる話
— ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新 (@nukosama) July 15, 2020
売れた数公表します→https://t.co/IJjjY6fTP6#PR pic.twitter.com/BDwrrhjkvG
それでは、どのようにしてこの難解なマーケティング施策を成功させることができたのか、考察してきましょう。
まず、男性がナイトブラを「買わない理由」として、以下のようなことが考えられます。
①女性用商品だから
②買う必要性がないから
③買うのが恥ずかしいから
他にも買わない理由はまだまだありそうですが、大きな理由としてはこんなところでしょうか。
この漫画はこの大きな3つの「買わない理由」を取り除くことに成功しています。
こちらの理由については、作者さん自身が男性でありながらナイトブラを着用することで解消しています。
まず1本目の漫画で、女性漫画家であると勘違いされてナイトブラのPR案件の相談を受けた作者さんが、男性であることを理由に断ろうとしたところ、担当者から「男性でもいいですよ」「サンプルもお送りしますよ」と言われて、少し躊躇したものの興味本位でPR案件を引き受けてしまう様子が描かれています。
そして、2本目の漫画の中で、実際に届いたサンプルを自身で着用した経験と感想を元に商品のレビューを描いています。
これにより、ナイトブラを実際に男性が着用したという経験を読者にイメージさせることができ、男性読者の興味喚起を促し、「そもそも女性用商品だから男性が買うものではない」という買わない理由を取り除くことに成功していると考えられます。
おそらくほとんどの男性がそうだと思いますが、実際に僕自身これまでの人生で「ナイトブラがなくて不便だ」と感じたことは一度もありません。
しかし、2本目の漫画内で”彼女へのプレゼントを何にしようか悩んでいる先輩”を登場させ、彼女へのプレゼントとしてナイトブラがおすすめであるという提案するということで、「買う必要性がない」という買わない理由をいとも簡単に取り除いています。
多くの男性が、これまでに彼女や奥様への贈り物としてナイトブラを候補として考えたことがなかったのではないでしょうか。
それがこの漫画によってナイトブラが脳裏に刻まれ、今後何かしらのプレゼントの機会にナイトブラが候補に挙がってくるようになったのではないかと推察できます。
まず、2本目の漫画内で「買うのが恥ずかしい」と言う先輩に「ネットで買えますよ」と恥ずかしさを回避させるアドバイスが描かれています。
しかしそれだけではなく、実は、この漫画投稿からナイトブラが男性に売れた個数をTwitterで定期的に公表しているのです。
そうすることで、「実際に買っている人がいるんだ」「こんなに多くの男性がナイトブラを買っているんだ」ということを男性読者に知らせることができ、結果として恥ずかしさを取り除き、購入のハードルを下げることに成功したのではないでしょうか。
このように、一見ただの面白PR漫画投稿のように見えなくもない事例ですが、「デメリット解消」という観点で見ると、ユーザーの心理変容という部分において非常に理に適っているマーケティング手法であることが考えられます。
この作者さんがナイトブラという商材のメリットのみを訴求していた場合、おそらくここまでの成果は出ていなかったでしょう。
(とは言え、これはかなり特殊な事例ですので、狙って簡単に真似できるものではありません。)
いかがでしたか?
最後は少し特殊な事例をご紹介させていただきましたが、このような非常に成果を出しづらいような施策であっても、やり方次第では十分に成果を出すことも可能です。
お客様の購買アクションを促すためには、ただ単に商材のメリットを訴求するだけではなく、お客様が実際にどのような「買わない理由」を持っているのかという部分まで寄り添って想像し、その「買わない理由」をうまく取り除くことが重要となってきます。
難しい条件下におけるマーケティング施策を成功させたい際には、是非、参考にしてみてください。